テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
触れたら、終わる
放課後の生徒会室。
夕日が差し込み、机と床に長い影が伸びている。
書類整理も終わり、沈黙だけが残った。
「……ねぇ」
ミユが口を開く。
「はい」
コビーは即答するが、内心は警戒態勢。
(この間の取り方……何か来る)
ミユは立ち上がり、ゆっくりと近づいた。
「距離、近くないですか?」
「……そう?」
「恋人なんだから、普通じゃない?」
(普通、って何だ)
(“普通”に応じたら負けだ)
コビーは一歩も引かない。
二人の距離は、確実に縮まっていた。
――顔が、近い。
(……近い)
(キス、って距離)
ミユの心臓が早まる。
(でも、私からはしない)
(絶対に)
コビーも同じことを考えていた。
(ここで僕が動いたら)
(欲望を認めたことになる)
(それは、敗北)
数秒。
いや、永遠のような沈黙。
ミユが先に顔を逸らす。
「……なに固まってんの」
(逃げた)
(でも、負けてない)
コビーも視線を外す。
「会長が急に近づくからです」
結果。
キス、未遂。
夜、二人とも眠れない。
(あと一センチだった)
(でも……先に行かなくてよかった