テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
蓮
75
#リヴァイ兵長
さらん
4,937
「なぁ」
「口付けしてもいいか」
予想外の言葉に私は一瞬にして
思考が停止した。
「聞こえなかったか。口付け…」
「き、聞こえてます!!」
「……」
「……」
「え、その…今からですか?」
「いつならいいんだ」
「…寝ぼけてる時はやです」
「寝ぼけちゃいねぇよ」
「じゃあせめて顔を上げてください…」
すると兵長はおもむろに体をあげ、
立ち上がった。
机に手をつき、
私を腕の間に収めるような形になって
逃げ場を閉ざされた。
「…嫌だったら逃げろ」
ずるい。逃す気ないくせに。
「…嫌じゃないです」
まっすぐ目を見てそう言うと、
兵長は迷いなく唇を重ねた。
私の熱も、心臓の音も、触れてる唇から
全て伝わってしまいそうだった。
…私、兵長とキスしてる。
長いようにも短いようにも思える
時間のあと、 唇が離れる。
「へ、兵長…」
「何だ」
「約束は”抱きしめる”だったはずでは…」
「…そうだったな」
兵長は私の背中に腕を回した。
「◯◯」
「…好きだ」
心臓が大きく跳ねた。
はっきりと言葉でそう言われたのは
初めてだった。
涙がじわっと込み上げてくる。
「兵長」
「どうした」
「幸せすぎます…」
「大袈裟だな」
「…兵長、私からもいいですか?」
「何…」
ちゅっ、と今度は私から
兵長に唇を重ねる。
「…てめぇ」
表情こそいつもと変わらないが
耳の先が赤くなっているのに
本人はきっと気づいていない。
「ふふ」
「何を笑ってやがる」
「いや、”キス”じゃなくて”口付け”なのが
兵長らしいなと」
「馬鹿にしてんだろ」
「してません」
呆れ顔の兵長さえも愛おしい。
「今日はもう戻れ」
「え、もうですか?」
「これ以上ここにいられると
俺が仕事をする気がなくなる」
上官らしからぬ煩悩を言葉にする兵長に
思わず笑ってしまう。
「兵長も今日は早めに休んでくださいね」
「あぁ」
扉に手をかけたところで
背後から声がした。
「◯◯」
「…はい?」
振り返る。
「今日は、ちゃんと眠れそうか」
一瞬、その言葉の意味がわからなかった。
でもすぐに気づいた。
医務室で「行かないでください」と
彼を引き留めた夜のことを。
兵長は覚えていた。
「…はい」
自然と頬が緩む。
「今日はよく、眠れそうです」
「そうか」
今度こそ扉を閉める。
唇に残る余韻を確かめながら
私は実感した。
私はこの人の隣にいていいのだと。
ふと、父の言葉を思い出した。
“大切な人には、伝えられる時に
気持ちを伝えるんだぞ”
──お父さん、
ひとつ、約束を果たせたよ。
コメント
1件
わああああ第33話ついにきたああああ😭💕💕💕 「口付けしてもいいか」って兵長が直球すぎて心臓止まるかと思った!! 「逃げ場を閉ざされた」とか「嫌じゃないです」っていう主人公の覚悟とか、もう全部がエモすぎて何回も読み返したよ…っ しかも最後の「今日はちゃんと眠れそうか」って医務室の日のこと覚えてたんだね…?それだけで涙腺決壊したわ🥺✨ お父さんの言葉も回収されて、本当にいい話すぎる。さくさん、尊いをありがとうございます…!!