テラーノベル
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第7話
身体が怠い。鉛のように重かった。
そしてとても熱くて、頭がガンガンする。
でも、ニルスさんが汗を拭くタオルの感覚があった。魔力で分かる。
心配してくれていると。
それと同時に悔やんでるというか、やるせないって表した方が正しいのかな? それで、悩んでいるように見える。
私は、とっても重い瞼を開けた。私の部屋にいて、ニルスさんが椅子でうたた寝していた。
多分、寝不足。疲れてる動きしてる。
「ん……って! リナ……」
え? 頑なに私と話さなかった人が急に愛称で呼ぶ事ってあるの?
私は起き上がって頭に浮かんだ言葉をそのまま口に出した。
「ごめんなさい。危険な事に巻き込んだ上に、心配をおかけして……」
「いや、無事だったらいいんだ。熱があるんだ。少し横に――」と言った所で私に重い重力がかかってきたような感覚に襲われた。
「とりあえず、無理をするな。……あんな口を開かなかった奴が過保護になって、気持ち悪いとでも思ってくれればいい」
急に何を言い出すの? だって、私が色々と問題を起こしたから過保護になった訳じゃ……
でも、あれは自分が普通に気が抜けてたから起こった事で、走れば直ぐに抜け出せただろう。
「何で、そんな事を……私は、あのままだったら確実に死んでいました。なんなら死ぬ覚悟までしてました」
とっくに前からね。
「それに、あの時の言葉で『生きたい』って思えたんです。私の命の恩人ですよ」
「命の恩人なんて、言い過ぎだ。ここまで酷い症状が出たのは、俺の力不足でなった」
そう言うと部屋から出ていこうとしたので私は咄嗟に「行かないでください」と手を伸ばした。
何でニルスさんを止めたのか自分でも、分からない。でも、側にいてほしい。
「……そうだよな。すまない」
ニルスさんは、私の汗を拭いてから震えていた私の手を握った。
あれ……私……
「言いたい事を言ってくれ。辛そうにしているのを間近で見るだけが一番心配なんだ」
「分かりません……でも、側にいてほしい……」
「分かった。側にいる。だから大丈夫だ」
ニルスさんの『大丈夫だ』ってとーっても安心できる。
その日の夜は、とっても辛かった。
熱くて、苦しくて、食べられなくて子供の感覚だからかな……
途中から寝ちゃった。
思考はまわらないし、ニルスさんもあたふたしてたし、申し訳ない。
次の日。
私は朝に目を覚ました。朝の空を見るのは久しぶり。
そういえば、昨日話してくれたけど、あれから四日が経ったんだって。……あれ? 丸一日寝てた日があるし。まぁ、それだけの事をされたのだと思おう。うん。
ニルスさんも、マリーさんも、カールさんも凄い動いてくれている。
特にニルスさんは、徹夜で私の事を見てくれている。ウトウトしてても、十二歳にそんな事をさせてしまうのは、罪悪感がすごい。
よし。早く良くなろう。
「食べれるか?」
そう言いながらニルスさんが水を渡してくれた。
「まだ、ちょっと……」
「そうか。薬は飲めるか? 栄養が入った薬と熱を下げる薬だ」
「薬くらいなら、大丈夫そうです」
「そうか。持ってくるから待ってろ」
栄養剤と解熱剤かな?
魔法で入れられている自覚あるけど、薬の方が楽なのかもね。
窓の中から外を眺めていると、涙が頰を通った。
あれ……何でだろう……
怖い、のかな? 不安だし、怖いし……
また、拐われたらどうしよう……また、迷惑かけるの? それとも、私の命運は尽きるかな……
「これだ……何で泣いてるんだ?」
いつの間にか入ってきていたニルスさんが私の背中を揺すっていた。
「私……怖いんです。自分はまだしも、もし、自分の所為で他の人が傷ついたりするのが……」
ニルスさんが固まった。でも、直ぐに硬直していた身体を動かして私の事を抱きしめてくれた。
「そんなのお互い様だろ。そんな事を言ったら俺もだ。魔法学校の生徒は十分な人質になるし、店の一人息子って肩書きだけでも、目をつけられる」
「お互い様って……返せないまま終わったら? 帰らぬ人へなってしまったら? それが、怖い。自分が助けられたのに、何も返せないまま逝ってしまうのが……うぐっ……」
大号泣した。中身が大人でも一応、身体は四歳だから直ぐに泣いてしまう。
脳のでき方がまだ子供なのかな? 思考が大人でも、情報処理が追いつかないし。
「うわぁーんっ。ごめんっなさいっ……私っ何も返せなかった……」
しばらく、ニルスさんの腕の中で泣いた。ニルスさんは何も口を開かなかった。
こはる
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コメント
1件
ああ、第8話読み終えました。体調を崩したリナをニルスが看病するシーン、すごく良かったです。「行かないでください」って手を伸ばすところ、あの頑なだった人が愛称で呼び始めた心の変化がじんわり伝わってきました。それと「返せないまま終わるのが怖い」って泣くリナに、自分の中身が大人でも身体はまだ子供だからどうしても溢れてしまう感情の描写、切なくて引き込まれました。早く元気になってほしい……続きが気になります!