テラーノベル
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等作品は実在する配信者様のお名前をお借りしています
この作品はhbknです。地雷の方や伏字、タグの意味が分からない方はお控えください。
※御本人様には一切関係ございません
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[38.6度]
…これはコラボ無理だな。
と、今急いでマネージャーや今週配信する予定だったコラボ先の方に連絡をしている張本人…つまり僕、は風楽奏斗はにじさんじという事務所に所属していてその中のVOLTACTIONというグループのリーダーをやらせてもらっている。
そしてその中のメンバー、渡会雲雀とも今週配信予定だったため、回らない頭で必死に連絡をする。
一通り連絡を終えると、本格的に体調が悪くなってきた。流石38度、マフィアでも敵わねーや。
…人間の最大の敵って風邪だよな、この世から風邪を無くせる魔法でも発見したらノーベル賞取れっかな、
とかクソくだらない妄想でもしてみる。
埃が溜まったエアコンの音だけが部屋に響く、それがいつもの風景。
馬鹿らしいと分かっていても冷たい床が気持ちよくて寝転がってみて数分もすると、突如うっとりとした気分に襲われる。
…流石にここで寝るのはまずいか?
そんな当たり前のことを考えながら暫くそのまま過ごしていたら、自然と瞼が降りてきていた。
▶︎▶︎
…ーなと
-か…、と、
…—ーかなと!
…なにか聞き慣れた声がする。
優しい声だ、あまり叫ぶと枯れてしまう。
そうなったら勿体無いと思い、眩しい光に目を刺されながら瞼を開ける。
………あ〜、あのあと結局僕寝ちゃったのか。僕が風邪ひく理由も分かるような…
『ッ奏斗、!!』
「…………ぇ,…ひばり…?」
『奏斗、お前……
つらかったよな、今寝かせっから…』
なんだ、雲雀結局来ちゃったんだ。やっぱ連絡しなきゃ良かったな、
なんて頭に浮かべる僕に対して、雲雀はテキパキとした動きで僕をベッドに運んだ。
別にこのままでもいいのに….
『…って、俺何も買っとらんし…悪い奏斗、すぐ戻るか、…ら…』
あ、なんか買ってきてくれんのか。いや〜悪いね雲雀…
とかと思っていると、震えながら伸びた自分の手が視界に映った。
「………だ、……ばり…」
『…えっと……奏斗?』
「…やだっ、ゲホッ…ひばぁ”…グスッ…いかないでっ’…」
頭が痛い、体が重い、気持ちが悪い。
僕今泣いてる?ただえさえ頭痛いのに…
『か〜な〜とぉ、すぐ戻るから大丈夫やって。
なっ?』
僕は大丈夫、早く行きなよ
…そんな風に言いたいのに、どんどん腕の力が強くなっていく。
ほら、雲雀困らせちゃってんじゃん。早く離さないといけない。早く…
「………ほんとに,……?」
本当に何を言っているんだろう。
前までは仲間なんて居なくても、こんなのひとりでも大丈夫だった筈なのに。
『本当に!だから大丈夫やって奏斗』
動揺したように見える雲雀にこれでもかと言う程なだめられて涙を拭いながら鼻を啜る。
『飲みもんとか買ってくるけど、なんか欲しいのある?』
「…ない」
『そか!』
にかっと笑う雲雀の顔にとても安心して、ようやく震えが止まった。
『じゃ、行ってくるわ。
…これ被っとき、あったけーから』
雲雀は自分の着ていた上着を僕にかける。
…優しいなあ、こいつは。
「……ありがと、ひばり」
▶︎▶︎▶︎
「”………」
あまりにも爆睡していたせいで喉が張り付いている。
重い瞳を開けて起き上がると、身に覚えのないぬるい何かがおでこに貼られている感覚がした。
ふと視線をキッチンにやると、慣れた手つきで何かを作っている見慣れた人物がいた。
「…わ’ぁ”っ!?」
『う’お”わ’ッっ…!!!!って……びっっくりしたぁ〜…奏斗、よく寝れた?』
…あ、そっか。雲雀来てくれたんだっけ。
「あ、…うん、だいぶ良くなった……」
…………ん?…待って、僕さっき雲雀に何した??
「………待って、雲雀。これ以上近づかないで」
まっっずい、まずいまずいまずいまずい…!!!
先程の自分への羞恥心と雲雀への申し訳なさでどうしようもなくなって手で顔を覆う。
『え、』
「最悪…雲雀マジでごめん、裾…濡らしちゃったよね」
口が固まったみたいに喋りにくい、
泣いてたのもあるだろうけど…。
『…あー、それなら全然気にしとらんよ?』
「ぅ、や、でも……本当にっ…」
『………奏斗、手のけて。こっちみて』
優しく僕の手を握って諭すように言う雲雀は、何故かとても満足したような顔をしていた。
「……なんで、んな顔してんの」
『…んー?……なんでやろねw』
雲雀はそうおちゃらけて、普段の太陽みたいな笑顔を僕に向けた。
『そんな事より、お粥作ったけど食える?まだ寝る?』
「…ぁ…、」
まだ熱が引かない顔で少しだけ頷く。
「………ぅん、」
『んは、w
りょーかいリーダー!』
元気よく答える雲雀に少し落ち着いて熱が引いてきた気がし、まだ重い体をソファーから無理矢理剥がし立ち上がった。
『ちょ、俺そっち行くから奏斗は動かんくてええよ』
「え、や大丈夫だって。熱引いてきたし」
『んーや。お前一応病人な?』
そう言って僕がこうして黙っている間もころころと表情を変え、考え事をするように顎に指を当てながらボソボソと何かを呟く雲雀がなんだかおかしくて思わず吹き出してしまった。
『は!?笑う要素あった!?』
「あっははwwうん、大有りw」
『え〜……』
自分の顔をタイルでできたテーブルの反射でまじまじと確認する雲雀にまた笑いが溢れる。
ほんっとうに雲雀はおもしれー男だ。
「は〜おっかし…、w」
「やっぱ雲雀と居ると退屈しないわ」
『…いや当たり前な?w
俺奏斗のこといっちばん満足させれる自信あるわ』
「…ぇっ…、」
満面の笑みを浮かべて軽々と言う雲雀に困惑する。でも、困惑というには何か小恥ずかしくて…、
って僕とうとうおかしくなったか?
「…いやお前自信ありすぎだろ」
『それな?w自分でもちょっと思った』
「あははっ、wはぁ-… 、ッケホ、ゴホッ」
『ちょ、奏斗』
「大丈夫だーって、ただの咳だよ。
雲雀は心配性だな〜……ほら、早く食べよ!僕もうお腹ぺっこぺこ〜っ」
『…奏斗』
わざとらしくお腹を叩くと耳に低い音が響いて、雲雀は無言でこっちに近づいてくる。
『…はぁ…本当……』
その瞬間、柔軟剤の香りを帯びた温もりが僕の体を包み込んだ。
「……ぇ、ちょっ、雲雀?」
『……お前、なぁ』
『…心配したんよ』
その暖かさでなのか、僕の体温がどんどん上がっていくのがわかる。
「…雲雀………」
呟くと、僕を抱きしめる力が二回りほど強くなった、流石に苦しい。
「ゴホッ、」
『!ごめん』
あー…僕、今酷い顔してるんだろうな、雲雀めっちゃ目開いてガン見されてるし。
視界がぼやける、顔が熱くて口角が緩い。
沈黙に耐えられなくなって今度は僕から雲雀を抱き締めた。
『…奏斗?』
「………ありがと、雲雀」
『…相棒、やからね。』
幸せを零すみたいに微笑んだ雲雀は僕の背中に置く手を放して僕のすぐそばに腰をかけた。
『お粥とかあんま作らんから味の保証はできんけど…』
雲雀はソファのサイドテーブルに置いてあったお粥を持ち上げスプーンで掬うと、さも当たり前かのように僕の口元に運んだ。
「…え、いや自分で食えるし」
『いーから。お願い』
「は?意味わかんな〜……w
…はー、今日だけだかんね」
『はいはいって。
はーいかなとくんお口あけてな〜』
「いや僕は幼稚園児かいて」
普段通りの雲雀のおふざけにツッコんで口を開けると、喉に通りやすいようにかスプーンを傾けてくれた。
『とか言いつつ口開けてくれるんやね』
「んやひばの作る飯美味いし食わんと損じゃんね?」
『んじゃ嫁入りか〜』
「返却しま〜す」
『ひっでえww』
いつものくだらない戯れ合いがどんなに楽しい事なのか今日でよく分かった気がする。
だって、雲雀が僕に対してこんなにも甘くて優しい目をするから。
『…奏斗、』
『元気なったらさ、また一緒にゲームやろ』
「…ひば、僕より弱いくせに?w」
『ストレートすぎて草。えーやん弱くてもさ〜』
「悪いとは言ってねーよww
…ね、ひば」
『ん?』
ゆっくり、一語一語大切に口を動かした。
「…だいすき、だよ。」
僕が言うと、雲雀はあんぐりとして驚いたように目を丸くした。
『………普通大好きな奴のメンタルギタギタにする?w』
…そんな嘘みたいな…本当にまだまだだなぁ。
「…本当だよ、相棒」
でもそのあと、雲雀は怪盗のプライドを誇りか何か欲を出したような顔で口角を上げてみせた。
『…ふ、そ?…大好きかぁ…
……残念。俺は〜…、』
すると、満面の笑みから何かを愛しそうに重宝するような顔に表情を変えて、今度は雲雀がゆっくりと口を動かした。
『愛しとる、けどね』
「………………ぇ、」
『……なーんつってw冗談やって、……ありがとう。』
「…………当,ったり前だろw」
……雲雀は嘘つきだ。
あれは冗談で出せる顔じゃなかった。
独占欲によく似た感情が丸出しで、どこか自慢げで熱を帯びた普通の人なら絶対にしないような顔。…でも僕にとっては、安心する大好きな彼の顔。
「……雲雀の馬鹿もん」
雲雀に聞こえないよう、優しくそっと零してみた。
…本当に、敵わない相棒だ。
『…~,-』
その後雲雀が何か言ったような気がしたけど、気のせいってことにしておこう。
だってそーだろ?
『俺だけのもんになればいいのに』
なんて、普通友達同士に言う言葉じゃないんだから。
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