【説明しよう👆】
宝石病とは、心臓や脳を栄養源に蝕む病。患者が死んだ時、血液や肉体が砂になり、心臓が宝石になるのが特徴💎。痛みがなく、末期になっても気付かない場合が多い。
(おまけ タコは心臓が三つあるらしいよ)
(🐙🌟視点)
とある日、小柳くんと大喧嘩をした。
原因は、ほんっと他愛のないことだった。
だが、その時に小柳くんが剣を取り出し俺も触手を伸ばして合同拠点の壁をぶっ飛ばしてしまったのだ。バレるうちに逃げようと思ったがタイミングが悪く、その時に任務があったライとカゲツが帰ってきた。
その後、上のお偉いさんにしこたま説教され帰った後もライとカゲツに拳骨を食らった。
そしてライから「……お前ら、仲良くなれ!!」と言われ、壁が直るまでの約五日間手を繋ぐという最悪な罰を授けられ、ズルをしないように手錠を掛けられた。小柳くんは左手が俺は右手が封じられている。
今は、何故このような事が起きたのか報告書…..というか報告書という名の反省文をライの監視下のもとで書かされている。俺達がこんなに屈辱を味わっているのにカゲツはソファで呑気に寝ていた。
「…….何処かの誰かさんがいなければ、こんなことにはなんなかったのに….」
ライとカゲツにされた拳骨でできたたんこぶを摩りながら小声で呟く。
『は?!俺のせいって言うのかよ!』
「そうです!!小柳くんが俺のプリン勝手に食べたから!!」
『プリン買ってきただろ?!』
「俺が買ったやつと違った!!」
『はぁ?!プリンはプリンだろ?!』
💡〈お ま え ら~?〉
「ッス、サーセン」
『…..てか、トイレ行きてぇ』
「えやだ。」
『やだとかねぇから』
今は小柳くんも片手しか使えないから俺が手伝わないといけないということは目に見えている。
「えー……、此処で漏らしちゃいなよ」
『いい年して漏らせるかぁ!!』
💡〈何の罰だと思ってんの?ほら二人で行ってこい!!〉
「え~?!」
トイレに着いたまでは良かった、だが本題はズボンを下ろしその後の事をどうするかだった。
取り敢えず、そんな人が用を足しているところなんて見たくないのでそっぽを向いていた。
『星導ちょっとズボン押さえてて……落ちる』
「えー、….やだ」
『じゃあずっとこのままだぞ?良いのか?』
「う゛うっ」
少し振り向き小柳くんに当たらない最大限手を伸ばす。
『……もうちょいそのままで』
「…..はーい、てか今はライにバレないから手、離してよ」
💡〈……..あー、俺が何だって?〉
どこからともなくノイズが入ったライの声がする。
「うぎゃッ」
💡〈お前ら、言っとくけど常に俺に見られてると思え?〉
え、何それこわ…..
『へ、変態….』
💡〈ちゃんと見えねぇ角度に設定てしるよ!!〉
💡〈お、戻ってきた!長かったけど無事だった感じだね〉
「はい…なんとか….」
『てか、何あれ』
💡〈ちょっと前から一応監視カメラを設置してたんだよね〉
「へ~、そうだったんですね~。
でも何で俺達に言ってくれなかったんですか?(・-・ )」
💡〈驚かせようと思って笑〉
「はぁ~?!るべちすっごい驚いたんですけど!!」
💡〈えへへっ。あ、トイレ行けたならお風呂も大丈夫そうだね!!〉
『…….あ、忘れてた』
「………..やっべ、どうしよ」
💡〈じゃ!俺ら帰るから!!また五日後~!!〉
ライはまだ寝ているカゲツをおぶって帰っていった。
「反省文書けたことだし、取り敢えず俺達も帰りますか。
小柳くんの家….なんか汚そうだから俺の家来て下さい」
ぎゅっと小柳くんが握っている手の力が少し強くなった。すべすべでほんのりと心地好い暖かさが手に伝わる。
『….へー…い
てか、星導……..お前手がかっさかさだな』
「…….最近そうなんですよ。ハンドクリームとか塗ってもずっと乾燥してて」
『……へぇ….』
何か含みのあるような曖昧な相槌をうった。
(👻🔪視点)
「着きましたよ」
『お洒落だな、お前んち』
ステンドグラスのような装飾が施されているカラフルな硝子のランプ、高そうな知らない女の人の絵画や壺が至るところに飾られている。
気になる所と言えば、廊下や部屋など砂が落ちている事ぐらいだろう。俺が気にしすぎなだけなのだろうか。星導は何も言わないし、
「……..ありがとうございます。
所で、夜ご飯何食べたいですか」
『ん~?何でもいいよ』
「うわぁ、一番困るやつ」
『む……..じゃあ、寿司』
「…却下」
『はぁ?!……..じゃマックは?』
「…….あり」
『俺ナゲット食いたい。バーベキューの』
「はいはい」
(五日間後)
五日間手をつなぐという罰が今日の夜終わる。
今日は10月の下旬なのに蒸し暑く寝苦しい夜だった。
背中にびっしょりと汗をかき、寝返りを打とうとしたら手に染み付いている星導の感触がない事に気がついた。
『?!……星導?』
手の方を見ると、俺と星導を繋いでいた手錠の先には星導の姿はなく、そこにあったのは砂ばかり。
夢だと思い眼を擦ってもほっぺをつねってみても何も変わらない。
そんな時、珍しく星導のオトモが俺の方に漂い俺のおでこにぴとっとくっつけた。
オトモ〈ウミ…ニイケ〉
ノイズ混じりの電子音が脳内に響く。
『……海?』
そう呟くとオトモがふわりふわりと飛び玄関に向かう。
『……着いて来いって言ってんの?』
取り敢えず星導の身に何かあったのだろう、何も考えず着いていくことにした。
俺のオトモも起きたので散歩がてら連れていくことにした。
波の音と冷たい海風が心地好い。
星導のオトモが連れて来てくれた場所は前にヒーローズで遊びに来た海だった。
遠くに一つのベンチが見えた。前に言った時はベンチなんか有ったかなと思いながらもオトモが向かっているので着いていく。遠目だからよくは見えないがぼんやりと人影が見える。
ベンチに一歩足を進める度に人影がくっきりしてきた。
『……星導、何してんだよ』
風邪になびいている髪が月明りに照らされきらきらと煌めいていた。
「…………あれ、バレちゃいましたか笑」
『ったく。心配かけやがって。…..ほら帰るぞ』
「…….ごめんなさい。っ出来そうにないです。ほら….」
よく見てみると、足や腕にひびが入っており所々が砕け砂となり砂浜に消えていっていた。
『は?…..何で星導が……』
「小柳くん宝石病って知ってますか?」
『…そんな事言ってる場合じゃないだろ?!はやく病院行くぞ!』
手を掴み無理矢理にでも病院に連れていこうとすると腕に大きな亀裂がはいった。
「無駄です。その病に罹ると、身体が砂になって心臓が宝石になるそうですよ?
…………因みに治す方法は……無いらしいです。」
『……..何言ってんだよっ。それって星導が死ぬって事だろ?!』
「そんな死ぬなんて言わないでくださいよ。」
『….何でっ、……星導がッ』
何故か視界が滲む。
いっつも何言ってもへらへらしてて、たまにだす猫撫で声が気色悪くて、歌が上手いのが腹立たしくて、記憶を失った時どれだけ俺がお前を憎んだ事か。
嫌いだったはずなのに…….、
「ふふっ、泣かないでよ。
……….ねぇ、小柳くん。昔の…….記憶を失う前の俺を…..教えてよ」
ライとカゲツなりの優しさなのだろう、ディティカの中ではVTA時代の頃の話は自然と禁句になっていたのでやっと誰かに話せることが出来て、胸がぎゅうと締め付けられる。
俺達はでびらびというコンビ名を組んでいた事、俺は星導に「ぴょん」と呼ばれていた事。日常の中であったくだらない話や何気ない話….一部始終、全てを話した。
星導は時々笑いながら黙って聞いていた。
「ごめんなさい、そんなことを…..小柳くん一人に抱え込ませてしまって」
『ッほんとだよ笑』
「……小柳くん俺が死んだら………二つお願いしていい?」
『ズビッ……んだよ』
「一つ目………..俺の心臓からできた宝石をディティカ……….小柳くんとライとカゲツで持っていてくれませんか?タコは心臓が三つあるらしいので笑」
「二つ目、俺が死んだことを…….誰にも言わないでくれませんか。……失踪した、とか行方不明になった、とか何でもいいからさ」
『……分かった』
身体の崩壊のスピードから見るに星導はもう助からない。
助からないんだったら、せめて星導の願いを叶えなければ、
脚と腕が完全に崩壊し、後は胴体のみとなってしまった。星導は気にしない顔で他愛のない話をしていた。
「あ、最後に膝枕してよ」
『……最後に…..か。良いぜ。』
「え~?優し~い♡るべち惚れちゃう~♡」
『きもッ』
星導の最後はなんとも儚く優艶に崩れ、三つの薄紫色の宝石だけが残った。
【??後】
結局星導は行方不明という事になり、配信で何か質問があるか聞いてみてもリスナーからは星導の詳細ばかり。
星導のオトモは崩れず残っていた。だがあの日から一ミリも動かなかった。
『……今日は彗星が見える日なんだって』
何気なく見たニュースには数百年ぶりに彗星が見えると町の人々が騒いでいた。
あの時残った宝石を見たり、動くはずがない星導のオトモに一人で話かけては、あの日を思い出し助けれなかった後悔が押し寄せ…..ただ胸が苦しくなる。
そんな時、ぴくりと星導のオトモが動いた。
『っ?!』
何があっても動かなかったオトモが動くということは星導に関係した何かが起こったに違いない。
ふわりと浮かび上がり空いていた窓から出ていこうとしていた。
『っ待てよ!』
止めようとしたが星導のオトモの方が動くのが早くて窓から出ていってしまった。
『くそっ』
見失ってはいけないので急いで玄関まで靴を取りに行き、窓から家を飛びだしオトモを追いかけた。
『ッ待て、っ待てってば!!』
何度呼びかけても無視しオトモはただ一直線にふわりふわりと進んでいった。
もうどれくらい追いかけているのだろう。少なくとも三十分は走り続けてる。
『ハァッ、ハァッ、何処まで行くんだよっ』
人が立ち行かないような山に入り、整備がされていない山道をひたすら駆け登る。空を見上げると鮮やかに煌めく満天の星と一際輝きゆっくり流れる一筋の彗星。
もう暫く走った頃、オトモが少し開けた所にあった青色の花に囲まれているベンチの上で止まった。
『ハァッ、ハァッ、フーッ、止まったっ……?』
ベンチの上にはすぅすぅと安らかに眠っている薄紫の髪の毛の男の子がいた。
終わり
やっぱ俺、バッドエンドは書けねぇや!!
頑張って書けるようにします😤
多分この後どうなったか、みたいなやつ出すと思います!!
コメント
4件
ストーリー好きです、🫶🏻続き気になりすぎる…😳