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「母親に似て 笑顔が似合う可愛い娘でした」

「母親を失って あの子も悲しいはずなのに」

「私は大丈夫だよって笑っていました」

「優しく素直な良い子で」「でも…」


捜査ファイル

No.01

「水槽」

最近 世間を騒がせている とある事件がある

連続女性誘拐事件

決まって同じ血液型 そして同じ体型

彼女らに接点はなくとも

少なからず身体的特徴が一致している

警察は捜査本部をおき 一刻もはやい解決に勤めている

「ふぅ~」

「お疲れですか 先輩」

「あぁ 例の事件の捜査でな 全く進展がない」

「被害者の交友関係 当時の足取り 何一つこれと言った手掛かりがない」

「無差別的な犯行…ですかね…」

「無差別にしては 血液型が一致している

唯一の手掛かりがこれではな」

というと彼女は大きくため息をついた

「コーヒーでも淹れてきます」

「あっ 有り難う」


(なぜ 同じ血液型を狙うのか 目的は誘拐か

殺すために拐っているのか…)

とその時扉が勢いよくあいた

ガチャッ


「被害者の者と思われるネックレスが発見されました!」

声を荒げて入ってきたのは捜査に出ていた警察官

先日 誘拐されたと思われる女性の足取りをおってきた際に偶然発見したらしい

「鑑定の結果 女性の指紋とネックレスに付着していた指紋が一致しました」

「オォ ついに手掛かりが」

「いえ それが被害者以外の指紋は確認されず」

その後も男は話を続けた

「先輩 何かあったんですか?」

コーヒーカップを両手にもち こちらに近づきながら言った

「被害者のネックレスが発見されたらしい」

「犯人の手掛かりは?」

彼女は首を横に振った

「そうですか…」

視線をドアの方に移す

「はやく見つかるといいですね」

「いや 見つけるんだよ」

そう言うと女性は席を立ち

後輩をつれ 事件の捜査に向かった








コツッ カツッ コツッ

男が暗い廊下を歩いている どこか寂しげな表情をうかべながら

その廊下の両脇には大量の水槽がある

中身は何かの塊である 鉱物とも植物とも見えるそれは時折奇妙にうねる

男はそのまま廊下の奥にある扉の先に消えた

扉の先に何があるのか そこで何が行われているのか 大体想像つくだろう

誘拐された女性たちは殺されていた

バラバラにされて

何がこの男をそこまで駆り立てているのか

復讐か 憎悪か 嫉妬か

ただ並々ならぬ決意がそこにはあった

他を犠牲にしても成し遂げたい

彼にとっての何かが

男はバラバラにした死体をキレイに部位ごとにわけ 冷凍保存していた

男は医療の知識があるのか

バラバラにされた部位の断面はとてもキレイで

細胞を極力傷つけないように丁寧に切断されていた

「………もう少し…」

「もう少しなんだ あと少しで」

男目線をあげる


目線の先には小さな水槽

その中には…………



大きな道路から少し離れた自転車屋

先日の被害者が最後に目撃された場所だ


「すいません」

「はいっ いらっしゃいませ」

パッ 

「警察です もう一度監視カメラの映像を見せてもらっても 宜しいですか?」

「警察の方ですか えぇ 構いませんよ」

女性警察官二人は店主に連れられ店の奥へ入っていった

「どうぞ」

「有り難うございます」

ストッ 

椅子に座り 当時の監視カメラ映像を見る

スゥー スゥー カチカチッ

「この女性が映っていたのはこの日だけですか?」

「えぇ はい この前来られた後 

私の方でも何度か見返したのですが……

映っていたのはこれだけです」

「あぁッ!」

突然 店主が何か思い出したように…

「そういえば……数日前 いました

この女性に間覚えがあるかと訪ねてきた人が」

「ッそれは男ですか?女ですか?」

「おっ男の人でした」

「その男の特徴を教えてくれますか」

後輩警察官がスッとメモを構えた

店主の話によると2日前 女性の写真を持ってこの店を訪ねてきた男がいたらしい

男は帽子にマスク 黒いロングコート

年齢は30代後半から40代前半ほど

身長はかなり大きく 180㎝は越えており

体格もよかったと言う

(180を越える大柄な男 160㎝そこらの女性なら一人でも運べるか……)

さっ プルゥLU LU LU

「もしもし 犯人らしき男の目撃情報を得ました」

「はいっ はい 今すぐ戻ります」

「一旦 戻るわよ」

「はっ はいっス」

そう言うと店主には目もくれず 立ち去っていった

「ちょっ 先輩ぃ あっ有り難うございましたッ」

クルっと振り返り店主に一礼

後輩のほうがちゃんとしている

見習ってほしいものだ

「いえいえ はやく見つかるといいですね」

と言うと敬礼をした

すぐさま敬礼でかえす

その後 彼女は先輩のあとを追った



「ただいま 戻りました」

「目撃情報が出たってッ」

食いぎみに聞いてくるのは先ほどネックレスを発見した男の警察官

「はいっ 被害者が誘拐される前の姿が映っていたとされる…

カメラの付いている自転車屋の店主のもとへ 女性について訪ねてきた男がいたと」

彼女も興奮しているのか 口早に説明をした

男の特徴を述べると それを聞いていた男が

「いまの話を聞いていたなッ 

今ここにいるもので 過去に被害者が目撃された現場付近の聞き込みにまわれ」 

「「ハッッ」」

数人が一斉に身支度を整え 聞き込みに向かった

「これで事件に何らかの進展があれば良いが」

「いやっ 必ずまた新たな情報が入ってくる

事件解決は近いぞ」

「はいっ」







警察が町に彷徨いている

私は捕まるわけにはいかない

まだ…

あと少し……

あと一人………






「そろそろ 帰るわよー」

「ハァーーイッ」

公園で遊ぶ娘 そしてそれを眺める母親

タッ タッ タッ タッ

娘が母親に近づいて

「ねぇ ママ これあげる」

娘の手には小さな黄色い花

「ママにくれるの?」

「うんっ」

母親は娘を抱いて 頬をこすり合わせ

「ありがとぉー 大切にするねっ」

娘に微笑みかけた

手をつなぎ公園を後にする

「今日の晩御飯は何がいい?」

「う~~ん 今日はねぇ ハヤシライスゥ」

母親はまた娘に向かって微笑みかけ

「じゃぁ ハヤシライスに決定ッ」

二人で笑いながら日が沈みかけ オレンジ色に染まった空を見ながら家路を急いだ


そんな二人を遠目で見つめる男が一人

身長は180を越えるほどの大柄の男

その目は標的を定めた肉食獣のようだ

静かに母親と娘の後を追う

その男のから発せられるただならぬ空気が

辺りを包み込んでいた

それを感じ取ったのか道を歩くものは

自然と男を避けている

と 娘が振り返り男を見た

ッッギンッッ

男と娘の目があった

男は焦りを感じた 

(見られたッ  …いやっ… 顔は隠れている

大丈夫だ)

(今ここでやるか まだ早いか 近くに母親もいる)

(やるなら母親と離れてから)

「ねぇ ママあの人 体調が悪いのかなぁ」

「えっ? どの人?」

ッッッッッ……‼️

ダッッ 

男は娘に向かって走り出した

咄嗟に母親は娘を守る姿勢を取るが

男に力で敵うわけもなく

「キャァァァァッッ」

「ママァァァ マッ…ンン ンーーン」

娘は男に抱き抱えられ口をふさがれた

「誰かァァァ 誰かぁぁ 私の…ハッ

私の娘がぁ」

母親は男を追いかけようとするが追い付けず

周りの人も呆然と立ち尽くすのみ

「ァァァ アァァァァァァ」

「ァァァゥゥァァォァ」


母親はその場に泣き崩れた

警察が現場に到着したのは

事件発生の13分後のことであった





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