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「悠人さん。終わりました」



「梨花ちゃん、ありがとう。お疲れ様、明日からも頼む」



「はい。わかりました」



ニコッと笑う梨花さんの笑顔は本当に綺麗だ。

私の笑顔とは段違いだ。



私のこと、いとこだって言ってもらって良かった。

「あんな地味な人がどうして美容師なんだ?」って思われてるかも知れないけど、でも、いとこだから仕方なく雇ったんだろうって……そう思ってもらえる。



本当に、早く1人前になりたい。

そしたら、ほんの少しだけでも自分に自信が持てるような気がするから。



「みんな帰ったな。俺達も帰ろう」



「……うん、そうだね」



この店に2人きり……

あの日のあのことが、また頭をよぎった。



恥ずかしい。

でも、本当に……忘れられない素敵な夜だった。



「穂乃果、行こう」



「あ、うん。今行く」



私達は店を出て、車に乗り込んだ。



次の日からは、輝くんにいろいろ教えてもらい、夜には梨花さんにカットの練習に付き合ってもらった。



悠人は。基本はこの店に在籍してるけど、他にもオーナーとして4店舗抱えてて、行ったり来たりしている。それに、たまにお父さんの仕事も手伝ったりしてるみたいで本当に忙しそうだ。



でも、お客様と向き合ってる時は、穏やかな表情で一切疲れを見せない。お客様も、悠人に施術してもらってる時は、まるで自分がお嬢様やお姫様みたいな気持ちになるんだろう。みんなニコニコして幸せそうで。そんな風に人を幸せにできるって、悠人はやっぱりすごい、本物のカリスマだ。



確かに、悠人の施術費用は高い。それでも、予約が空いたりキャンセルになることは滅多に無い。お客様も、悠人の技術と幸せで特別な時間を買うために、みんな普段頑張ってるんだろう。

もちろん、お金持ちのお客様も多いみたいだけど……



私は、そんな悠人にカットしてもらって、しかも、告白までしてもらったんだ……

やっぱり全然実感が湧かない。

どうして……私なんだろう?

綺麗で可愛い人達が周りにたくさんいるのに……



「穂乃果さん、次の日曜日の夜なんですけど、歓迎会やるんで出て下さいね」



声をかけてくれたのは輝くんだった。



「え、あの、もし私の歓迎会とかだったら、わざわざしなくて大丈夫ですよ」



「僕の提案です。悠人さんに話したら、ぜひって言ってもらいましたから。穂乃果さんが大丈夫ならその日にさせて下さい。僕、一緒にお酒飲みたいです」



歓迎会なんて申し訳ないよ……

どうしよう……



「お店、予約しますね。楽しみにしてます」



輝くんって、元気で可愛い弟みたいなイメージだけど、時々、男性の顔になる時がある。

今も、そうだった。

お店でもお客様からとても人気があるし、きっと可愛い彼女がいるんだろうなって思う。

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