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クリスマスに伝えよう

1 - クリスマスに伝えよう

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2024年12月10日

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月明かりで割と明るい、真夜中の一本道。

隣でスキップをしながら、クリスマスソングを口ずさんでいるナノ。

「ふんふんふ〜ん、ふんふんふ〜ん、ふんふんふん、ふふ〜ん♪」

「……元気だな」

「あったりまえでしょ!クリスマスだよ!夜だよ!テンション上がるでしょ!」

星もきれいだよ!と夜空をまっすぐ指さしておれを見る。

「……ほんとだな」

「逆になんでレオはそんなテンション低いのさ?クリスマスだよ?」

「いや寒いからに決まってるだろ」

「あ、やっぱり?」

………内心、結構テンション高めだけど。

そんなどうでもいい会話をしながら、1週間前のことを思い出す。


今年のクリスマスは、私がプレゼントをあげるから、楽しみにして待っておくのじゃ!

ナノサンタクロースより


と見慣れた文字が書かれた、寮部屋のポストに入っていた小さなメモ。

呆れてはいたが、なんだかんだ結構楽しみにしていたのだ。

「…レオ」

前を歩いていたナノが、クルッと振り返った。

「メリークリスマス!」

そう言って差し出してきたのは、真っ白なユリだ。

「……どこに隠し持って来てたんだ?」

「えへへっ」

呆れたように半目をして、ふっと笑ってみせる。

「ありがとう」

その時、月が雲に隠れて、ナノの表情があまり見えなくなった。

ユリは、影で黒く染まっている。

「う、ううん!?全然!どういたしまして!!」

「?ナノ、どうかしたか?」

「や、ちょっと素直なレオにびっくりしただけだよ!あはは!」

そう早口で言って、ダッとおれから逃げるように月明かりが出てきた方へ走っていった。

「どういうことだよ!」

追いかけてみると、月明かりの下に出たナノの顔が、さっきよりも紅くなっているように見えた。

「あはは!ごめんって!」

そう言って、また逃げ出したナノを見て、ふと感じた。

来年のクリスマスも、こんなクリスマスになってほしい。

そう、また素直に伝えたら、彼女はどんな顔をするのだろうか。


来年のクリスマスは、こんなクリスマスにはならないとわかっている。

これは、どうやって伝えたらいいんだろう。

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