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マリンと共に行動を始めてはや一ヶ月。俺は良くも悪くも街で噂になっていた。

良い噂はミナルという若者が最近メキメキと力をつけ始めている、というもの。

その逆の悪い噂もある。それはもういっぱいある。良い噂一つに対して、悪い噂五つで返せるくらいには悪い噂がいっぱいある。

『幼女を連れ回す変態がいる』とか『少女に無理強いでクエスト連れてく鬼畜』とか『不正冒険者』とか『底辺金欠限界冒険者』とかとにかくあまりにも酷すぎる噂と暴言が飛び交っている。

いやね?いくらなんでも言っていい言葉と悪い言葉ってあると思うんだよ?で、底辺金欠限界冒険者はもういいのよ。実際それは事実だから。

でもさ、ほかの言葉は研がれすぎてるナイフなのよ。『不正冒険者』も結構だけど、『少女に無理強いでクエスト連れていく鬼畜』は俺がもう絶対的悪みたいなやつになるじゃん?俺は別に無理強いさせてないし、なんならマリンが好んで着いてくるんだよなぁ。まぁ、こんなこと話したところでだーれも信用してくれないだろうけどなぁ。

「ねーミナルお兄ちゃん? 」

「んー?」

「今日はどーするの?」

「そうだなぁ…。お金も溜まってきたしたまには息抜きとして街の中ブラブラするか?」

「うん!私気になってるお店いっぱいあるの!」

「なら、今日はマリンの行きたいところ全部行こうな」


まず最初に訪れたのは意外にも武器屋だった

「なんで武器屋に?」

「私クエストいっぱいこなして分かったの!」

「?」

「この短刀よりも、私には鞭や弓が合ってるって!」

「なんでそう思ったの?」

「だって、私の魔法は罠魔法っていう特別な魔法で、それでその罠魔法は誰にでもびょーどーなんだよ?それって、私も怪我する事もあるってことでしょ?

それで私の使うのはこの短刀って武器でこれは近寄らないと使えない。ピンチにならないとこれは使えない。でも、弓や鞭は短刀よりも攻撃出来るはんいがおおきい!だから短刀よりも弓や鞭がいいの!」

おいおいおい…。賢すぎか?確かに罠魔法は便利だが、効果は誰にでも平等に作用する。つまり、自身が仕掛けた罠にハマる可能性も生まれているわけだ。

もちろん仕掛けた本人はどこにあるかは分かるだろうが、逆にそれを利用されたら?罠魔法を利用されてコチラが不利になる可能性もゼロではない。更に、コスパが良いとはいえ魔法だ。魔力が無くなれば使えないのは当たり前。

そうなると己の身一つで戦闘することになるが、マリンには短刀での攻撃は圧倒的に向いてない。子供ゆえにリーチはなく、かと言って身長の小ささを活かして奇襲を仕掛けるほど身体能力が高いわけじゃない。

これが鞭や弓ならどうか?鞭は中距離くらいを保ち上手く使えば罠に誘い込める。弓なら予め罠を設置して、罠地帯に誘導。その後身を潜めて矢を射ることさえ出来れば、マリンの戦場に変わる。

そう考えると確かに短刀よりは弓と鞭が合ってると思う。が、別に短刀を外す理由もないのも事実。俺が全てを教えられるわけじゃないが、近接の心得もあれば近中遠全てに対応可能な罠魔道士に化ける。本人にその意思があれば俺は腕利きの人物を探して教えを乞う事さえ視野に入れよう。

「確かに弓に鞭もありかもな?」

「でしょ!だから何かオススメのないかなってミナルお兄ちゃんに聞きたくて」

「そうだなぁ…。俺もあんまり詳しい訳じゃないが………」

「なら、まずはこのオーソドックスな皮の鞭と子供でも扱えるウッドボウの二点をオススメしよう。」

俺とマリンの会話を聞いていたのか、騎士のような装備に身を包んだ女性が俺の代わりに助言してくれた。

「話を聞いてたのか?」

「たまたま聞こえたのさ。」

「おねーちゃんだーれ?」

「私か?私は『ルナベル』という者だ。」

女騎士でルナベルと言えば、この街に限らず有名人だ。彼女は元『血気騎士団』の第二部隊隊長を務めた正真正銘本物の実力者。何故そんな実力を持ちながら血気騎士団を抜けたのかは色んな噂があるが、そんなことはどうでも良くて今俺が気になるのは何故ここにいるのかと言うこと。

「ルナベルさんってあのルナベルさんですよね?」

「あのルナベルってのが私には分からないが君が思う人物で間違いはないんじゃないか?」

「なんでそんな人がこんな街に? 」

「ちょっとした噂を耳にしてね」

「噂?」

「若い男と少女のデュオパーティが最近頭角を現してきてるってね。」

若い男と少女のデュオ、ね……。思い当たるのは俺とマリンだが、まだ俺らとは限らな…

「酷い噂も聞いたよ。そのデュオに対して若い男の方を蔑むような異名が付けられてるんだから。」

「ち、ちなみにその異名は?」

「なんだったかな……。確か、『ロリコン変態底辺金欠限界冒険者』だったかな?」

かんっぜんに俺達のことですありがとうございます。

てか、そんな酷い噂がもう街の外に出てるの?嘘だよね?それは嘘って言ってくれないと俺泣くぞ?全然普通に語弊なんだけど、誰一人として信じてくれないのもまた事実なのが悲しい……。

「な、なかなかパンチの効いた噂ですね。」

「だろ?でも、実際はそんな事ないと思っててね。だからそれを知るためにこうしてここに足を運んだって訳だ」

「へ、へぇ……。物好きですねルナベルさんも…。」

「なぁ?君の名前はなんだい?」

「お、俺ですか?」

「そう君だ。」

「俺はミナルって言うんですけど……。」

「そうか…ミナルと言うのだ。では、率直に聞くが君が噂のデュオだね?」

「だ…だとしたらなんだって言うんですか?」

「もしそうなら私の願いを聞いて欲しい。」

「ど、どうですかねぇ?俺じゃないかもしれないですよぉ?」

「君が噂の本人と認めてくれたなら私の願いを聞かせよう。どうだ?」

「…………。はぁ、ルナベルさんがそこまでして知りたいならいいですよ。

お察しの通り、俺とこの子、マリンが良くない噂を流されてる本人達です」

「やはりそうか!会いたかったぞミナル!」

「俺としてはこんな形で貴女と会いたくはなかったんですけどね?それで、白状したんでルナベルさんのお願い事も聞かせて貰えます?」

「あぁ、もちろんだとも!私の願いは君達のパーティに入れて欲しいんだ!」

「え?今なんと?」

「ん?私もこのパーティに入れてくれ、と言ったんだが聞き取れなかったか?」

「いや、ばっちし聞き取れてそのうえで俺の聞き間違いの可能性を考えて聞き直したんですよ。」

「なんだ、なら聞き間違いでもなんでもないぞ!」

拝啓母さん父さん

俺、底辺からは脱せそうだけどその分恐らく厄介事にはこれから先嫌でも巻き込まれる未来が見えます。

偉業は成し遂げられないかもしれないけど、求めてた非日常は掴めそうだよ。十中八九死が隣り合わせだろうけど。

俺が強いんじゃなくてお前らが弱くて仲間が強いんだ

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