テラーノベル
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その夜から、私は少し変わった。
「彼氏」としてヤマを見るようになった。
照れることは変わらない。
手を繋ぐだけで緊張するのも変わらない。
でも、不思議と怖くはなかった。
心がちゃんと繋がった気がしたから。
その夜。
私たちは初めて、お互いのぬくもりを確かめ合った。
部屋は真っ暗だった。
恥ずかしくて、お互い顔もちゃんと見られない。
「何してんねやろな。」
どちらからともなく笑って。
「ほんまやな。」
また笑って。
ぎこちなくて、不器用で。
何が正解かなんて分からなかった。
でも、それでよかった。
十年前、小学生だった私たちには分からなかった時間を、一つずつ取り戻していくような夜だった。
あの夜のことを思い出すと、真っ先に浮かぶのは、恥ずかしさでも照れくささでもない。
「幸せ。」
その一言だけだった。
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ユキ
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コメント
1件
第17話、読み終わりました。二人が「彼氏」としての距離をゆっくり確かめ合う夜、とても温かかったです。真っ暗な部屋で顔も見えないのに、笑い合える空気感がリアルで、ぎこちなさがむしろ愛おしく感じられました。十年前には分からなかった時間を今取り戻す——その一言に、この物語の積み重ねが全部詰まっている気がします。伏線というより、関係性の深まりを詩的に描く構成が本当に美しいです。