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バイトが終わって、待機室の空気が少しだけ緩んでいた。
ギアを外しながら、恒はふと手を止める。
「……さっきの、“かっこよかった”ってやつ。」
ひろは、ブキを拭きながら答える。
「うん? 言ったね。」
恒は、ペットボトルを持ったまま、目を伏せる。
「……あれ、後から効いてきた。」
「効いてきた?」
「うん。なんか、今になって照れてきた。」
ひろは、手を止めて恒の顔をじっと見る。
耳が赤い。
目は泳いでる。
ペットボトルの持ち方が妙にぎこちない。
「いや、遅いわ! なんで今!?
Wave終わってから何分経ってると思ってんの!?」
恒は、ペットボトルを抱えたまま、もぞもぞと答える。
「……そのときは集中してたから……」
「集中してたら照れないの!? そんな仕様ある!?」
恒は、さらに顔を伏せて、ペットボトルのストローをちゅっと吸った。
その音が、また間抜けで、ひろはもう一度ため息をついた。
「……ほんと、ギャップ強すぎるんよ……
かっこよかったのに、なんで最後それなの……」
恒は、何も言わずに隣に立った。
顔はまだ赤いけど、少しだけ笑っていた。
「でも、言われて嬉しかった。」
ひろは、少しだけ目を伏せて、静かに答えた。
「……なら、また言うかも。」
恒は、びくっとしてペットボトルを抱きしめるように持ち直した。
「それ、予告されると余計照れる……!」
ひろは、肩をすくめながら出口の方へ向かう。
——ほんと、ずるいな。
でも、まあ……悪くない。