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ぽたぽたと配管の隙間の雫が冷たいコンクリートの床に落ちてくる。
「此処何処?」
由美は目が覚めたのかベッドから降りて辺りを見渡す。
「お目覚めかい?」引き締まった肉体美の青髪で片目を隠しているピエロメイクの男が現れた。
「貴方誰。」
「君は酔って道端で寝ていただろ?僕が此処へ運んだんだ。」
男の言葉に赤面するが距離を置きながら「帰して家に!」と言った。「ダメだよ酔いが覚めてないじゃないか。」由美の頬を撫でながら笑う。
「もう大丈夫ですから。」
「女性が一人で居たら危ないだろ今晩は此処に居なさい。」
男の警告に戸惑いながらも足を止める。
「何故見知らぬの私にそこまで?」
「淋しい夜が嫌いなんだ僕は。」甘い言葉によろめきながらじっと顔を見た。
よく部屋を見ると血の着いた棒がズラリと並んで息を飲んだ。
「貴方…私を…。」
「違うんだ君だけはしない君はいい人だ。」由美は警戒しながら「ホント…?」と問いただした。「嘘じゃない君を一目見て僕と似た感じがして。」男は由美の肩を掴んで自分の額を由美の瞳につけた。
「私彼氏に振られて…それで…。」男の体温を感じてつい口走って本音を吐いてしまう。
「可愛い君を振るなんて哀れな男だ。」
また甘い言葉によろめきながらも目が離せなかった。
「貴方人を殺めたの?」
「悪人だけね…許せなかった…僕は…せめて僕だって温もりが欲しかった殺られる前に。」
由美の瞳がゆらゆら揺れる。
「自首したらいいじゃないですか。」
「君も可哀想な人ほっておけない。」
どんどん二人の距離が短時間で縮まりお互いの吐息がお互いの顔にかかる。
「私達気が合うようね。」
「そうみたい乾いた欲望も身も心も…。」由美は相手が殺人鬼だと分かりながらも男の口さばきに悶え足を上げる。
「横顔も綺麗だ…凄く綺麗だ…。」
「嘘じゃない…?」男は優しく首を立てに振る。
「嘘じゃないよ。」汗ばんだ顔からピエロメイクの塗料が剥がれ美しい素顔が露呈する。
「貴方も綺麗な顔」
「そう?」由美の褒め言葉にはにかむ。
「うん嘘じゃないよ。」
「こうやって女性と戯れたのは何年ぶりかな殺しをした時とは違う快楽と憎悪じゃない幸せさを。」男はそっと顔近づけてニコッと笑う。
「私も1年ぶり。」由美の涙を舌で艶めかしく拭き取って「僕殺しも上手いけど君の乾いた欲望を満たせるならもっとじっくり口腔とか。」
これが生き地獄だと覚悟しても止まらぬ想いと愛情が飛び交う。
「1回だけ休み…。」
「OKもし僕が捕まっても忘れないよ君の事。」
男の切ない言葉に胸が切り裂かれてしまう自首を促したのに。
「実は私彼氏に浮気されて振られたの…。」由美の事実と思わしき告白に拳を握って
「殺してやる…。」と呟いた。
「ダメ…それだけは。」止めれて我に帰る。
「あー…ごめん。」二人は部屋を出て屋上に上がった。
「夏目漱石がI LoveYouを月が綺麗ですねって和訳したの知ってる?」
「うん知ってるよ。」男は照れくさそうに鼻で笑った。
「月が綺麗ですね。」由美の切ない声を聞いて艶めかしく抱きしめた。
「月よりも君の方が美しい…。」
「下…当たってる当たってる。」由美は頬赤らめながらも少し距離を外す。
「興奮しすぎた。」男は申し訳なさそうに服を着きた。
「もう行かなきゃ私…自首してまた会える時まで。」
「君との…最高だった。」
由美は男の手を引いてドアまで導く。
「待ってるから私。」
あれから2年経ち男は出所しそこに由美の由美の姿があった。
「言ったでしょ待ってるからって。」
「嘘じゃなかったね。」
二人は以前愛撫し合った部屋に入ってベッドに座った。
「懐かしいな此処。」
「そうだね。」冷蔵庫からビールを出しながら男は言った。
「メイクしてない方が良いよ。」
由美はメス顔で呟いた。
「何その顔唆るじゃん。」舌なめずりして近づく優しさと危険が入り交じった顔で由美を見つめる。
「昼だよダメだよかっこいいけどちょっと…怖い…。」男はふっと笑って「ごめん怖がらせたね。」と切ない笑顔で謝罪した。
「殺しの目をしてたから…。」
「ごめんって…感情がごちゃついて…でも我慢できないブチュー。」男の強烈な情愛に目を閉じて受け取る。
恐怖心が薄れて身を委ねる。
「名前聞いてなかったね。」
「フジ君は。」
「由美。」フジと由美は血が着いた棒を処分した。
「これでよし。」
「僕たち正式に付き合おう身体だけの愛情じゃ不純だし。」
フジの告白に由美は感涙する。
「うん。」