〜数十年前〜
ゴソゴソ………。ガサガサ……。
「み~つけた!!!」
木の陰から、青年が覗き込む。
「お兄ちゃん〜!見つけるの早いよ〜。」
子供がしょぼんとした顔でしゃがみ込む。
「おいおい……。もうすぐご飯だから行くぞ。」
青年が言う。
「えっ……?ご飯……!?」
青年の身長の半分以下の少女リサが目を輝かせる。
「相変わらずご飯好きなんだな…。」
青年が苦笑いする。
「でも…あの人怖いよ………。」
リサの顔が真っ青になる。
「大丈夫だ。お兄ちゃんが守ってやる。」
青年がにこやかに笑う。
「兄ちゃん〜!!リサ〜!!」
遠くから少年が二人を呼ぶ。
「は〜い!今行く〜!!リサ、行こ!」
青年がリサの手を引き走り出す。
〜数十分後〜
「これ…だけ?」
皿の上には、少ししかないパンがあった。
「あ?文句あるのか?お前たちは俺に助けられてるんだろ?じゃあ、口答えするな!」
この孤児院の院長と思われる、二十代の男が孤児院の子供たちに厳しく言う。
「おい、”無名”後で玄関掃除しろ。」
青年が歯を食いしばりながら頷く。
「おい…。それをこなしたら皆にもっといいご飯食わせてやれるのか?」
青年が恐る恐る聞く。
「あぁ…。いいぞ。」
院長が頷く。
「……………。」
青年が少し考える。
〜数十分後〜
「リサ…。やったな!もっといいご飯が食べられるぞ!!」
青年が嬉しそうに孤児院の子達の頭を撫でる。
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