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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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満を持した感じでコユキは言った。


「さあさあご覧あれっ! ここに取り出だしたるのは何の変哲もない一枚の茣蓙(ゴザ)でござりまする~、ほれ表も裏も種も仕掛けもございません! これを床に広げましたらばこれこのように、ゴロリと寝転んだならば準備はオッケイ、さて、何が起こるか分かるかな? なははは」


でっぷりとした体を横たえてニヤニヤと一同を見回しているコユキ。

同じ体型に紫の肌が特徴的な元『暴食』の罪にして現『節食』の徳、グラが声を上げた。


「分かったどぉ! そこに寝でればお腹が空かないんじゃないが? そうだろ、コユキ様ぁ!」


コユキは笑顔のままで答える。


「ブッブー残念でした、不正解でーす!」


ガクリと肩を落として塞ぎ込むグラの後ろから長身に青い顔のアスタロトが確信めいた解答をする。


「交換したアーティファクトの性能を考えに入れれば、もっと直接戦闘を有利に運べる物の筈だろ? 例えばその上にいれば常に魔力とか聖魔力が回復する、エネルギー充填装置みたいな物だと思うが、どうだ?」


なるほど、流石は魔神、中々に分析的な考察じゃないか。


「ブッブッー! またもや残念、ハ・ズ・レどぇーす!」


「……そうか」


何故かハズレと言われた後、必要以上に落ち込んでいるようだ、たぶんコユキの小ばかにしたような言い方のせいだろうな。


顎に手を当てて頭の中でポクポクやっていた善悪が満を持した感じで口を開いた、恐らくチーンが来たのであろう自信に満ち溢れた声であった。


「分かったでござるよ、ズバリ安眠効果! で決まりでござろ? そこで眠ればダメージもストレスもあっと言う間に溶けて流れてリフレッシュ! ほら、いつも食後に泥のように眠るでござろ? あんな感じで熟睡できるんじゃないの? どう? 当たりでござろ? ん、んん! 」


ほう、流石は幼馴染、細かい所まで観察してるんだなあ……


「ブッブブブッブッブー! あらら、離れたわね今までで一番の大ハズレよ善悪…… ポクった結果がそれじゃ話にならないじゃないの、もっと頑張りなさいよ~」


「くっ……」


「グラもアスタも善悪もさぁ、その程度の浅はかな洞察力しかないくせに、良くもまあ偉そうに答えられたものよね~、はあぁ~、んで他の皆は? 分かったって人はどんどん答えてね!」


そんな事言われるのに進んで嫌な思いをしたいメンバーなんかいる訳無いだろう……

残りのメンバーは皆、揃って口を噤(つぐ)んでしまった。


「なんだ誰も解らないのか、仕方ないわね馬鹿ばっかりで…… 今後のパーティ内の知性低下が心配だわぁ! 由々しき事態よぉ! んでもしゃーないか、じゃあ正解発表ね、論より証拠よ、見てなさい、そして学びなさい愚か者ども…… えーと、もしもしゴザさん、アタシはねぇ~、そうね甘々の特大月餅(げっぺい)、所謂(いわゆる)中華風の饅頭が怖くて仕方ないんだけど?」


ポンっ!


茣蓙の上にどこからともなく茶色の焼き色も鮮やかな大き目の月餅が現れた、目を見開く一同を前にして、コユキは得意げに続けた。


「もっとよ! もっと大量に無かったらそんなに怖くないわ! でもこの月餅がバベル並みに積み重なったら恐ろしくて夜泣きしちゃうわね~!」


ポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポンっ!


茣蓙の上には美しく積みあがった月餅の塔が出来上がったのであった。

その場に集まった一同は驚きを隠すこともなく月餅の塔を見上げ目をキラキラさせていた、アスタだけはいち早く茶碗と箸を手にして準備万端である。


画像

「こ、これは便利なアイテムでござるな? クールタイムとかは? まさか連続で使い続けられる、んな訳ないか、でござろ?」


「ふふん、アタシも夕べ家帰ってから試したんだけどね、どんだけでも出せるみたいね、それに出した本人以外も普通に食べる事が出来たわよ、つまりこの茣蓙と行動を共にしている間は空腹に苦しむ事は無いってわけね! それにどんなに疲労した状態でも食べる事でエナジーチャージ可能ってことは移動基地、祝福の泉的にも使えるでしょ? その上満足して眠たくなったらそのまま眠る事も出来るのよ? 凄いでしょ、又寝心地がいいんだわ、これが♪」


グラとアスタロトと善悪は思った。


(((結構当たってたじゃねぇか、馬鹿野郎!)))


と。


とはいえ三人のみならずここに集った顔ぶれは全員、コユキに文句を言っても言い負かされるだけだ、その事をよく知っている面々である、無念の抗議をグッと堪えて自身のうちに無理やり抑え込むのであった。

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

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