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琴寧
38
#織田信長
常陸之介寛浩
173
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果たし状によって、武田信玄は上田原に誘い込まれていた。
この地は、かつて武田勢が村上義清に大敗北を喫した地である。
「まずい……」
山本勘助が、小声で呟く。
「明らかに、御館様は冷静を失っておる」
「馬場殿や内藤殿、典厩殿にも相談したが、やはりワシと同じ考えであった」
一方、その頃
(誰だ……誰がこんな手を打ち、村上や小笠原を動かしているのは……)
(何がなんでも勝って、問い詰めねば)
信玄は、裏に潜む何かを探っていた。
だが……やはり、分からない……。
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武田勢が、良からぬ雰囲気に飲まれている中。
方円は、上田原にいる村上義清の元へやってきていた。
「おや、包円殿。動かないと言っていたのでは?」
村上義清が、眉をひそめる。
「いえ、お伝えに来ただけですわ」
方円は、微笑みながら答える。
「あの男、かなり動揺しているようです」
「この戦は、村上様の勝ちです」
「存分に、借りを返しなされ」
そして、軽く一礼する。
「では、失礼いたしますね」
「私は小笠原様と共に砥石城を包囲し続け、真田を完全に封じておかねばなりませんので。」
「分かった」
村上義清は、力強く頷く。
「あとは任せよ」
「この戦は、わしが決めてやる!!」
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「そして、両軍は衝突した――」
山本勘助の声に、疲労と諦観が混じる。
「いや、酷い……」
「と……とにかく、酷い負けであった。」
「貴重な重臣を失わなかったのが、せめてもの救いだが……」
「兵の損耗が、あまりにも甚だしい。」
そして、驚いたことがあった。
普段は控えめで、口数の少ない御館様の弟君――武田信廉様が、
「御館様は、生きてくだされ」
そう言い残し、影武者となって殿を務め、
御館様を守ったのだ。
その姿に、胸が締めつけられる。
そして……御館様や典厩殿の悲痛な顔が、視界に映る。
目を背けたくなるほどの、絶望と焦燥が、そこにはあった。
さらに数日後。
さらなる悲報が、武田勢の元へ届くこととなる。
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甲斐国・躑躅ヶ崎館。
「信綱!!!」
武田信玄が、無事戻った信綱へ 声をかける。
「無事だったか!!あと、怪我は無いか?」
「村上勢も砥石城攻めに加わったと聞いて、とても心配しておった!!」
「ところで、父の幸隆はどうした……?」
「もちろん、無事であろうな?!」
真田信綱は、唇を震わせる。
「うっ……」
そして、涙をこらえきれずに声を絞り出した。
「御館様……泣」
「父上は、我ら四兄弟に生きよと……」
「そして、家臣の手によって……あの包囲から逃げることができました」
「それと、父のお言葉です」
信綱は、涙を拭いながら続ける。
「大変申し訳ない……。」
「某が小笠原の動きを、もっと早く読めていれば……。 」
「御館様が負けることも、信廉様が死ぬこともなかったのに……と。」
「あと……真田の当主は、某が継げ、御館様を頼むと言い残し……砥石城に残りました……泣」
「さ……真田殿……!!!」
山本勘助の声が、震える。
「あっ……さなだ……どの……泣」
「勘助!!」
信玄が、声を荒らげる。
「気を確かに持つのだ!!」
そこへ、さらに兵が慌ててやってきた。
「も……申し上げます……!」
兵は、息を切らしながら報告する。
「砥石城は……落城……!」
「真田幸隆様は、城に火を放ち……ご自害なされました!!!」
「ち……父上……!!!」
信綱が、崩れ落ちる。
「どうして……!」
「どうして、共に戦うことを許してくださらなかったのですか……!」
「父上……!!!」
涙が、頬を伝う。
「真田殿……泣」
勘助も、涙を堪え声を震わせる。
「…あっ……あっ……」
信玄は、拳を握りしめる。
「幸隆……!!!」
そして、顔を歪めた。
「おかしい……!!!」
「村上が、ここまで力を増すとは……」
「……やはり、何かが!!!」
信玄の声が、震える。
「……すまぬ……」
「すまぬ……」
「わ……わしのせいで……」
「すべてが……!!!」
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そうして――戦は終わった。
上田原、砥石城の戦。
どちらも村上義清の働きによって、表面的には正々堂々と終わったのだった。
しかし、その裏には、やはり狂気の策が伴っていた。
そして今も、再び動き出そうとしているのだった……。
コメント
1件
うわああああ~!!第11話、めっちゃ重くて泣ける…😭💦 武田信廉が影武者で殿を務めたシーン、マジで心にグッときた…あの弟の覚悟、熱すぎる…。 真田幸隆の自害も衝撃的で、信綱の崩れ落ちる姿にこっちまで涙出そうになったよ…。 “正々堂々”ってタイトルなのに、裏で動いてる何かの不気味さが漂ってて、続きが気になりすぎる!! 信玄の「わしのせいで…」が切なすぎて、はやく救われてほしい…。次も絶対読むね😭💕