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佐野いちご
95
🐰side
泣きそうなナオに手を掴まれ、動揺する。
俺、ナオが隣にいるのにカイリュウのことばっか考えてた。
その事実に自分で気がつき、罪悪感が襲う。
申し訳なさからもう一度腰をかけるとナオがまた震える声で話し出すーー。
「セイちゃん。ナオ、分かってるから。分かってるけど、このままちゃんと気持ち伝えんまま終わるのは嫌や。
好き。セイちゃんのことずっと好きやった。」
涙をぐっと堪えてナオが話す。
俺はナオにあと何回辛い表情させるん?
そう思い、胸が痛む。
ナオとの思い出が頭の中をよぎる。
ーーナオはいつも笑ってた。俺がつらくて学校に行けない時も、毎日家に来てナオがおるから大丈夫と慰めてくれた。
高校に悩んでいた時もナオと一緒のとこやったら毎日楽しいでと導いてくれた。
軽音に入りたいという俺のわがままに付き合って、毎日楽器の練習も頑張ってくれた。
いつも、俺の隣にはナオがいた。
それは分かってる。分かってたはずなのにーー。
「ごめん、、ナオ。俺、ナオのこと大好きや。でも、それは親友としてやねん。」
自分の声が震えていることに気がついた。でも、ちゃんと言わな。このままおってもナオはずっと苦しむ。それならどんな関係になってもナオには前を向いて欲しい。
下を向くナオをじっと見つめ、返事を待つ。
少しの沈黙の後、ナオがゆっくりと口を開く。
「、、、ありがとう。セイちゃん。ハッキリ言ってくれて。もう、大丈夫やで。だからそんな顔せんで? カイリュウのこと、気になるんやろ?行っておいで」
涙を流しながらも、いつものように優しく微笑んでくれるナオ。
「ナオ、、ごめん、っ」
ギュッと手を握り返した後、俺は立ち上がった。
後ろで花火の音が鳴り始める。振り返りたい気持ちをグッと堪えつつも俺は走り出したーー。
ーー人が多すぎて、カイリュウがどこにおるかなんて分からない。
でも、ナオに送り出してもらった今、俺は必ずカイリュウを見つけなきゃいけない気がして人混みをかき分ける。
人通りが少なくなる場所まで走り続けても見つからず、どうすればいいか分からなくて近くのベンチに腰掛ける。
カイリュウを見つけた瞬間、ああ神様がこの偶然を与えてくれたんやなんて思ってしまうほど運命を感じた。
でも、見つけられなかったーー。その悔しさに涙が出そうになりながら、遠くの祭囃子を眺めていると声が聞こえた。
「あれ?セイト?何してんこんなとこで」
何度も何度も頭の中を駆け巡った声。振り返るとそこにはカイリュウが立っていた。
「、、、見つけた」
もう何も考えられないままカイリュウを胸の中に引き寄せる。
カイリュウは戸惑ってる。困らせてるのは分かってる。けどもう気持ちが抑えられなかった。
ーーーーーー
☕️side
中学の友だちに花火大会に誘われ、暇だったので快く承諾し会場へ来た。
人混みはあんま好かんけど久しぶりの再会が楽しくて存分に祭りを楽しんだ。
あっという間に時間は経って、友だちは明日早いからと言って解散の時間になった。
もうちょいおりたかったな〜なんて思って1人で少しブラついていると見覚えのある後ろ姿が見えた。
え?セイトやん。何この偶然やばと思い、声をかける。
振り返ったセイトはなぜか泣きそうな顔をしていて、どうしたんと声をかけようとした瞬間、俺はいつの間にかセイトの胸の中に抱きしめられていたーー。
コメント
1件
うわぁ…ナオの告白シーン、胸が締め付けられました😢「ずっと好きやった」って言葉に全部の想いが詰まってて、でもセイトが「親友として」って返すところ、お互いの気持ちが噛み合わなくて切なすぎる… 最後にカイリュウを見つけて抱きしめる展開、走り出したセイトの背中を優しく送り出したナオの強さに泣きそうになりました。この3人の関係、複雑で美しいです🖤