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授業があまりに退屈だったので、窓から見える校庭で持久走をしている同級生を使って、レースをしていた。もちろん一人でだ。友達がいないからだ。ちなみに俺が賭けたのは、パラグアイと日本のハーフの彼だ。現在2位。差せ差せ!!
「なにニヤニヤしてんの」
いきなり隣から声がかかってきた。びっくりして、
「べ、別にしてないでしゅよ」
噛んでしまった。そんな情けない俺を見て、隣の美少女、赤嶺紅来〈あかみねくくる〉はクスクスと笑った。
「ねぇ、六車くんって今日、図書委員の仕事ある?」
「ありますよ」
「じゃあ一緒にいこうよ」
いきなり誘われ、言葉に詰まった。なんとか絞り出した言葉は、とても情けないものだった。
「い、いいんですか?その、俺と一緒で……」
「いいに決まってんじゃん何言ってんの」
さも当然かのように言う彼女に、なんて返せばいいのか分からず、「わかりました」と言って頷くことしかできなかった。あと15分で放課後なのだが、その15分はとても長く感じた。
授業が終わり、帰り支度を済ませ、直ぐに教室を出た。少し進んだところで立ち止まり、紅来を待った。すると、急いで教室を出て、きょろきょろ慌てたように誰かを探している紅来が見えた。目が合うと、ててっとこっちに駆け寄ってきた。
「なんで先に行っちゃうの?」
「いや、なんか教室から一緒に行くといろいろアレだからですよ。赤嶺さんに迷惑かかっちゃうかもしれないですし……」
「別にそんなの気にしなくていいのに」
そう言われるが、紅来のような高嶺の花と風車の俺が一緒に居るところを、快くおもわない輩も少なからず居るだろう。そのせいで紅来が嫌な思いをするのが1番避けたかった。だが、紅来にそう言われては、これ以上気を使うのも違うとおもい、一旦気にしないことにした。
「じゃあ、いこうよ」
「はい」
そのまま2人並んで図書室へ向かう。そのまま図書室まで半分ほど進んだところで、
「ねぇ」
「なんですか?」
「前からおもってたんだけど、なんで敬語なの?」
「え?」
「私たち同級生じゃん。タメ語でいいでしょ」
「あぁ……」
確かにそうだ。けど、どう考えても赤嶺さんは俺なんかと同じ立場じゃないし、スクールカーストだって違う。俺なんかがタメ口で良いのかとおもったが、さっき気を使わないと決めたのだ、お言葉に甘えることにする。
「わかった、これからは敬語はやめるよ」
彼女は嬉しそうに頷いた。そうしているうちに、図書室に着いた。