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<牛沢視点>
最近、ずっとこっちを見てくれない人がいる。
俺の話は軽くあしらうし、俺といると暗い顔をしている。
仕事中にしか笑顔を見せてくれない。
あの…俺一応恋人なんですけど……?
愛想をつかすならここから出て誰かと笑っててくださいよ
俺に構ってないでさ
どうせ貴方はもう俺に笑いかけてもくれないんでしよ?
家のリビングで椅子に座る彼を見ながら思う。
無理しないでここに縛りつける気はないからさ、別に貴方は自由にしてればいいじゃん。
俺はもうこの空間が嫌いで、離れたいと思う。けれど、貴方を後ろから見れるこの席が好きだから離れなくないとも思っていた。
はぁ…今もスマホを弄って何見てるんだろう。誰か女の人でもみてるのかな?
女々しくなっていく自分が嫌いで仕方ない。
もっと前のように気楽にドンと構えていたい。友達であった頃のように楽しげに話していたい。
けれどきっと、貴方が他のところへ行かない限りこの沈黙だけの関係は続くのでしょうね。
ただ貴方を見るこの無駄な時間も有意義に思える自分が憎い。どれ程まで貴方に惚れているのかが分かる。
貴方は酷い人、俺の心を弄ぶ。貴方に惚れた自分が憎い、どこまでも俺は溺れてる。
明日には俺はもう出ていってしまおうか。
そうすれば貴方も気楽になるでしょう。
俺の心もきっといずれ諦めがつくから…
……もういいや…。
今日は貴方を目に焼き付けて明日には貴方を忘れよう。そう思いながらジッと彼を見続けた。
<ガッチマン視点>
朝、目を覚ますと玄関のドアが閉まる音がした。きっと彼が出掛けたんだろう。
大丈夫かな?いつ帰ってくるんだろう。
心配だけれども彼も大人だ遅くなるなら連絡くらいはくれるだろう。
俺は今日は何をしようと予定を考えながらベッドから起き上がる。
まだはっきりと目の前が映らないままゆっくり起きる準備へ向かった。
今日の朝ごはん何かなー…
起きる準備が終わり、ダイニングテーブルに置かれたご飯を見る。
丁寧にラップされ、冷めないようにしてくれていた。
しかし、ラップの上に張られた紙のせいで肝心の中身がわからない。
何だよ、と紙を剥がして目元に寄せる。
内容は「おはよう」という挨拶と「今までありがとう」という言葉が書かれていた。
後半の言葉の意図が読み取れない。
なんだ?何故俺は今、ありがとうと書かれた紙を持っているんだ?今までってどういう意味だ?
習ってきた言葉だが、その言葉が頭の中で「?」となって俺を困惑させた。
今日は何か記念の日だとか、そういう訳ではないだろう?
それに、まで、という意味が分からない。
もう次がないような文章だ…。
………!
そこでようやく思考が追い付きうっしーを追いかけようと急いで家を出た。
くそっ…なんでうっしー!
外に出るがもう既に彼の姿はどこにも見当たらなかった。
軽く周辺の曲がり角や電信柱の裏も見てみるもどこにも居なかった。
慌てて掛けた電話にも出てくれない。
俺は焦って家に戻り、出かける準備をする。
彼が向かうであろう場所は何処だろう。
今彼が頼るとしたら何処かのホテルかアイツらの内のどっちかの家だろうな。
取り敢えず連絡入れて手当たり次第に探すか。
軽く財布とスマホだけを持って俺は家を出た。
<牛沢視点>
俺は家を出た後、行く宛もなかったからkyの家へ転がり込もうとしていた。
荷物を少なくして来たのでほぼ何も持っていない状態だ。
ky受け入れてくれるかな…あいつ家に居ると良いけど…
今どこへ行くのか決めたことなので、彼にはまだ連絡していない。
kyの家へ着いてチャイムを鳴らす。
数秒後にドアが開いて、「家出した」と話すとすぐに中へ入れてくれた。
彼は気を遣っていつもより優しく接してくれる。その行動が俺にとってとても心に沁みることだった。
kyは浮かない表情の俺を見て、話ができるまで滞在することを許してくれた。
us「…ありがとなキヨ」
ky「全然気にしないで、2人はずっと家に一緒に居るだろうし、一人の時間も必要だもんな」「後でちゃんと仲直りしろよ」
us「……うん、ごめんな巻き込んで」
家出したと伝えているから勘違いをしている雰囲気はあるが、その方がいいだろう。
俺たちの関係についてはシェアハウスしている程度でしか知らないのだから、俺達が本当は恋人だって本当のことを話すともっとややこしくなってしまうかもしれない。
それから少し時が経った頃、俺の携帯に電話が掛かってきた。
俺はそれを無視する。
きっとgcさんなのだろう。
画面も見ずにスマホをポケットに入れたままにする。
kyはその行動を見て心配そうにした。
俺は遂に無視しても尚鳴り続ける着信音にスマホの電源を落としてしまった。
ky「これは…ヤバいぞ……」
彼は目を細めて哀れむような目で俺を見てきてつぶやく。
us「いいんだよこれで。何もヤバくない」 「gcさんなんて俺の事どうでも良いんだから…」
俺は自暴自棄になってつい言ってしまった。
しまった…何で家出したのか秘密にしてようと思ったのに…!
その言葉に対して彼は驚いた表情をした。
ky「は?おまっ…!それガチで言ってんの!?…っ」
大きめの声でいつも文句を言う口調になる。
kyはその後何か言葉を続けようとしたが、その前に彼のスマホが着信音を鳴らした。
kyは着信画面を見て急いだ様子で電話をとる。
kyはそのまま奥の部屋へ入っていって姿を隠してしまった。
俺は一人ポツンと部屋に取り残される。
感傷に浸る時間が生まれてしまう。
us「っ…別に…もういいんだ…ガッチさんなんて……ッ」
彼との思い出が思い出され、辛くなってきた頃にkyが部屋へ戻って来た。
ガチャ…
ky「!…目潤んでる。あんなこと言いながらやっぱ辛いんだろ?早く仲直りしろよ」
心配そうにかけよって来てくれる。
目元の雫を拭き取ってくれた。
us「そんなことねぇよ…ただ、目が痒かっただけだし……そんなこと…ねぇ……」
段々力ない言葉になっていった。
必死に堪えているが実際は今にも泣き出してしまいそうだ。
本気で彼の事を想い続けていたからこそ自分の選択とはいえ心にくるものが大きくある。
それは今にもこぼれ落ちそうで水面が震え少しの刺激で止められない程に溢してしまいそうな感情だった。
us「もう、いいんだよ…俺はもう好かれてなんて……」
ガチャ…
玄関の方で音がした。
不審な音に身構えてすぐ後ろにある玄関へ続くドアを向く。
警戒しながら俺はドアと反対の方へ下がっていくと ドアから人影が見えた。
尚集中してドアを見つめる。
キィ…
ドアが開かれていく。
その人の足が見えたと思うと、後ろに居たkyに捕まれてしまった。
背中側からがっちりとホールドされ、頭に顎を乗せてきている。
us「ちょ…やめろふざけてる場合じゃねぇぞ」
完全に動きを封鎖されて思うように動けなくなった。
ky「まぁまぁ…w俺らの仲なんだから」
kyはそう言って視線をドアの方へ向ける。
俺も追って視線を向けた。
俺は息を飲んだ。
いつの間にかドアは完全に開ききっていて
目の前に立っていたのはgcさんだった。
その顔はあまりに形容しがたい顔で怒っている。
俺は思わず恐怖を感じて言葉が出せなくなった。
kyは構わずに俺を弄び始める。
ky「うっしーこの状態だと抵抗出来ないんだ?w」「じゃあ擽っても逃げられないんだね?笑」
脇からスッと手が動き始めた。
us「ひゃッ!…ッは!?…っw…ッぅww…んッwやめッww」
身体を身動ぎさせながらどうにか逃れようとする。
現状、こんな状態になるのはおかしい。
目の前のgcさんの表情は恐ろしく変貌しているのだ。
必死にkyを説得しようとするが、声に笑いが混じってうまく話せなかった。
「うっしー」
低くなった声が聞こえる。
その声に驚いて体をビクつかせた。
俺は焦ってkyの手を強く掴む。
次は頭の上から舌打ちが聞こえた。
「チッ…なんだよ、そんなんだから逃げられんだよ!」「もううっしーは俺のだから、手を出してくんな」
そう言って楽しげにしていたkyの顔は一変して、敵意を露にした表情になる。
俺の…という言葉や、その態度に驚いて目を見張る。
「は?な…おまっ…どういう……っ!?」
kyは俺の顔を擽っていた手で掴むと上へ向かせて、頬へキスをしてきた。その行動で俺の言葉が遮られる。
目の前でされていることに頭が追いつかない。
us「は?!おまっ…!何して!!」
焦る俺をkyは抱き締め、gcさんに敵意ある言葉を投げ掛け始める。
gcさんはその言葉に売り言葉に買い言葉というのが相応しいように言葉を鋭くして投げ返しだした。
何だ…何が起こっているんだ……。
ようやく俺の耳にも言葉が入ってくるようになると事態は一時的な休憩が挟まる。
2人とも息を荒げて興奮した自分の状態を治めようとしていた。
またとない俺に与えられたチャンスだった。
無言で睨み合う2人の間に入り、言葉を入れる。
us「…ky離れてくれ。苦しい」
俺の言葉にkyは少し力を緩めてくれる。
けれど、離す気などないようでまだ後ろから抱きつかれていた。
俺も今この時間を抵抗に使うのは無駄だと思い直してすぐに諦める。
us「ガ、ガッチさん何でここに…」
本題であるgcさんを見る。
俺は勝手にいなくなってしまったことがバレた事と、スマホを無視していた罪悪感が今になってマジマジと感じられてgcさんには一層気まずさを感じていた。
gcさんはkyとは違いこっちを見て話してくれる。
gc「うっしーが居なくなったから思い付く場所を手当たり次第探してきた」
よく見ると彼の頬や首筋に汗が流れた跡があった。
ここまで急いできてくれたことがよく分かる。
そんな彼にまた心がキュンとして好きという気持ちがまた香る。
ky「…そういうのズルいよねgcさん」「そんなんだからウザい」
us「え?」
またkyが口を開き、口論が始まりそうな気配がする。
ky「俺がうっしーのこと好きなのかなって思ってたでしょ?なのに余裕ぶって俺とうっしーが何かしてても気持ち抑えて大人ぶっちゃってさ」「ほんとバカな大人。恋人のくせにうっしーの気持ちも分かんないなんてw」
kyは嘲笑うようにgcさんを挑発した。
対するgcさんは慌てた様子になった。そして俺を気にするような素振りになる。
gc「ちょ…キヨ、それは言っちゃだめだつって…!」
ky「なんで?あ、図星突かれて返す言葉もない?wダッサw終わってるね」「そんなんだからうっしーに逃げられんだよ彼氏のくせに」
kyの口から次々と出てくる言葉に衝撃を受けた。その中でも衝撃を受けたのは彼が俺達の関係を知っていたことだった。
us「え……ky俺らが恋人だって知ってたの??」
驚きを感じながらkyの方へ向く。
俺はあまりの情報の多さに戸惑いながらもしっかりとkyの目を見た。
ky「ん、知ってたよ」「逆に気づかれてないと思ってたのうっしーだけだし」
何の戸惑いもなく、何の悪びれもない、焦りも見えない顔で話す。
us「あ…え……?」
今まで悩んできた時間は無駄だったのかと唖然としてまた目を見張る。
ky「てか、うっしー俺がうっしーのこと好きって言ったこと気にしないんだね」
us「え?…あっ…その…」
それどころじゃなかった等と言える筈もなく俯いて顔を背けた。
us「は、離れろ」
ky「やだ。」
kyはより力を強めて離さないと言わんばかりに体を寄せる。
gc「返せ」
そう言うと 気付けば俺の目の先にいたgcさんが。 俺の手を掴み、勢いよく俺を引っ張りだした。
kyはgcさんに押し出されて後ずさりし、 引き寄せられた俺はgcさんの腕の中へと体を包み込まれる。
俺はgcさんの顔もkyの顔も見えなくなった。
「ちっ…」
またkyの方から舌打ちが聞こえた。
us「ガッチさん……」
俺は予想外の行動におずおずと上を向いてgcさんと目を合わせようとする。
その眼差しはkyを鋭く睨み付け、怒っていた。
なんで…どうしてこんなことで怒るんだよ。もう俺の事なんて好きじゃないでしょ?
gcさんの行動に理解することができずにまた頭の中でぐるぐると苦悶が溜まる。
ky「俺知ってるよ?ガッチさんがうっしー苦しめてること。」「愛情表現もしないからうっしーの自信も失わせて、意気消沈とさせてる」「俺らに対してはあんなに敵意を見せる程好きなのに肝心の本人を蔑ろにしてちゃだめだろ?」「そんな奴にうっしーが取られてるなんて最悪だ。」
ky「ねぇうっしー、そんなポンコツな奴に行ったってまた哀しまされるだけだよ」「俺のとこお出でよ俺ならうっしーのことずーっと幸せにできる自信ある。いっぱい愛をあげられる」「おいでようっしー」
kyは熱烈なアプローチを俺に投げ掛ける。
実際俺には凄く刺さっていた。
受けるつもりはないが、切望するほどまでにずっと愛を求めていた。
そんな俺が無条件に与えてくれる愛を見たら飛び付きたくなるほどにほしい。
けれど、それはあくまでもgcさんからの愛だ。
俺はkyの言葉に返事を返さずただ黙って顔を逸らし続けた。
gc「……うっしー…」
gcさんからの締め付けが強くなった。
ぎゅと温もりを感じる。
gc「キヨ、ごめん…ありがとう。」「確かに、愛情表現が足りてなかった」「もっと甘やかしたいとか、離れたくないとかそういう気持ちだけが先走りすぎてて自重してたから伝えられていなかった。」
gc「うっしー、ごめんねこんな不甲斐なくて」「今でもずっとうっしーが好きだよ愛してる」「いつも俺の側に居てくれてありがとう……」
gcさんの口から紡がれる数々の求めていた言葉達につい涙を流してしまった。
心残りが全て消えて多幸感に溢れてgcさんを強く抱き締め返す。
つい泣いてしまったからgcさんの胸元に顔を擦り寄せて見られないようにする。
us「っ…おれ”も…すき…ッだいすき……っ」
「も…っガッチさん…に嫌われたって…思ってたの…っ」
引っ込められない涙が俺の言葉を拙くさせた。
gcさんは何度もごめんねと言って好きだと言ってくれる。
gcさんの久しぶりに感じた温もりと匂いが俺を深く安堵させて幸せを増強させた。
ある程度俺の涙が引いてきた頃にkyが口を開き始めた。
ky「あー…もういい?後は2人で話し合って帰って?」「もう少しでrtさん来るから2人きりになれない」
us「え?レトルト?お前…俺の事……」
ky「あれ嘘。お前ら、てかガッチさんが本気になるにはあれしかないと思って」「俺の本命はレトさんだから」
ピーンポーン♪
ky「あ、来た!」
kyの顔を見ると今までとは全く異なる誰がみても分かりやすい表情をしていた。
gc「帰ろうか」
us「うん」
俺達はrtと入れ違ってkyの家を後にした。
rt「キヨくんうまくいった?」
ky「うん、大成功!もううっしーの心配しなくていいよ。だからこれからは俺のこと見て?」
シェアハウスへ帰ってくると手洗いを済ませて2人ソファに座る。
久しぶりに座った家での近い距離に初めの頃のようなドキドキ感を感じる。
gcさんは隣でソワソワした様子だった。
俺と同じように緊張してるのかなとgcさんを可愛いと思っているとgcさんは眉を下げて口を開いた。
gc「…ほんとに、ごめんね。もっと愛してるって伝えなきゃ俺の気持ち分からないのに、辛い思いさせてた。」
us「ううんもういいよ、gcさんがまだ好きでいてくれてるって知れて嬉しい」
gc「うっしー…//でも、また今回みたいにうっしーを不安にさせたら嫌だ…居なくなって始めて自分の愚かさに気づいた。」「こんなんだからkyにもああいう風に言われちゃうんだよな」
us「ガッチさん…」
gc「うっしー、俺もっと頑張って伝えられるようにするからだから…」
gcさんは俺の腰に手を回すと俺を抱き上げて膝に乗るよう誘導した。
gc「もっと俺の愛受け取ってね?」
us「う…うん……//」
gcさんはぎゅ~っと力強く抱き締めてくる。首に顔が当たったと思うとそのまま唇が俺の首にキスをした。
何度も何度も位置をずらしながらチュッチュッ…とキスをされる。
gc「うっしー…」
顔が正面に上がってくると目線を向けられ、目があった。
俺を渇望しているその目が、顔が俺の欲を掻き立てた。
us「ガッチさん…//」
俺は目を閉じて口を閉じる。
gcさんの唇が俺の唇に触れる。軽いキスを受け続けていると唇がを舐められ、口を開ける。
舌が這ってきて俺を求めて動き回っているのが分かる。
心地よい熱に心が満たされていく。
gcさんの口が離れた。
gc「うっしー、愛してるよ」「うっしーしかいらない」「俺だけを見ていて欲しい」「うっしーしか見ていたくない」
gc「愛してる♡」
us「あ…う…///」
思わず目をそらして恥ずかしさを紛らわす
gc「うっしー、もっと俺の事見て?目を合わせてよ?」
us「無理っ…//」
gc「もう俺止められないんだから」「うっしー、ずっと一緒にここに居ようね?今日みたいに離れちゃ嫌だよ? 」
us「え?」
gc「2人で仲良く愛し合って何処にも行かないようにしようね」
gc「~~~……!、…!……!」
us「………。」
やばい者を解放させてしまったかもしれない…。そう直感が急に働く。
普段からは想像つかないほど饒舌に話す彼を見て、ゾクゾクと背中が汗で蒸れていった。
彼の重たい愛が今、解き放たれてしまった。
恐怖すら感じてしまうような言葉達に身が退こうとする。
が、ガッチリ捕まれて逃げられないこの状態では受け止めるしかないのだろうか。
ひきつりそうになる顔を持つが、心は長い間求めていた彼の愛に密かに踊っていた。
あぁ…ガッチさん…
虚空に揺れる不安感に恐怖を覚える。
これでよかったのかな……
後にエスカレートしていったgcの行動は次第にusも慣れていき、当たり前になっていった。kyrtもやばい者を鼓舞してしまったと後に知ることとなる。
コメント
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少しだけ長く変えました