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『愛重恋愛-アイジュウ レンアイ-』〜愛が彼を狂わせる〜
第4話 私がおかしいのですか?
私とベリアンは町へ出掛けていた。
『流石に街は外しましょうね。』
『う、うん。』
ベリアンは手錠を外した。
『あ、あそこに美味しそうなマドレーヌがあります。買って帰りましょう。』
ベリアンはお店に入っていく。
『そうだね。』
(普通にしてたら昨日みたいなことにはならないよね…。なるべく刺激したくない。)
と、ベリアンの後を着いていこうとしたその時だった。
『あ、あの。』
『は、はい。』
『悪魔執事の主様ですよね?』
『は、はい。そうですけど…。』
『この間の見てました!かっこよかったです!』
話しかけてきたのは若い青年だった。
(フルーレと同い年くらいかな?)
『そ、そんなことないですよ、私は何もしてません。戦ったのは執事達ですから…。』
『そんなことないですよ!僕、皆さんのファンなんです!サイン下さい! 』
『そんなサインだなんて…。』
私は青年に推されて色紙にサインをした。
『ありがとうございます!一生大切にします!』
そう言って笑顔で去っていく。
『なんか、テディみたいなひとだったな…。』
『……。』
私はまだ知らなかった。この時見られてたことを。
(ベリアン遅いな……。)
『あの、すみません。』
『は、はい!』
中年男性に声をかけられる。
『あの、ここってどうやって行くんですか?違う大地から来たもので……。』
『あぁ、えっと、ここはこの道を――』
と、その時――。
グイッ!
『ぐえっ!』
『貴方…主様に何するんですか?』
ベリアンは中年男性の胸ぐらを掴む。
『ちょっと……っ!ベリアンただ話してただけだよ、やめて……っ。』
離そうとしたがびくともしない。
『ベリアンっ!』
『あっ、主様♡♡』
ベリアンはパッと手を離す。
『ひ、ひいいぃ!!』
その人は血相を変えて逃げていく。
『なんで急にあんな事したのよ……っ。』
『すみません、主様に迷惑をかけてるのかと思い考える前に動いてました。』
(だからってあんな怖い顔で……っ。)
『…帰りましょうか。主様。』
『う、うん。』
私とベリアンは屋敷へ帰る。
夕方――自室にて。
『ふぅ。』
ドサッとベットに座り込む。
『おや……?主様。これ…わたしからのプレゼントじゃありませんね。どなたからですか?』
ベリアンは花瓶を持ち上げる。
『あぁ、これは、アモンがドライフラワー作ってくれて――。』
ガシャンっ!
ドライフラワーの入ってた花瓶を落とし、踏みつけた。
『な…っ!』
『私以外の贈り物は要りませんよね?』
『っ、なんでこんなことするの……?』
『貴方を愛してるからですよ。主様。』
ベリアンの目が私を侵食する。
じー……。
ゾクリッと背筋が冷たくなる。
『っ……。』
『他の人に目移りしたら…私、手にかけてしまいそうです♡私は貴方の執事であり恋人です。
私以外の男性とは極力話さないで下さいね。その時は――』
(相手の方を殺めなくてはいけませんから♪)
『ベリアン……?』
『ふふ、いえ、なんでもありません。』
(既に1人決まってますけどね。)
『っ…。ベリアン何か企んでる……?』
『…さぁ――?』
わたしは主様を見つめる。
『っ、ベリアン、私そんなことしたら許さな――。』
コンコンっ。
『!』
ガチャ
『失礼します。主様。ベリアンと話してるところ申し訳ありません。ベリアンに話があるのでよろしいですか?』
『あ、う、うん。』
『ルカスさん?私になにか御用ですか?』
『うん。』
『分かりました。では…失礼します。あるじ様。』
バタンっ。
治療室にて。
『ベリアン。単刀直入に聞くよ。主様のことどう思ってるの?』
『あはは…っ!ルカスさんったら当たり前のことを…もちろん愛しています。この命惜しいほど…主様を守りたいと思ってます。』
『…君が主様の恋人で好き同士で付き合ってるのは知ってるよ。でもね、行き過ぎた愛は主様を傷付ける。』
『…。』
『ロノ君とアモン君から聞いたよ。手錠をつけて生活してるんだって?食事中も入浴時も出掛ける時でさえも。』
『…。』
『それに、主様の噛み跡、血が滲んでるって聞いた。君がつけたものだろう。』
『……ふふ。えぇ。もちろん。私の愛の証明です。あの綺麗な肌に刻みたかったのです。貴方は私のもの。って。』
ベリアンは指先を舌で舐める。
『主様の甘い香り…。私にとっては毒です。それだけで逝ってしまいそうですから。私は誰にも渡すつもりはありません。やっと…やっと手にいれた私だけの主様ですから。』
私はルカスさんを睨む。
『っ、君が間違った道に主様を巻き込むつもりなら私は友人として君を止める。』
『私がおかしいのですか?私はただ純粋にあの方を愛してるだけなのに……。』
『君の主様を思う気持ちは異常だ。普通じゃない。』
『…そうですか。分かりました。』
『ベリアン?』
『ご心配なく。私は私のすべきことをしますから。』
バタンっ。
(分かってくれたのかな…?でもなんだろう。モヤモヤする……。)
次回
第5話 もう手遅れ
コメント
2件
最高です( *˙ω˙*)و グッ! 夜中に見ると更にスリルが 少しありました!!