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苦戦を強いられていた私達の戦局は一気に好転した。
ユーヤのお陰でスターデンメイアの王都を奪還できたのは重畳ね。
アシュレインの連中が大きな顔をするのは気に食わなかったけど。
あいつらユーヤに全て任せて自分達は何もしていない癖に、どうしてあんなに威張り散らしているのかしら?
ユーヤと肩を並べて戦ったのは私達なのよ。
あんた達のその態度が信用を失墜させているというのに全く学ばない連中である。
だけど、国内には魔族による爪痕が多数残されていて、まだまだ情勢は予断を許さないけれど、これで人類側も一息つけると言ったところでしょう。
奪還したスターデンメイアの王都は破壊されていて、すぐに復興は無理だったけれど、きっと昔の様に活気のある街に戻ると私は信じている。
兵達も自分達の戦いが王都奪還という結果に結びつき、廃墟同然の王都でありながら、街の各地で明るい笑い声が聞こえてきた。
「アシュレイン王国から凱旋の帰還要請がきたんだって?」
「ああ、そうなんだが……」
アシュレイン王家は不祥事続きの上に王太子妃の件もあって、国内外でその信用を失っている。スターデンメイアを奪還した象徴としてユーヤに凱旋して欲しいのだと容易に想像できるわ。
ユーヤもそれは分かっていて、奴らにいいように扱われるのは癪みたい。
その気持ちは分からないでもないわね。だけど今のスターデンメイアは魔王を倒しに魔族領へ攻め込む余力がない。恐らく暫くは国の立て直しが優先されると思う。
だから……
「次は魔王との決戦だからな。英気を養っておくのも必要だろう」
「そうそう。戦い続きだったんだし、美味しいものでも食べて体を休めてきなさい」
ユーヤもずっと戦い詰めだったし、少しは休んでもいいと思うのよね。それに、凱旋して民意を味方に付けておけば王家や貴族もユーヤに下手なマネはできないと思うの。
「魔王を倒せばアシュレイン王家にとってユーヤは邪魔な存在になるからな」
「ええ、ここで王都の民を味方にしておいた方が後々の為よ」
アシュレインの奴らは絶対にユーヤを亡き者にしようとするでしょう。だけど、そんな真似はさせないし、もしそんな状況になっても私がユーヤを必ず守る。
「俺達でスターデンメイアを完全に取り戻しておく」
「次にユーヤと向かう戦場は魔王討伐ね」
こうして私達はユーヤをアシュレイン王国に送り出した。
だけど、私はユーヤを行かせるべきではなかったと後で酷く後悔することになった……
ユーヤがアシュレイン王国へ凱旋してから、私とゴーガンはスターデンメイア国内を安定させる為に尽力した。主に魔族の残党やまだまだ多数出現する魔獣を討伐しに東奔西走する毎日だ。
そうやって1ヶ月が経ち、2ヶ月が経ち……
「どうしてユーヤは帰ってこないの!?」
「いや、どーしてって俺に聞かれてもな……」
幾ら待ってもユーヤは帰ってこなかった。
「ゴーガンはユーヤが心配じゃないの?」
「心配は心配だが……今の俺達には何もできんだろ」
うーっと睨み付けてやったけど、確かにゴーガンの言う通りなのよね。
スターデンメイアはまだ国内に多数の魔族や魔獣が徘徊しているわ。主力である私達が抜けるなんてできない。
「スターデンメイアの首脳陣もアシュレインに問い合わせ中らしい。今は耐えろ」
「う、うん……」
正直に言って納得はできない。
でも、今の私達は目の前の問題に対処するので精一杯なのだ。
「さっさと国内の魔族どもを駆逐しちまおう」
「ゴーガン?」
「そうすりゃユーヤを迎えに行く余裕も生まれるだろ?」
私はあっと声を上げた。
「そんときゃ俺も付き合ってやる」
「ありがとうゴーガン!」
よーし!
全ての懸念を処理したらアシュレイン王国までユーヤを迎えに行くんだから!