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「よ、銀さん」
曲がり角を曲がるとブルーと鉢合わせした。手に書類をいっぱい持っている。
「もしかしてブラックのとこか?」
と問うとブルーはコクンと頷く。
「うん」
「今行かない方がいいぜ。ブラックとマネーがド修羅場ってるから」
「何があってそうなった???」
「知るかよ」
銀さんは吐き捨てるように呟く。
(なんか銀さん性格変わったよな……)
ブルーは軽く怯えつつそんな事を考える。とりあえずさっさと持っていく事にした。
「行くのか?」
「あの二人がド修羅場ったらいつ終わるか分かったもんじゃねぇだろ。前なんか半年くらい気まずかったし」
「まぁ……確かに」
「そんなのんびりもしてられないだろ……」
ブルーが銀さんを見る。
「____例の計画が待ってんだから」
「……っ……あぁ、そうだな」
銀さんは少し言葉を詰まらせつつそう言うと身を翻して自室の方へと駆けて行った。
「のんびりもしてられねぇ……ブラックが壊れる前に、あの計画を……」
そう呟いて情報管制室に向かった。
「うっわぁ……」
ブルーは銀さんの言う通り出直せば良かったと軽く後悔した。マネーとブラックが掴み合いの喧嘩になっている。ブラックの包帯が巻かれた手にはまた血が滲んでいるし、マネーも髪が乱れている。
(おいおいこれやべぇな……)
後ろにジリジリと後退りしていると靴が絨毯を少し擦り音が鳴った。ブラックがその音に気付き、ブルーを見た。
(あ……終わったな……)
「なにしてるんですか?ブルー」
「ひぇっ……」
竦み上がったブルーを見てブラックは首を傾げる。
「何故みんな同じ反応をするのでしょう?」
「貴様の声が怖いからだろ」
マネーが呟くとブラックがマネーの腹に膝蹴りを入れた。
「うるせぇ」
素が出てさらにブルーが竦み上がる結果になった。
「ブルー?」
ブルーはその場に書類を落として一目散に逃げて行った。
「逃げてしまいました……まぁ、書類が出来たらようですし確認しますかね。業務に支障が出ますので帰っていただいても?」
「お前がモノに当たらなければ始まらなかった話なんだがな」
「は?」
またブラックがキレそうだったので、マネーは次の言葉が飛んで来るより前にその場を立ち去った。
「……何がやりたかったんですか……」
とりあえずブラックは、マネーと銀さんとブルーの書類の確認を始めた。
「ブラックも分かっているはずだがな」
飛び降りる瞬間を目にできなかったマネーは自嘲気味に笑う。
「俺が言えた事では無いが、あまりに大きな悲しみを人は受け入れる事を拒否する。その成れの果てがアレだな」
現実から必死に目を逸らすブラックの姿を思い出し、また一つ溜息を吐いた。
コメント
1件
凄いです!続き見てみたいです!