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「やっっっっと着いたわ。お待たせ、ambition」
「ええ、散々待たせてくれマシタね。一人で待つのは苦手なもんデスから、貴方の弟さんと……弟さん”で”遊ばせてもらいマシタよ」
「自分の妹で遊び相手は十分なんじゃないのか?」
「……どういう意味デスか?」
「どういう意味って、お前が一番わかってるだろ。妹と永遠に繋がってるわけだろ?いい加減妹を解放してやれよ」
「語弊がありすぎデショウ。あくまで一緒にいるだけデス」
「こういう奴ほど狂人なんだよな」
「というか、貴方の弟さんの心配をしなくていいんデスか?」
「そりゃしてるぜ?でもそんなんしてる暇があればお前を殺すのが先決だ」
「随分血の気が多いんデスね。僕を殺す気ならかかって来ればいいのに」
「殺すのに時間がかかりすぎるからな、少し体力温存」
ambitionは、ネームドの中でも特殊な性能を持っている。
それは、常に第一能力を発動していることだ。
彼の第一能力は、人格をため込む能力で、気絶させた相手を自身の人格の一部として取り込むことができる。
それだけならいいが、彼の第一能力はそれを保持するのにも使う。
つまり、一度取り込んだ人格をそのままにしておくのにも能力を使うから、彼が人格を手放さない限り永遠に能力は発動することになる。
すなわち、代償も常時発動だ。
その代償というのが、人格が残り一つになった瞬間自身が死亡するというもの。
そして、最下層から出ても死ぬ。だから最下層から出てこれない。
彼はこの二重の条件を潜り抜けて戦わないといけないわけだ。
大事なのは一つ目の「人格が一つになったら死亡する」。
つまりは、ambitionの人格を減らせれば殺せるわけだが、その人格の減らし方というのが、
ひたすらambitionを殺すこと。
ambitionは、一回死ぬごとに一つの人格を減らす。
それを今ある人格分繰り返せば、いつか人格は0になるということだ。
かなり果てしない戦いを想定される上に、ambitionもこちらを取り込もうとしてくるので、時間制限がある。
ambition行きになるやつはネームドの中で一番弱い奴が多いので、当然ambitionを削り切れず、またambitionの残機になる。
そうして増え続けた人格数は、現在439。
438回ambitionを殺せば、ambitionは真の意味で死を迎える。
そして、現在ambition行きになっていた切斗。
彼がここにいなくて、ambitionは普通にいるということは、彼も削り切れなかった一員なのだろう。
でも、ambitionは相手が気絶してから取り込むのに少し時間がかかる。
そのうちに俺が削り切れれば、切斗は復活できるはずだ。
ともあれ、俺が把握すべきは、切斗が俺が居ない間にどれだけambitionを削れたか。
俺は後何回ambitionを殺せばいいか。把握出来次第、殺しにかかろう。
「今のお前の残機は?」
「ふふ、貴方の弟さんが頑張ってくれマシタからね。今、僕の中には約250もの人格が内蔵されていマスよ」
「うお、マジか。普通50くらいだろ?切斗は大体200削ったってことか」
「はい。凄いデスね、僕も中々のタフネスに驚きマシタよ」
「……あいつは最終的にどういう感じでやられた?」
「それを言ったらつまらなくなるに決まってマス。兄弟の絆で分かるんじゃないデスか?」
「言うてあっちには行ってないしなぁ、そもそも兄がいるってことを知らん可能性もある」
「一緒に暮らしてたのでは?」
「いや、あいつだけ別の所に住んでた。だから切斗には1,2回しか会ってねぇ。星斗もそう」
「へぇ、そんな少しの関係なのに命を張ってまで助けたいと思うもんなんデスか?」
「意外とな。今はネームドとして仲良くしてるし、友達としても助けたいかな」
「最高に”救世主”してて好きですよ。あくまで弟限定のようですが」
「お前だって永遠に妹とズッコンバッコンする”野望”があるだろ」
「……その言い方やめてくれマセン?僕は妹を生かしたいだけなんデス」
「妹を生かしたいから僕と同化して僕の一部になってよー!か。終わってる」
「どこがおかしいんデスか?僕だって別の方法があれば試してマスよ。倫理観を保って妹を見殺しにするなんてできマセン」
「はぁ……。だめだこりゃ。シスコンの考えることは分からんわ」
「は?ブラコンに言われたくないデス」
「黙れシスコン。近親相姦の犯罪者」
「だからそういうつもりで言ってんじゃないんデスよ。妹を汚さないでください」
「初体験はもらいたい?貰いたかった?」
「……だからそういう意味じゃ」
「見知らぬ男に膜破られるのはちょっと……」
(こいつにも妹いたらやり返せたのに……)
「やば、そろそろ救世主に戻らないと切斗が死ぬわ。お前もさっさと戦ってくれない?」
「……どの口がほざきやがる……」
ambitionがすべきだったことは、俺が戦い始めるまでに時間を稼ぐこと。
切斗を取り込みきれれば、俺はおそらく戦意を失う……とまではいかないかもしれないが、まあガン有利になる。
そもそも彼の目的は切斗(黄楽天)を取り込むこと。
だからなるべく時間を稼いで、あわよくば戦わずに目的を達成したかったんだろう。
でも、俺は当然それを理解しているので、こうやってambitionを煽りに煽って無理やり戦意を引きずり出した。
この作戦はとっさに出たけど、案外成功しているようだ。
ともかく、俺の勝利が100パーセントなくなるという事態にならずに済んだのはいいことだ。
後は俺の技量次第。俺がambitionを削り切れるかどうかの戦いだ。
「さっさとくたばれクソ野郎……!!」
「それはこっちのセリフだよマジで!!」
ambitionでうざいポイントは、ひとつひとつの人格に能力と代償があること。
主人格というのがあって、それがいつも話してる奴なのだが、戦闘態勢になると他の人格を残機にするようになる。
すると他の人格が前に出てくる。
人格はもともとネームドだった奴なので、一人一人にそれぞれ能力がある。
人格単体は弱体化しているし、元がそんな強くないやつっていうのはあって倒すこと自体は簡単だ。
でもそいつらが200弱となると大分きつい。
そう、一番心配なのは体力面だ。
ambition行きになったやつらは(あくまで噂だが)みんなスタミナ切れもしくは酸欠で気絶し、取り込まれたらしい。
倒すこと自体は簡単でも、数が多ければ倒しきれるかは別の話。
おそらく切斗もそうじゃないだろうか。普段からフォトナばっかしてるせいで体力が死んでるんだろう。
でも彼は初期からいたメンバーだから、戦闘慣れしていた。だから200倒してくれた。
俺は250くらい殺さなきゃいけないわけだが、俺は昔殺し屋だったのもあって消耗しない殺し方を知っている。
そのおかげか、50突破くらいは容易だった。
だが、殺し屋時代でも一気に殺るのはせいぜい10くらいだったわけだし、それらの何十倍もの数を休憩の暇なく殺すのは非常に堪えた。
後何回殺せば終わる?そんな問いかけをするうち、俺の体の限界は突然に訪れた。
何かに躓いたように倒れこみ、頭に響いた衝撃でギリギリ意識を保つ。
すっかり数えるのを忘れていたが、今回は記念すべき回だったらしい。
「後一回デスよ、”霧斗くん”!こんなところで負けたら弟さんはどうなっちゃうんデスか?」
「……最後はお前か……」
「はい、今までかなり機械的な殺し方デシタけど、今回はそうはいかなそうデスね」
「そうだけど……あんま動き回るなよ……」
「どうしてデスか?体力がきついってことデスか。流石に気合だけじゃどうにも」
「余計に虫だと勘違いしちゃいそうだからだよ」
「何言ってるんデスか?」
「最初からずっと羽虫みたいに見えてたんだけど、ちょこまかと動き回られると余計に虫っぽく見えるからやめろって言ってんだよ。忠告したぞ、俺は優しいからな」
「……そんなことを言う元気があるとは誤算デシタ。勝てないかもしれマセン。でも僕には妹が居マス」
「妹……百ちゃんのこと?それがどうした?」
「僕以外に百ちゃんをちゃん付けで呼ばないでください、あくまで他人の分際で」(こいつシスコンの自覚ないのかよ……)
「百ちゃんは本当にいい子なんデスよ!知ってマシタか?百ちゃんは幾度となく困っている人々を救済してきました。初対面の人から身近な友人まで。無論、僕も助けられてばかりデシタ」
「なーんか嫌な予感するなぁ……」
「でも、僕はあの事件をきっかけに、百ちゃんを僕とは比にならないくらい大きな困難から救済したんデスよ!だから、僕は救われるべきだ……!!」
「うっわぁ……マジか……」
「僕は救われる僕は救われる僕は救われる僕は救われる僕は救われる僕は救われる僕は救われる僕は救われる……!!」
「百ちゃん!!応えて、百ちゃん!!!僕を、僕を救ってくれ!!」
「……こいつやべぇな……上はなんでこんなやつを放置しておいた、というかネームド試験に通したんだ……?”あの病気”のことくらい坂巻が分かってそうなんだけど……」
「百ちゃん!!……あぁ、やっと応えてくれたんだ……」
ambitionは、先ほどの狂気具合は捨て、途端に安堵の表情でへたりと座り込むと、
突如、自らの首にトランプ型のナイフを突き刺した。
それも何度も何度も。
最中も妹の名前を叫びながら。
終いにはトランプの全ての部分を首に埋め込み、ナイフが首を貫通した。
それと同時に、ambitionが倒れこむ。
そして、彼の妹……七瀬百が顕現した。
「こいつとシスコンブラコンで並べられたくねぇな。まぁあんなことがあれば、気持ちは分からなくもないけど」
「縺雁�縺。繧�s縺企。倥>繧�a縺ヲ髮「縺励※縲∫ァ√r螢翫&縺ェ縺�〒��!!」