◇◇◇◇◇
リオたちは、冒険者ギルドでの報告を終えて王城に帰って来た。
リオたちの帰還を聞きつけて、早速シャビル王子が出迎えてくれた。ちょっと駆け足。
シャビル:「いやー、よかった。無事帰ってきて。
心配してたんだよ。」
なぜか、リンドウに向かって喋っている。
リンドウ:「……。」
リオ:「はい。無事戻ってきました。」
シャビル:「うん。良かった。」
あれ?シャビル王子のテンション下がった?
王子もまだ昼食前だったので、一緒に昼食を取ることになり、北東の魔物の森であったことを話ししながら団欒していた。
シャビル:「そうなんだ。ヘルサイズの拠点が殲滅されたんだね。王国としてはありがたいことだよ。」
リオ:「はい、それにヘルサイズ幹部の飛剣のアズワドもリンドウが倒しました。」
シャビル:「え?リンドウが?
そっか。やっぱりリンドウはすごいね!」
リオ:「王子の方は何かありましたか?」
シャビル:「うん、ちょっとね。
また、調査団に加われって話が出てるんだ。
また、兄が何かやってるみたいなんだよね。
まあ、今は国王が反対してるから決定にはなってないんだけどね。」
リオ:「そうなんですか。大変ですね。」
シャビル:「それでね。もし決定になったら、また護衛をお願いしたいと思ってるんだけど。
もちろん、護衛料は奮発するからさ。」
リオ:「僕はいいですよ。リンドウとカゲロウは?」
リンドウ:「もちろん、リオがいいならいいわよ。」
カゲロウ:「そらそうや。主が決めたことは絶対や。」
シャビル:「そうか!ありがとう!」
王子、めっちゃ喜んでるな。
シャビル:「あ!それと前言ってた国王からの褒美を預かってるから渡しておくね。」
リオ:「ありがとうございます♪」
リオは褒美の袋を受け取った。
チャリン!(効果音)
所持金:120750000ペロ
国王からの褒美は1千万ペロだった。
そう思うとシャビル王子の護衛料ってものすごく奮発してくれてたのかもしれないな。
金銭感覚がおかしくなってきたぞ。
これで11連が120回分になったなぁ!
うっほー!
あれ?僕また変な顔してた?
◇◇◇◇◇
その頃、アルビル王子の居室にて。
バタン!
ハガン:「殿下。ちょっとお知らせが。」
アルビル:「おう。ハガンか。慌ててどうした?」
ハガン:「アズワドが殺られました。」
アルビル:「はぁ!?あいつ何やってんだよ!」
ハガン:「例の女に返り討ちにあったらしいです。」
アルビル:「ったく!くそ!どうなってんだよ!
あの女、そんなに強かったのか!?」
ハガン:「はい、拠点も殲滅したとのことです。」
アルビル:「はぁ?はぁ!?マジか?」
ハガン:「マジです。
アズワドに留守中にSランクハンターの襲撃に遭って、殲滅したらしいとのこと。
ギルドも慌ただしく、拠点の処理に向かったそうです。」
アルビル:「それは不味くないか?
俺らの関係があるものとかないんだろうな?
あいつ抜けてるからな。くそっ。
ハガン!何人か連れてお前も行ってこい!」
ハガン:「はっ。承知。」
ハガンは、アルビルの部屋を出て行き、数名の近衛兵を引き連れてヘルサイズの拠点に向かった。
◇◇◇◇◇
同じ頃、サザンオール王国の国境付近にて。
レキ:「この辺りの森は結構魔物が多いが、冒険者もそこそこいるな。マリス。狩っていくぞ。」
マリス:「いいわよ。レキの人間嫌いの性格は大好きよ。魔人に近いものがあるわね。」
レキ:「俺はヘルサイズに拾われるまで奴隷以下の生活だったからな。
今でも思い出すだけで反吐が出る。
ヘルサイズも大概だが、人間の嫌な部分を見なくていいだけマシだったよ。」
マリス:「ふふふ。それじゃあ、思う存分狩って行きましょうか。楽しみね。」
レキ:「ああ、マリスの強さはここに来るまでの魔物討伐で把握したからな。
これなら、そこらのSランクでもなんとかんりそうだしな。
これからは遠慮せずに冒険者の奴らと対峙できるぜ。
お!冒険者の御一行がこっちにきたぞ。
アイツら行っとくか?」
そこへ冒険者4人のグループが現れた。
その冒険者の前にレキだけが姿を見せる。
リーダー:「誰だ!なんだ。ガキか。
お前、こんなところに1人ではぐれたのか?」
レキ:「まあ、そんなところだ。」
リーダー:「それはラッキーだったな。
俺たちは親切な冒険者だ。
なんなら、一緒に連れてってやる。
この辺りはBランクの魔物も出るんだぜ。
1人じゃ危険だろう。
俺たちが面倒見てやろうか?
荷物持ちくらいはできるだろうからな。
それとも、ここで野垂れ死ぬか?」
レキ:「へえ。お兄さんたちはランクはいくつなの?」
リーダー:「俺はBランクだ。他の3人はCランク。
心配しなくていいぜ。
護衛料は安くしといてやる。」
レキ:「いいねえ。Bランクなんだぁ。
じゃあ、結構強いよね?
楽しみだなぁ。どれくらい持つかなぁ?」
レキは冒険者に向けて、いやらしい笑みを浮かべた。
リーダー:「どういう意味だ?お前、何を言っている?
クソ生意気な!死にてえのか?」
レキ:「どういう意味も何も、狩るにはちょうどいいかなぁってね。
マリス!出てきていいよ。」
マリス:「ふふふ。もういいの?
あまり強そうには見えないわね。」
リーダー:「なんだ!?その女は?翼が生えてるだと!?
お前、新種の魔物か?
みんな!戦闘体制を取れ!
こいつらは敵のようだ!
ヘルサイズかもしれんぞ!」
冒険者の4人は戦闘体制を取って、レキたちの周りを取り囲んだ。
リーダー:「お前、死んで後悔するなよ!」
レキ:「ああ、後悔はしないよ。マリス!」
マリス:「ふ。お前たちに絶望を与えてあげるわ。」
マリスが語るのと同時に冒険者は突然、地べたに這って動けなくなった。
リーダー:「なんだ!?足をやられた!動けない!
わー!やめてくれー!助けてくれー!」
冒険者たちは、両足のアキレス腱を切られて、意識のある中で身動きの取れない状況に全員がパニックになっていた。
マリス:「ふふふ。その表情堪らないわね。
いいわよ。もっと喚きなさい。」
レキもマリスと同様に、冒険者たちの姿にどす黒い笑みを浮かべて少しの間眺めていた。
レキ:「やめてって言って、止めるやつはいないんだよ。ちょっとは弱者の気持ちがわかったかい?
勘違いの冒険者さん?」
リーダー:「悪かった!死にたくねえ!頼む!」
レキの中のどす黒い感情がどんどん大きくなっている。マリスを従えたことで、人間、特に冒険者に対しての復讐心が堰を切ったように、レキの心を支配した。
そののち、レキ自身が4人の冒険者たちの人生を1人ずつ終わらせていった。
そのとき、レキには人を殺した罪悪感もなく、むしろ、高揚感に包まれていた。
現代風に言えば、まさにサイコパス。
レキ:「マリス。お前がいれば、人間を殺るのは楽勝だな。
しかも、魔物を狩るよりレベルアップするみたいだぞ。」
マリス:「そうね。上位ランクならもっと効率いいんじゃないかしらね。」
レキ:「じゃあ、人間狩りを続けて行くか!」
マリス:「頼もしいわね。あの方も喜ぶんじゃないかしらね。ふふふ。」
レキは殺した冒険者から食糧や目ぼしい金品を奪って、その場から立ち去って行った。
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