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「え、」
「落ちた場合、2次募集があるところがあるんですけども、」
「まぁ遠くなったり私立になる可能性はありますが、そういう考えも視野に入れといた方がいいかと思います。」
「2次募集ですか」
聞いたことない、2次募集?
母親に今まで言われたことを思い出す。
『私立?』
『ダメよ、お金かかるんだから。』
『私立だけは何がなんでもダメよ。』
『もし私立しかなかったら働くしかないからね』
私立は絶対ダメ───
ずっと併願だと思ってた、私立にも受験はできると思ってた。
それなのに母親の言葉一つ一つで、
希望も、夢も、願いも、消え失せた。
「定時制にはなるんですね、それも夕方の方にはなってしまうんですけども。」
「でもそこなら2次募集も毎年しておりますので、ぜひ考えてみてください。」
「わかりました」
「ほかに何かありますか?」
「いえ、大丈夫です。」
「それなら今日はここまでになります。」
「ありがとうございました。」
「ありがとうございました〜」
終わった。
今回も何も言えなかった。
ぼーっとする。
フラフラして、視界がぼやけていく。
廊下を歩いていると、
(ぁ…副主任だ…)
(なんでこんな時に…お願いだから話しかけてこないで…)
願っていたら、先生は別の教室に入っていった。
内心すごくほっとした、
今主任と副主任に会いたくなかったから。
話しかけられても、完璧に偽れる自信が無いから───
いつもの元気で明るくて、静かな私ではない。
頼りがいがあって、元気で、賢くて、期待されるような私でもない。
暗くて何も出来ない、ワタシ。
そんな私は誰にも見せたくない。
だから安心した。
車に戻る。
頭痛は酷くなるばかり。
それでも私は嘘をつく。
「これどうするの?」
「あんだが持っといてよ」
「えー。」
「このあと服買いに行くんでしょ?」
「うん、ジージャンあるといいけど」
「何ジージャンって。」
「ジーパン着るの?」
「ジーパンはズボンだから履くものでしょ?」
「wwwww」
「違う違う、ジーパンと同じ生地のやつw」
「あーw」
こうやってどうでもいい話で盛り上げる。
いつもなら容易いことなのに、
なんとも思わないはずなのに、
頭痛のせいだろうか
どこかがズキズキといたんだ。
車の外を見る。
外はいつもよりぼやけて、太陽も出ているはずなのに、暗くて。
綺麗なはずの緑も、帰る時には綺麗に見えなかった。