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次の日曜日、浜浦駅の近くにできたというテーマパークにやってきていた。春川組?の人が気を利かせ護衛として運転手の男、獅子合をつかせてくれた。「三人共、よろしくな。」
「よろしく、兄ちゃん!」
ヒロトとアキラはすぐに打ち解けたようだ。
「コウタ、このお兄さんは大丈夫だよ。」
「……あぁ。」
俺はじっと彼のことをにらみつけた。
「ほう、俺をにらみつけてくるとはな。なかなか肝の座ったガキじゃねぇか。」
獅子合は俺の頭をわしゃっと撫でた。
「なでんなっ」
そう言って俺は抵抗する。その間に玲子さんとヒロトとアキラはもう最初に乗る乗り物を決めていた。
「どこから行く?」
「俺ジェットコースターに乗りたい!」
ということで三人はジェットコースターから順に乗っていくことにした。俺は乗りたくないので獅子合と一緒にベンチで休憩していた。
「なぁ、あんたって玲子さんのなんなんだ?」
「あんたって……可愛げがねぇなぁ。」
彼はコーヒーを一口飲み、空を見上げる。
「幼馴染だよ、ただの。」
「ふーん……」
俺もコーラを一口飲むと、今走っているジェットコースターのほうを見た。
「玲子さん、昨日あんたの話をしていたけど、とてもそんな風には聞こえなかった。」
「そうなのか?」
「うん。」
彼は考えるとこう切り出した。
「きっと幼いころからずっと一緒にいるからだろうな。」
「そういうもんか?」
「そうだろ。俺は極道だ。あいつに俺は釣り合わない。あいつもそう思っているだろうさ。」
彼は自分にそう言い聞かせるようにそう言った。
「それ、玲子さんに聞いたのか?」
「いや……?」
「そこは聞けよ……」
俺はあきれたようにため息をついた。こいつ絶対玲子さんのこと好きだろ。小学生の俺から見てもそれは明らかだった。
「気持ちくらい聞いてやればいいんじゃねぇの。そうじゃねぇと俺たちが奪っちまうぜ。」
「はっ。生意気言いやがって。」
彼はまた俺の頭をわしゃっと撫でた。その時だった。
「きゃああああああああああ!?」
玲子さんの悲鳴が聞こえた。
「いや、あいつ叫びすぎじゃね?」
その後帰ってきた玲子さんは青い顔をしていた。
「死ぬかと思った……」
「どうやら玲子にも怖いものはあるらしい」
一方、ヒロトとアキラは俺を連れてもう一度乗る気満々だ。
「今度は三人でいってこい。俺たちはここで待っているからよ。」
「はーい!!」
そう返事をすると三人はジェットコースターのほうへ行った。
ジェットコースターはなんというか、特に感想もなく終えた気がする。戻ってくると獅子合は顔を真っ赤にしていた。
「玲子さん、大丈夫?」
「大丈夫。もう平気だよ。」
「あんたは何やってんだ?」
「なんでもねぇよ!」
そしてまたほかのアトラクションにも乗るべく俺たちは動き始めた。お化け屋敷やコーヒーカップ、メリーゴーランドを周り、最後に観覧車へ乗った。
「よかったね、買ってもらって。」
「うん!」
獅子合に買ってもらった恐竜のぬいぐるみをかかえ俺は夕日を眺めていた。
「きれいだね。」
「あぁ……」
ヒロトとアキラは玲子さんたちの方を向くと玲子さんの顔をまじまじと見つめた。
「なんだか玲子お姉さんがきれいに見える!」
「えーそう?」
「見えるって!な、獅子合お兄さん!」
「ん?あぁ、そうだな。」
獅子合もヒロトとアキラの言葉に同意した。玲子さんは照れくさそうにヒロトの頬をぐりぐりする。
「もーやめてよ、三人とも!」
俺は獅子合の顔が赤く染まっていることに気が付いた。ほかの人なら夕焼けと間違えるほどほんのりとした赤色だ。
(あとでからかってやろう)