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#文学
かんすい
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かんすい
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コメント
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うわあ、この湿った空気感、すごく好きです…。雨の日の夜に、何となく流れ着くようにクラブに入っていく主人公の心の隙間が、ひしひしと伝わってきました。特に、みんなが享楽の渦に飲まれているのに、たった一人だけ何かを探すように腰をかがめる女性の描写が印象的で、物語がここからどう動き出すのか、本当に気になります!
第二章 場違い「じゃあ、俺こっちやから」そう言ってやつは慌ただしい様子で駅へ走り出していった。外では雨が降り始めていたらしく、ぽつぽつと頼りない音を響かせ、やけに湿った空気が肌にまとわりついた。ただやつの姿を眺めていた。気付けばやつの姿はもう見えず、手にしていた煙草の煙は消えていた。スマホで電車の時刻を調べながら今日やつと話した内容を思い返す、そしてそっとスマホの画面を閉じ、駅とは反対の方向へ歩き出した。別に確かな理由があったわけでもない、ただ今日だけはそういう気分だったのだ。それから随分と歩いた。24時を過ぎた難波は先ほどの喧騒が嘘だったかのように静かで、ただ雨の音だけが響く、ところどころに人の姿は見えたが、皆心なしかつかれきったような顔をしているように見えた。道頓堀橋を渡ると、怪しげなネオンの明かりで包まれた世界が広がっていた。多くの人が吸い込まれるようにそのネオンの世界に向かっていく。人の流れに身を任せるように自分もその世界に足を踏み入れた。気が付くと僕は一つのクラブの前に立っていた。見るからに怪しく、それでいて妖艶なとてつもなく異様な空気をまとっていた。入口からも伝わるような熱気がひしひしと伝わってくる。実のところ自分はこういうところに来たことがなかった。昔から人が多いところやこういった五月蠅いところはあまり好きではなく一度も来たことはなかった。少しの間その入り口付近をうろうろしながらもその場所に入ることを決めた。ただの好奇心だったのか、やつの言葉を聞いたからなのか。暗い階段を一段降りるごとに煙草や酒の匂いが強くなり、足の先から伝わる重低音が全身に響き渡った。階段を降り切った瞬間あたりを埋め尽くす人の波と、眩いほどの煌びやか照明の明かりが一気に押し寄せた。そこに酒やたばこに加え嗅いだことのないやけに甘ったるい香水の香りが充満していた。ある人は踊り、ある人はグラスを重ね、叫んでいる。もう誰が笑っているのか、誰が泣いているのか全く見当もつかず、そんな自分を置いて赤や青へと変わる照明と共に、音楽や人々の歓声が絶え間なく姿を変えていく。圧倒されながらもバーカウンターに行き、前の人が頼んだものと同じカクテルを注文し、グラスを受けとると急いであたりを見渡し逃げるようにフロアの隅へ身を寄せる。やっとの思いで壁に背を預けグラスの酒を一口飲んだ。それはひどく甘く、そしてむせかえるように強い酒で喉を通った瞬間焼けるような熱が全身へ広がった。心の底でここに来たことを少し後悔した。そして気を紛らわすために吸った煙草は酒のせいなのかいつもより甘く感じた。特に何かをするでもなく、かといってじっとすることもできず、ただグラスに口をつけては煙を灰に入れた。しばらくするとグラスの酒はなくなり、灰皿には自分だけの吸い殻が積み重なっていた。その吸い殻を見た途端に今の自分の姿が偉くみじめにも思え、もたれていた壁から背を放そうとしたとき、実に奇妙な光景を見た。誰もがきらめく照明や音楽に身をゆだね、この一瞬を全力で楽しんでいる。そんな中、ただ一人だけスマホのライトを足元へ向け、何かを探すように腰をかがめている女性がいた。