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sik ×(+) usm 短編

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sik ×(+) usm 短編

1 - 力になりたい。

♥

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2023年09月27日

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……


「ぐッ、う、っ!!!」


大きな攻撃を直接受けてしまった佐伯、そのまま壁へ打ち付けられる。


テツ!!!!!!!


佐伯と共に任務をこなしていた宇佐美は、攻撃を受けた佐伯の方に視線を向け、名前を叫ぶ。

目の前の敵を拳で思いきり殴り飛ばすと、急いで佐伯の方へ走った。


「リト、く…、ごめ……っ…」

「喋んな!!!!貫通、してないよな…?大丈夫だよな…?」


地面に倒れ込んでいた佐伯の肩を抱えて、負傷している場所がないか細かく目を通した。

宇佐美は、今にも泣いてしまうのではないか、と思ってしまうほど不安そうな顔を見せていた。佐伯はボヤケた視界に映るその宇佐美の表情を見て、悔しくて、苦しくて、こんな顔をさせてしまった自分が情けないとしか思えなかった。


「っ…ぅ゙、…ご、ごめ……ん゙…!!り、と…くっ……!ぐっ…!!!」


力になりたかっただけなのに、結局はまた助けられている。いつも助けられてばかりで、何も力になれていない。

徐々に意識が戻る、戻る度に悔しくてたまらない感情が溢れていった。

その結果、佐伯は彼よりも先に涙を流した。


「…泣くなよ、謝んなよ…、テツ……」


溢れそうな涙をグッと堪えて、涙を流す彼の額に自分の額を合わせた。

佐伯を支えていた腕に力を入れ、そっと抱き寄せた。彼を安心させるように “大丈夫だから” と、小さく何度も呟いた。


頭をあげ、先程殴り飛ばした敵の方に頭を動かす。数体の敵がこちらに向かって来ていたのを確認した宇佐美。佐伯を後の壁へ移動させ、座らせた。

立ち上がった宇佐美は、一歩前へ出て後ろを振り返り、佐伯の方を見ながら


「あいつら倒したら、一緒に帰ろうな!!」


と笑顔で伝えた。

そして前を向き直し、目の前の敵へ向かって走り出した。


佐伯はそんな宇佐美の姿を見て、”本物のヒーローだ” なんて思ってしまった。


次は、次こそは…


リトくんの力になりたい。


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