コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「りんは、おねえちゃんのこと ぜったいまもってあげる!」
『うん、約束だね』
「うん!」
ヒグチ アマネ
私は26歳社畜OL、樋天音。
数年前から株式会社 ”アイドリーム”で働いている。
夢のある未来を人々に。
そんなキャッチコピーに釣られて入社した私を、一生憎みたい。
当たり前のようなサービス残業、低い給料。
『仕事やめたーい..』
それが叶うなら良いのに。
「おかあさん、れみハンバーグたべたい!」
「はいはい、わかったわよー」
「わーい!」
いいなぁ、子供。
昔はもっと気楽に過ごせたのに。
そういえば、
『りんちゃん、今なにしてるんだろ‥』
『また会いたいなぁ…』
でも、今りんちゃんがどこにいるのかすら分からない…
そもそも、りんちゃんは私のこと覚えてるのかな…?
『あー、もう考えるのめんどい…』
『家帰ろ』
帰宅後
『ただいまマイホーム~✨』
『あ”ー疲れたぁ…』
ー今日は人気タレントの天峰りんさんに来て頂きました~!!ー
『ん!?!?』
『え、今日りん様テレビでてんの!?』
どうやらベットにダイブした時にリモコンに手があたり、テレビがついたみたいだ。
『危ない危ない、今日が水曜日ってことすっかり忘れてたよ~💦』
『いやー、やっぱりりん様の出るテレビはリアタイしたいよね~✨』
なぜかりん様は水曜日にしかテレビに出ない。
まあ収録は別日にもできるから、水曜だけ予定フル回転って訳でもにいため、休日は普通に学校に行けるらしい。
ちなみに、りん様を街中で見た、という人は殆どいない。
殆ど、というのは、りん様を見つけられたのは、一部のガチ恋オタクか、厄介な迷惑イン○タグラマーだからだ。
正規オタクとして、そういう不純な輩の力を借りてまでりん様を拝むというのは、他のオタクたちやりん様に失礼である。
..というのが私の考え。
本心ではリアルのりん様の姿を拝みたい、拝めるのなら喜んで拝ませて頂きたい。
でも、りん様の正規オタクの私、樋天音は、絶対に、絶っっっ対にそんなりん様に失礼なことはできない!
絶対にやらない!絶対に!!
ーーーー
ーそれでは~!また次回お会いしましょう!
今日もお疲れ様でした~!!ー
『あ…』
『番組、もう終わってる…?』
最悪だ、せっかく仕事サボってきたのに…泣
もうやだ、不幸ばっかりだよ‥泣
ーピコン
『ん、何の音だろう…』
まぁ、何であってもこの痛みは消えませんけどね!!
激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームだからね!!ね!!!
『えーっと‥』
ん??
『2月13日の天峰りん·ファースト握手会、また武道館ライブ公演チケット当選のお知らせ‥??』
とう、せん。
とうせん…
んん??
『とうせんって‥あの当選のことだよね??』
『あたっ‥たの?私が?りん様のファースト握手会と武道館ライブ公演に???』
な、何度確認しても間違ってない‥
ほ、本当に当たったんだ…!!
もう激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームだったことさえ忘れるほどの幸福‥
『神様って、本当にいたんだね…!!✨』
ありがとう神様、このご恩は一生忘れません。
ーピコン
え、また通知??
も、もしかして…
今、さっき..一生ものの幸福が私のところへ訪れた‥
『っていうことは、今度は同じくらいの不運が来るとか…ってこと!?!?』
ど、どうなるんだろう…
もしかして無理やり退職させられるとか!?
ーいやでもそれは幸福に近いのでは!?
ってか退職させられても深雪の家に泊めてもらうとかできるし‥
あ、今のチケットが誤送信だったとか…!?
ど、どうしよう…!!
ープルルルルル
『ひ、ひいぃ!!!』
な、なになに!?
『え、えーっと‥?』
『な、なんだぁ深雪か…』
説明しよう!
天音の言う深雪というのは、大学時代にできた大親友、流川深雪のことだ!
説明おしまい!!
『よ、よーし、出るぞ~』
どうしてこんなに天音がビビっているのかって?
そう、深雪はガチ陽キャ、天音はガチ陰キャ。
これで大体は分かるだろう!!
そう!天音なはコミュ障なのだー!!
いやほんとに自分でも思ってる。
なんで親友相手にビビっとんねん!!!
いや分かるよ!?陰キャは陽キャと話せないのはさ!!
いやでも親友だよ!?!?
おかしいでしょー!!
ープルルルルル!!
あぁやばいやばい、
まだ出てなかった。
よ、よし、出るぞ!
『ぽちっとな』
「あ、天音ー?」
『はい天音ですぅ..』
「もう、メッセージも未読無視だったからなんかあったのかと思って心配したよー!」
『す、すみません..』
「まぁ、何もなくてよかったから許す!」
『ありがとう~!✨』
あぁ、優しい、優しすぎるよ深雪。
やっぱり陽キャって優しいね☺️
『っていうか、どうして電話かけたの?』
「あ!そうそう、肝心なこと忘れてたー!」
「ねね、天音ってりん様の握手会とライブのチケット当たった?」
『うん、当たったよ!』
『それがどうしたの?』
「やっぱり!?天音も当たったよね~!」
『天音も..ってことは、もしかして..?』
「そう!チケット..当たっちゃいましたー!!」
『す、すごい!良かったじゃん!!』
「だよねー!もう必死に当たりますように..って毎日祈ってた甲斐があったよねー!!」
『えぇ!?そこまでしたのぉ!?』
「いやいやー、天音だってお賽銭でなけなしの一万円札涙目で入れてたじゃんw」
『た、確かにそんなこともあったようななかったような..』
「人のこといえないじゃんw!」
「でも、あたってよかったね!!」
『う、うん!』
『一万円札入れた甲斐があった!!』
「え、そこぉ!?」
ーーーーーー
「んじゃ当日○○駅朝8時集合ねー!」
「休み取れなかったら今度こそ退職しなよー!!!」
『も、もう!深雪ったらー!!』
実は、うちの会社、ブラックすぎて有給を認めてもらえない、ということがあるのです..
『そのせいで一回りん様のライブ見れないことがあったなー..』
まったく、あの時は災難だったよ!
もう激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームになった..深雪が。
まぁ、勿論私も怒ってたんだけど..
深雪は人が良すぎて、私の10倍は怒ってた..
もうその会社やめなよ!!って言われた。ガチで。ガチギレで。
激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームで。ガチで怖かった。
『もうそろそろ潮時かなぁ..』
たまにそう考えることがある。
正直、あんなブラックな会社は辞めたい。辞めたいけど、
辞めたらお母さんに悲しい顔されちゃうから。