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君が気づかせてくれたから

10 - 第10話ーアイスと相談ー

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2024年12月14日

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事務所に戻ると、ひゅうがが待っていた。




彼の表情は少し曇っていて、何かを察している様子だった。ゆうたは一瞬躊躇したが、やまとと一緒に入っていくと、ひゅうがは何も言わずに頷き、少しだけ距離を置いた。




ゆうたはふと、ひゅうがの顔を見てその表情に何かを感じ取り、心の中で深く息をついた。



ひゅうがは、少しだけ苦笑しながらゆうたとやまとの前にアイスを差し出した。




アイスを手に取ると、ひゅうがは無理に軽い雰囲気を作ろうとして、「これ、ゆうたとやまと用に買ってきた」と言った。



言葉の裏には、今の状況に対する冷静な判断が隠れていた。




「ありがと。」




ゆうたはひゅうがからアイスを受け取ると、少し照れくさそうに微笑んだ。




やまとも頷いて受け取るが、ひゅうがが何を考えているのかはすぐには分からなかった。




けれど、ゆうたは無意識のうちにその場の空気を少しでも和らげるために頑張って笑顔を作った。


アイスを食べながら、ゆうたの頭の中では色々な思いが交錯していた。



やまととひゅうが、二人とも自分に対して強い想いを抱いているのはわかる。しかし、そのことをどうしていいのかが、ゆうたには全然わからなかった。






ひゅうがはアイスを食べながらも、心の中ではこれからの展開をじっくりと考えていた。




三角関係にどう関わるべきかはよく分かっていたし、自分が引いたり焦ったりしてはうまくいかないことも理解している。




だが、それでもゆうたを手に入れるためには、どうしてもこの時間が必要だと感じていた。





「やまと、ゆうた…」





ひゅうがは意識的に二人の顔を見ながら言った。




「このアイス、二人の好きな味だろ?」




そう言って笑いながらアイスを口に運ぶひゅうが。





「うん流石幼なじみだわ笑

いいね、この三人でこうやって食べるの、なんか嬉しいよ。」





やまとは少し考え込んだような顔をしながらも、「うん、嬉しい。」と、素直に答える。



その言葉には、ゆうたに対する気持ちが込められていたことは、ひゅうがにもわかっていた。




やまとは、どんなに余裕を持っているように見えても、心の中では揺れ動いているのだろう。それは、ひゅうがの目から見ても明らかだった。






ゆうたは、ひゅうがとやまとの間で微妙な空気を感じつつも、少し安心していた。





ふたりとも自分に対して思いを寄せていることを、改めて実感していた。



「ひゅうが、ありがとう。」




ゆうたは、ふとひゅうがに感謝の言葉を伝えた。普段から気を使ってくれるひゅうがに、今は素直にその思いを伝えたかった。





ひゅうがは軽く笑って、ゆうたの言葉を受け入れる。




「どういたしまして。」





そして少しだけ真剣な顔になり、「でも、これはただのアイスだから。あんまり深く考えないで。」



と、冗談のように言った。その言葉に少しだけ、ゆうたはホッとした。





三人は、そのままアイスを食べながらしばらく静かな時間を過ごした。




何も言わなくても、みんなそれぞれの思いが交錯していることを感じながら。しかし、少なくともこの瞬間だけは、三人の間にひとときの穏やかな空気が流れていた。





ゆうたはその空気を少しでも長く感じていたかったが、心の中ではまた、どちらを選ぶべきかという問いが消えなかった。それでも今は、少なくともこの時間を無駄にしたくないと思っていた。











翌日、ゆうたはひとりで抱えている感情を整理するために、ずっと気になっていたことをゆうまに相談することに決めた。




あっちゃんにも相談したかったが、ゆうまの方が少し冷静にアドバイスをくれそうな気がしたからだ。ゆうたは彼の元へ足を運び、少し迷ってから口を開いた。






「ゆうま、ちょっと話してもいい?」




ゆうたは最初にそう切り出すと、ゆうまは少し驚いた様子で顔を上げた。





いつもクールで、誰に対してもあまり感情を出さないゆうたが、こんなにも真剣に話したいと思うのは珍しいことだったからだ。






「もちろん、どうしたの?」



ゆうまはやさしく、けれど少し緊張感を持った目でゆうたを見つめた。




ゆうたは深呼吸をし、心の中で整理しながら話し始めた。




「実はさ、ひゅうがとやまと、両方とも俺のことを…好きだって言ってくれて。俺、どうしていいかわかんなくて…」




その言葉に、ゆうまは少しだけ驚いたような表情を見せたが、すぐに静かに頷いた。




「うん、それは難しいね。でも、ゆうちゃんはいまどう思ってるの?」



ゆうまは、冷静でありながらも、ゆうたが本当にどうしたいのかを知りたがっているようだった。




ゆうたはゆうまの言葉に少しほっとして、続けた。




「ひゅうがは、俺にすごく優しくて…何でもしてくれるし、俺も安心するんだけど、なんか…やまとといると、もっと違う気持ちがあるというか…」






その言葉に、ゆうまは黙ってゆうたの顔を見つめる。





「やまとは最近気づいたっぽくて… でもひゅうがは、俺が何を言っても、全然平気そうで、いつも楽しそうに接してくれるから、逆にどう接していいかわからない。」

ゆうたは頭を抱えたくなるほど、その気持ちがうまく整理できないと感じていた。







ゆうまは静かに話を聞き、しばらく黙った後、落ち着いた声で答えた。





「ゆうちゃん、気持ちが揺れてるのは当たり前だよ。ひゅうがもやまとも、どちらもゆうたにとって大切な存在なんだよね?」





「うん…」





「なら、焦らなくていいよ。気持ちが整理できるまで、無理に誰かを選ばなきゃいけないわけじゃない。ただ、どちらとも向き合う覚悟がないなら、もう少し時間をかけて、自分がどうしたいかを考えた方がいい。」





ゆうまはまっすぐにゆうたを見つめながら、優しく言った。






「自分の気持ちに正直になれた時、きっと自然と答えが出てくると思うよ。」





その言葉を聞いたゆうたは、少しだけ胸が軽くなるのを感じた。ゆうまの言う通り、自分が今焦って答えを出す必要はないのかもしれない。ゆうたは、少し落ち着きを取り戻した。






「ありがとう、ゆうま。」







ゆうたは、心から感謝の気持ちを伝えた。




「なんか、少しだけ楽になった気がする。」






ゆうまは少し照れくさそうに笑い、肩を軽く叩いた。





「気にしないでゆうちゃん!俺に話してくれてありがとう。僕はねゆうたがどうしたいのか、応援するだけだから。」






その言葉に、ゆうたはさらに心強さを感じた。






その後、ゆうたはゆうまとの会話を思い返しながら、少し冷静になり、自分の気持ちを整理しようと決めた。ひゅうがの優しさとやまとの想い、どちらも大切に思っている自分がいる。ただ、今は無理に決断を下すのではなく、もう少しだけ時間をかけてみようと思えた。







…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ



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