テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
人魚
自然界と人間の感情の象徴。
慈悲深く、または恵を与える存在。
人間と恋に落ちることもある。
見世物小屋に捕まった。
水の中に入れられ、人々が私を見ている
そんなお話をママに聞かされた
でも私は幸せ。沢山の人に囲まれ
褒められ、美味しい食べ物をお腹いっぱいに食べれるから
「汐ちゃん。おやすみなさい」
「うん。おやすみなさい」
「汐様 他の仕事をしてきます。外には出ないでくださいね」
今夜はどこまで行けるか
明日からいい子になるから今日も許してママ
「ハァ、はぁ」
塩の匂いが鼻を撫でる
この時だけが私を忘れることが出来る
「ねぇ」
「な~にしてんの」
「…どこ?」
「ここだよ〜笑」
「前向いてよ〜」
「え?」
目を疑った。海に顔だけが出て話しかけてきてる
「ばぁ」
「びっくりした?」
「……別に」
「ちぇーつまんね」
「貴方なんなの」
「暗くて良く見えないわ」
「俺の事見たいの?」
「えぇ、嫌なの?」
「見せてあげる」
「……」
「怖いの?」
「笑笑」
「何笑ってんの」
「人魚なんて初めて見た!笑」
本当は怖いはずなのに笑いが止まらない
「私海には行けないけど貴方と親しくなりたいわ」
「…変なの〜」
ゴーンゴーン
「あ、もう帰らないと」
鈍い鐘がなれば帰らないといけない
そういう約束だから
「またね。人魚さん」
「汐様」
「おはようございます」
「…おはよう」
今日もお嬢様としての一日が始まる
作法が厳しい食卓
笑顔で過ごす学校
見張られてばかりの生活
そんな日が毎日続く
そんな日も終わろうとしている
「ママ、おやすみなさい」
「おやすみ。いい夢みてね」
「…今日は居ないのかな」
「いるよ」
「びっくりした、笑」
怖いって分かってるのに海に近づいちゃう
「…」
「冷た。」
「足だけ入れたら冷たいかもね〜」
「そうね笑」
「今日はね━━━」
こんな幸せを繰り返してた
いつまでも続いて欲しいと願ってたけど
パパはそれが嫌いらしい
「あの子、夜に出かけてるらしいの」
「…そうか」
「汐」
「…はい、?」
「夜出かけるのをやめなさい」
「何でも買ってあげるし、不満は無いでしょ?」
「分かったか?」
「汐の為を思って言ってるんだ」
「誰に会ってるのよ」
「お友達」
「パパその子のこと嫌いだな」
「汐ちゃんの事誑かしてるのよね」
「その子と関わるのやめなさい」
「……」
愛と言いながら縛るのは愛じゃない
ママの元で甘い生活が続くのかしら
「出てっちゃダメだからね?」
「……おやすみ。汐ちゃん」
ここから連れ出して欲しい。
今も貴方が欲しい。
こんな苦い現実まだ嫌いよ
「あの子来ねー」
「飽きたんじゃない?」
「そんな訳ねーじゃん」
「笑」「それはどうかな」
「汐様。おはようございます」
「おはよう」
「汐、おはよう」
「おはよう。パパ」
「もう行くの?」
「うん」「行ってきます」
「…」
あの海にもう一度行きたい
「いってらしっしゃい」
「行ってきます」
「ただいま」
「今日は早かったわね!」
「うん」
「少し散歩に行ってくる」
「すぐ帰ってくる」
「行ってらっしゃい」
「…はぁ」
「こんな小さい川、つまんないわ」
「何してんの」
「えっ」
「なんでいるの!?」
「えーー」
「ここ水だし」
「来ちゃった」
「変な人笑」
「名前聞いてなかったわね」
「名前なに?」
「んー、俺シエル」
「素敵ね」
「君は?」
「汐」
「いいじゃん」
「ありがとう笑」
「もう帰らないといけない、かも」
「またねシエル」
こんなとこから逃げ出したい
迎えに来て欲しい
勝手に好きになってるのは私だから
結ばれないと面白くない
「ママ、ごめんなさい」
だから今日も許してくれるわよね。
「シエル!」
「ん〜汐じゃん」
「うぉっ」
「濡れてるけど大丈夫なの〜?」
「大丈夫!」
「シエル、私と生きてくれるかしら」
「……変なの〜笑」
「面白いからいいよ」
これで、パパとママからの約束を破っちゃった
こうして、2人は幸せに暮らしましたとさ。
人魚は泡となり、永遠に人に見つかることなく海の底で暮らすことになり
時々陸に遊びに来るそう
コメント
5件
タ イ ト ル か ら し て も う 好 き だ っ た け ど 内 容 見 た ら も っ と 最 高 で 好 き す ぎ た 😽 雰 囲 気 と か も 最 高 で す ら ぶ 🤦🏻♀️ 🫶🏻
天才すぎなおまえちゃん😻💋 久しぶりに見たけどめっちゃ好き‼️ 人魚の話あおめっちゃ好き‼️
普通にさゆなん天才すぎない? 主人公をお嬢様系の女の子にするのがまたいい❕❕🙊💕 儚い雰囲気を文章の表現だけで出せるのほんと尊敬☝🏻💝