暗い森。
明かりなしではほぼ見えない。月明かりや星の明るさで空は多少見えるものの、木の生い茂った森の中では地面にまで光が届かない。
人の歩いた形跡のある道は川まで繋がっているらしく、舗装されてはいないものの歩こうと思えば歩ける道だ。
E「あろま、あろまってば」
俺の呼びかけに振り返りもせず、その足も速度を緩めない。
E「何なんだよ…」
いつの間にか近づいていた川のせせらぎか聞こえる。しかしそれに何が言うわけでもなく、何を考えているのかわからないこいつの行動に、呆れていたその時。
A「静かに!」
E「えっ?」
早足だったあろまが急に立ち止まって俺の手を引っ張る。そのまま道を外れて木の陰に隠れるようにしゃがんだ。
E「おいあろま、なん―」
A「静かにしろって!」
E「むぐっ」
あろまはチッと舌打ちをしながら手で俺の口をふさぐ。
理由がわからず言われたとおりにしていると、遠くのほうから足音が聞こえる。
E「あ…あいつらか…」
小声で呟き隣のこいつを見ると、さも楽しげな表情で後から来た2人を眺めていた。
E「おいあろま、何すんの」
A「あいつら撒くんだよ」
E「なんで…」
A「やったふりして逃げる。風呂入りたいから」
するとどこに隠していたのか、タオルを取り出し、俺に目配せをする。用意周到だな。
E「いいの?」
A「いいんだよ、勝手にやってるだけなんだから」
E「でも…」
A「ほら、行こうぜ」
また俺の手を掴んでそーっときっくんたちから離れていった。ちょっとメタルギアっぽいかも、なんて変なことを考えながらその後をついていく。
E「っはぁ…はぁ…あろま…速いって」
A「悪いな、でもほら、着いた」
2人がさっき言っていた、近くにある小さな銭湯。少し寂れていて雰囲気のあるところだ。電球には虫がたくさん飛んでいて、ザ・山奥の風呂屋って感じだ。
E「入るか」
A「ん」
持ってきてくれたタオルを受け取り、俺達は浴場に向かった。
To Be Continued…
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