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きょうきゅう。
336
ゆゆだよ
20
forsaken
【JaneDoe ✖️ JohnDoe】
⚠︎死亡描写あり
⚠︎心中のシーンがあります
R18ありません
重い話になってしまったので覚悟して見てみて下さい
頭痛が絶えず僕を蝕むんでいる。一体僕は何をしていたのか?何日も眠りについていたような感覚だ。
だが意識が戻ると、僕は外にいるようだった。
周りのビルは殆ど崩壊していて、僕の周囲の地面には黒いノイズのようなものが散らばっていた 。
自分の右手を確認すると、何故か赤いものが付着してる。傷口は見当たらない。
鉄臭いその匂いから何なのか察する事は出来るが、考えたくなかった。
ふらふらと周囲を歩く。自分の左手…とも呼べない見た目になったそれは、僕のものじゃないかのように重い。
実際に僕のものではなくなったんだと思う。
目眩が酷く、今にも意識は飛びそうだった。
僕を呼び戻してくれたのは、気づかぬうちに僕の元に駆け寄ってきていた1人の女性だった。
「ねえ、あなたなの?」
そう尋ねてきた見知らぬ女性の名を、僕は知らない
その艶やかなピンクの髪や、僕の事を理解しているような話し方にはどこか懐かしさがあった。
…まるで以前にも会った事があるような不思議な感覚だ
「…覚えてる?ジョン…私は_」
女性が震える声でそう言いかけた時、僕は突然強烈な目眩に襲われた
何か言ってるが聞き取れない、意識が別のナニかに乗っ取られていく感覚がする。
分からない。頭が理解をしてくれない。
ドサ、と僕は地面に体が叩きつけられた。
ただ最後に認識できたのは、ただ女性の涙が顔から零れ落ちる姿だった
次に意識が戻った時、瞼を開く事すら億劫だった
やっとの思いで瞼をこじ開けると、そこは見慣れないログの天井だった
僕は恐らくどこかに横たわっている。
硬い感触がせずふかふかな弾力を感じており、それは僕がベッドで寝ているという事を語っていた
体は何故か酷くだるく、呼吸をするのもやっとだ。
そして、視界の端から先ほどの女性の顔が現れた。
だがその顔を認識するのは、何故か僕には困難だった
女性の衣服は部分的に破れていたり、怪我をしているのか至る所から血を溢れ出していた
少し心配になりながらも、僕は女性の様子を観察していた
女性は独りで何かうわごとを呟いている。
僕は声をかけようと口を開いた
「…っ」
言葉を発せない。
脳は僕の命令を無視していて、拒絶されたかのようだった
「…ジョン?」
僕が目を覚ましたと気づいたのか、女性は優しい声色でそう声をかけてくれた
それが僕自身の名前であると気づくのには少しだけ時間がかかった。
彼女は何で僕の名前を知っているのかは分からない。
僕の顔を静かに見つめた後、どうやら女性は僕が話せないと分かったようで、淡々と独り言のように話し始めた
「……覚えてないかもしれないけれど、私は…あなたの、妻だったのよ」
…妻という単語を聞いた瞬間、欠けていた記憶が一つ戻ってきた。
あの日、彼女が僕を信じて任務に送り出した事。
あの時、僕は何かに襲われた事。
女性が僕の大切な人だという確信はない。だけれど何故か彼女の言う事は嘘だと思えない
「あなたを独りにしてしまって、ごめんなさい」
女性はすすり泣きながら続けて言った
「私は、ずっとあなたと生涯を過ごしたいと思ってた」
「それはあなたが行方が分からなくなる前も、そして今も。」
女性がそう言った後、紙をペラリとめくる音がした。
何かメモを取っているのだろうか?
女性の泣き声はより悲痛なものになり、彼女は息を深く吸って落ち着こうとしていた
その声をきいていると、僕は自分の恋人を慰めていた時の事を思い出した。
徐々に頭はその時の光景で塗りつぶされていった。
あの日、外は土砂降りだった
家では彼女が涙を流していたんだっけな。
『どうしたの?』
僕が心配してそう尋ねると、彼女は俯きながらこう言った
『……分からない…急にこんな気分になったの』
『…大丈夫。僕が全部受け止めるから』
僕は彼女をそっと抱きしめて、人差し指で優しく涙を拭き取った
『…ありがとう。ジョン』
その時、彼女が安心したように頬を緩め眉を下げながらも笑ってくれた。その顔は今でも鮮明に忘れられない記憶として残っていた。
この世界で今まで僕が見た中で、どんなものよりも美しかったと思う
その出来事を思い出した時、僕の頭には一つの単語が浮かんだ。
もしかして…
「……ジェーン?」
自分でも聞き取れない程掠れた声でそう呟いた。
女性は聞き取れたようで、驚いたように顔を上げた
「…っ!?…なんで…分かるの?ねぇ…」
嬉しそうに、でもどこか悲しげにそう言った
記憶がぽつり、ぽつりと断片的に蘇って来る。
確かなことは、僕は彼女を心の底から愛していたという事だ。
そして、それは今も変わらない
体を起こし、僕はあの日のように彼女を抱きしめた。
「…愛してるわ」
ジェーンのその言葉は、唯一僕に希望をもたらしたものだった。
彼女は…ジェーンは、かつての任務で見捨てられた僕を、人間とかけ離れた形へと変貌してしまった僕を、姿が変わってしまってもずっと愛してくれていたんだ。
けれど、この時間が長く続かないのは分かっていた。
無理に体を動かしたせいか、再び視界はボヤけて意識まで朦朧とし始めてしまった
それに抗おうと暴れようとするが、体はピクリとも動かせない。
すぐに不可能だと悟り、僕はせめて彼女の顔だけでも見ようと必死になる。
黒で塗りぶされていて見えていないその綺麗な顔を脳内で思い描き、力を振り絞りその綺麗な唇に自身の唇を重ね合わせた。
(大丈夫…またすぐに会えると思うから。その時は、一緒にここを抜け出そう)
「…こうなるだなんて、最初から分かっていたわ」
さっき彼が自我を失った時には、腐敗の進みを少しでも遅くする為のクリスタルがあった。
だが、今はもう手元に一つも残っていない
逃げることなど困難だと思う。彼は腐敗に体を乗っ取られてから身体能力が異常な程に高くなった。
「腐敗に一度侵された者が元に戻る術はない…」
「あなたの体は、もうあなたの物ではなくなってしまったのね」
私は愛する夫の頰に手を当てた。
人肌を感じられない。
「…あなたを助けられなくて、ごめんなさい。」
視界はボヤけ、ぽろぽろと目から涙が落ちていく
後数分もしないうちに彼の体は完全に腐敗に侵されて、二度と自我を取り戻すことはないだろう。
これ以上彼が、怪物として人を殺めていく姿なんて見てられない。
私は意識を失い苦しげに唸り声を上げている夫のその左腕に触れた
人としての形を失っていくその姿は見るに耐えない。
私は、ドアの横に立てかけていた斧を手に取った。
そして、夫の首にそっと先端を当てた。
「私もすぐに行くから…待ってて、ジョン」
手は震え、躊躇をしてばかりで一回振るっても傷が浅く入っただけだった。
何度も振るう。
その度にドン、と嫌な音が小屋に響く
それでも私は振るい続けた
愛しい夫の為に。
どのくらい時間が経っただろうか?
彼の口元に手を当てた。
途中まで浅く息をしてる様子はあったが、今は…完全に止まってしまっていた。
「…もう、後戻りは出来ないわね」
涙で歪む視界を手で拭い、
私は斧を自分の胸に当てた。
「もし、あの時に戻れるなら」
「私はあなたを引き留めたい」
「ごめんなさい。」
コメント
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うわ…これは心臓にくる話だった。タイトル「再会」がこんなに切ない意味になるとは思わなかった。彼女が斧を手に取るシーン、手が震えて何度も振るう描写が生々しくて、読んでるこっちまで息が詰まったよ。最後の「私もすぐに行くから」で、ああ、この二人は本当に愛し合ってたんだなって…泣けた。短いページ数なのに、ここまでドラマを詰め込めるのはすごい。ぽんぽんぽんさん、重いけどいい話をありがとう。