コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
深夜二時。
窓の外で雨が降っていた。細い雨脚が街灯の光を受けて、まるで銀の糸のように見えた。
その音を聞きながら、俺は机の上の一枚の新聞記事を見つめていた。
――「女子大学生殺害事件、容疑者として同大学生・白石美咲(21)を逮捕」
妹の名前が、そこにあった。
信じられなかった。
いや、信じたくなかった。
白石美咲――俺の妹。
小さい頃から泣き虫で、人を傷つけることなど絶対にできない子だった。
そんな妹が、人を殺すなんて。
新聞の文字が滲んで見えたのは、涙のせいなのか、それとも雨のせいなのか。
俺にはもう、分からなかった。