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桃青

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桃青

1 - 君に贈る言葉

♥

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2023年04月09日

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つなです。最近某アプリにしか浮上してなくて、もうTERROR辞めちゃうかもです。アカウントは消さずにですが。

これも某アプリに載せたやつです。前書いたやつとかと見比べたら成長感じられると思います。良かったら読んでコメント残してってください。


注意.桃青、桃くん体調不良

ではどうぞ。







外から聞こえる雨風の音で目を覚ました。


「いってぇ…」


鈍器で殴られたようにガンガンと響く。体を起こそうとするも、いつもより重い体は言うことを聞かずベッドに沈んでいく。

だめだ、完全に熱出た。絶対。


「はあぁ、最悪すぎるだろ…」


梅雨が近づいて、最近雨が降ることが多くなった。きっとこの熱も、昨日の収録帰りに土砂降りの中傘もささずに帰ったからだろう。人間っていうのは体調が悪くなると人肌恋しくなる動物。こんな忙しいときに限って隣に恋人の温もりが欲しくなる。子供体温のあいつを、どうしても求めたくなる。抱きしめたい、今すぐ会いたい。


「…何考えてんだよ、ははっ、らしくねぇなあ」

「ころん、ころん…会いたい、よ」


何も無い天井に手を伸ばし、なにかによがろうとしたけど、そこには何も無くて。それすらも辛くなって静かに目を閉じ意識を手放した。






「ん、ん……はぁ…」


次に起きたときは雨や風は弱まっていた。静かな部屋にはぴちゃんと跳ねる水の音が響く。

さっきよりも体は重く、共に頭も重い。


「ん…?」


初めに起きたときに汗で滲んでいたはずの額は綺麗に拭われていて、服も新しい部屋着に着替えていた。

空中をぼうっと見つめていると、寝室のドアがガチャリと空いた。


「あ、さとみくん起きた?」


そこには、一番求めていた水色の姿があった。


「こ、ろん…なんで…」


「そうそう!一緒にご飯いこうと思って連絡入れたのに全然既読にならないし、何回も電話かけたのに出ないし…」


ほんっとに心配したんだから、と眉を寄せてため息を着くころん。

そうなの、心配してくれたの。好きじゃんね。


「いつまでたっても連絡つかないから家来てみたら案の定出てこないし、本当にぶっ倒れでもしたのかと思ったんよ」


「はは、ごめんごめん」


「大丈夫だけどさぁ、ほんとただの風邪でよかったよ」


何か買ってきてくれたのだろうか。手に持っていたビニール袋の中を弄りながら、俺の好きな顔で微笑む彼。


「なんか買ってきてくれたん」


「一応ゼリーと、市販の風邪薬は買ってきたよ。食べれそう…?」


「まだ、いいかな…ごめん買ってきてくれたのに」


雨の中なのに俺のために買ってきてくれたその優しさに罪悪感が湧くが、生憎今、少しでも物を胃の中に入れたら全部吐き出してしまいそうだ。


「ううん、大丈夫だよ。また後で食べればいいし。それより、あなた今、体感で自分がどんくらい熱あるかわかる?」


「多分、8度はある」


「まじか、かなりやばいね、辛いでしょ」


そう言ってナイトテーブルに置いてある体温計を手に取って俺に手渡した。

手に取ったそれを脇に挟む。どんどん上がっていく数字に目が回る。体調悪いときって上がった熱を改めて見るともっと悪くなるよなあ、なんて考えながらぼうっと数字を見続けた。ピピッと機械音が鳴り、ころんに渡す。


「どれどれ…8度6分なんだけど、やばくね」


「そんなあったか?」


ほら、ちゃんとした体温聞いたらまた熱上がった気するわ、だから体温は計るべきじゃないと思う。

心做しか呼吸も浅くなっていて、はふはふと口で息をする。


「大丈夫?さとみくん」


「だめかもしれん、はは」


わざわざ家に来てまで看病してくれている恋人に、これ以上の心配はかけたくないため結婚無理やりな笑顔を向ける。いや、俺ほんとにやばいかも。


「まじか、ちょっとおでこ乗せる濡れタオルつくってくるから待ってて」


ころんが立ち上がる。やだやだ、行っちゃだめ。俺から離れないで、ここにいてよ。

いつの間にか歩き出したころんの服の裾を掴んでいた。


「えっ、ちょ、さとみくん…?」


「一緒にいて、どこにも行かないで、ころん」


「でっ、でも、濡れタオルつくんないとさとみくんの熱が、」


「やぁだ、ここに居て…お願い、」


ころんの手をぎゅっと握る。あれ、ころん顔赤い、熱うつった?


「〜〜っ、分かったよ」


渋々と俺の要求に承諾したころんはまた椅子に座り、俺の手を握り返した。ころん、近くいる、好き、ころん。


「ころんだぁ、ふは」


「さ、さとみさん…?」


恋人を目の前に、へにゃと口元が緩む。俺が寝るまで抱きしめて、ぎゅってしててよ。


「ころおん、ぎゅして…ん」


だるい体を起こしてころんに向けて腕を広げる。


「さ、さとみくん…」


「早くして、それとも俺とするの嫌?」


「嫌、じゃない……はぁ」


一度大きなため息を吐いたあと、俺の腕の中に収まるそいつ。ころんだ、ころんの匂いする。ふわふわとした意識の中、安心する匂いに包まれて眠りについた。









雨音が響く朝。起きたあと、何となくあの恋人の名前が浮かぶ。最近は互いに忙しくてなかなか合う時間を取れずにいた。やっと今日は休みの日で一緒に昼食に行こうと誘ってみたが返事を待つことはや3時間、いつもは遅くても1時間で既読がつくのに今日は全く反応がなかった。


「なんで既読つかないん、これ」


全くつかない既読に痺れを切らした僕は、彼のスマホに電話をかけた。それでもそいつは電話に出ることなく、ツーッツーッという音と共に電話が切れていった。繰り返しかけてみるも、全く出る気配がない。さすがにここまで連絡が来ないと心配になってくる。家に行くべきか否か、うぅ〜ん、と1人で唸っていると、愛犬が心配そうに足に擦り寄ってきた。


「たぴちゃん…よしよし、さとみくんのところ行った方がいいんかなあ…どう思う?ん?」


小さな体を抱き上げて撫でてやるとくぅん、といいながら首を傾げる。あぁ、天使、うちのたぴ今日も可愛い。


「ふふ、可愛いなあ…さとみくんのところ行ってくるよ」


そう言って声をかけると、返事をするようにたぴちゃんも一鳴きした。それに押されるように家から飛び出し、タクシーを捕まえさとみくんの家に向かった。



タクシーを下車した後、合鍵としてもらった鍵を使ってエントランスに入り見慣れた廊下を亘って部屋に向かった。インターホンを押してみるもこれもまた反応無し。ほんとにぶっ倒れてるのかと心配になってきた。


「なんででないの…」


この際もう入ってしまおう。そう思い鍵を使って中に入っていった。


「おじゃましまぁす。さとみくーん?いる?」


もちろん返事は無い。どこかに出かけているのかもしれない、その考えも過ぎったが靴はちゃんと玄関にあったからそれはないだろう。

リビング、作業部屋とひとつひとつ部屋を開けて確認していく。と、寝室を覗くとそこに息を荒くして眠る恋人の姿があった。


「さとみくん?大丈夫…?」


いつもより顔も赤く火照っているのがわかった。額に手をやると熱い体温が伝わってくるしはふはふと口で呼吸を繋いでいる。


「完全に風邪ひいてるじゃん…来てよかったあ、」


張り詰めていた不安がどっと流れて肩に自然に入っていた力が抜けていく。こんなに苦しそうにしているさとみくんを見たのはいつぶりだろう。いつもはかっこいいさとみくんも少し可愛い。


「ふふ…さとみくん、好きだよ」


普段なら絶対に言わないその言葉も相手が寝ているときならするすると言葉にできる。いつも言えないけど、僕さとみくんのこと大好きだよ。


「とりあえず…」


熱があるときはいつも以上に汗を流してしまう。体が冷えるといけないから新しい部屋着に着替えさせた。そのときに見えた筋肉質な体に、ちょっと見とれた。いつも見てるけど、まあ…。ついでに額に滲む汗もしっかり拭ってあげる。

その後に風邪薬と何か食べるものを、と思い某ドラッグストアに出かけた。冷蔵庫にも食べ物は入っていたけど固形物は食べずらいだろう。



雨も弱まってきた頃、なんやかんやでさとみくんの家に到着。ゼリーと薬を持って寝室に入った。


「あ、さとみくん起きた?」


ベッドに近づいていくと群青色の綺麗な瞳と目が合って、その大きな瞳が見開かれる。


「こ、ろん…なんで…」


「そうそう!一緒にご飯いこうと思って連絡入れたのに全然既読にならないし、何回も電話かけたのに出ないし…」


怒ったような顔を作ってそう言うと、さとみくんは申し訳なさそうに眉を下げているも嬉しそうに頬を緩ませる。


「いつまでたっても連絡つかないから家来てみたら案の定出てこないし、本当にぶっ倒れでもしたのかと思ったんよ」


「はは、ごめんごめん」


「大丈夫だけどさぁ、ほんとただの風邪でよかったよ」


言葉にしながらガサゴソと手にあるビニール袋の中身を漁って、買ってきたものを探る。


「なんか買ってきてくれたん」


「一応ゼリーと、市販の風邪薬は買ってきたよ。食べれそう…?」


まだ痛んでいるであろう頭に響かないように優しく問いかける。


「まだ、いいかな…ごめん買ってきてくれたのに」


ゼリーも食べれないのか…。それほどまで辛いのだろう、それでも罪悪感に溢れた顔で謝る彼。なんで謝るの、今辛いのはあなたなんだから僕のことなんか気にしなくていいのに。そういうところ好きだなあとしみじみ感じる。


「ううん、大丈夫だよ。また後で食べればいいし。それより、あなた今、体感で自分がどんくらい熱あるかわかる?」


「多分、8度はある」


それは、かなりまずい。子供は風の子と言うように子供の頃、8度を超えてもすぐに元気になって外に遊びまくってたけど…大人になった今とは話が違う。大人の8度はやばい。危なすぎる。そりゃ起き上がれないわけだ。


「まじか、かなりやばいね、辛いでしょ」


声をかけてから外出する前にそこら辺に置いておいた体温計を手に取り、それをさとみくんに渡す。体を倒したままゆっくりした動作でさとみくんは受け取る。それを脇に挟んで数10秒経ったあとピピッとした機械音が鳴った。

どれどれ、といいながらまた受け取って浮かぶ数字を見た瞬間、多分僕は日本で1番目をでかくしてたと思う。


「…8度6分なんだけど、やばくね」


「そんなあったか?」


道理で辛いわけだよ、8度6分は死ぬ寸前でしょ。この人大丈夫かよ。


「大丈夫?さとみくん」


「だめかもしれん、はは」


口角を上げているものの、苦しそうなのは変わりなくて…何よりいつも弱音を吐かないさとみくんが珍しくだめだと訴えている。自分でも分かっているのだろう、苦しくて辛いこと。


「まじか、ちょっとおでこ乗せる濡れタオルつくってくるから待ってて」


何より先にまず熱を下げることを考えよう。椅子を立ち上がって歩き出そうとしたが、カクンと体が引き止められた。服の裾を見ると白い大きな手によって掴まれている。


「えっ、ちょ、さとみくん…?」


「一緒にいて、どこにも行かないで、ころん」


下から上目遣いで見上げられる。なんでそんな可愛いの今日。僕、心臓持たないよ。僕をリードしまくってへろへろにしちゃうかっこいいさとみくんはどこ?かっこいいの欠けらも無いじゃん…。


「でっ、でも、濡れタオルつくんないとさとみくんの熱が、」


「やぁだ、ここに居て…お願い、」


ぐっ、負ける…。目を潤ませながら見つめてくるその瞳は子犬のようで、撫でてあげたくなる。裾を掴んでいた手が僕の手に来て、恋人繋ぎで握り込まれる。

僕、あなたに弱いんだからさあ、分かっててやってるの?あぁ、もう分かった。


「〜〜っ、分かったよ」


さとみくんの手をぎゅっと握り返して、椅子に戻り座り直した。


「ころんだぁ、ふは」


ぇ、?


「さ、さとみさん?」


へにゃへにゃとさとみくんの口元が緩んでいて、もう、ほんと、可愛いしか出てこない。ほんとにあの僕の恋人?


「ころおん、ぎゅして…ん」


ゆっくりと体を起こしたさとみくんは僕の方に両腕を広げてハグを要求してくる。


「さ、さとみくん…」


「早くして、それとも俺とするの嫌?」


「嫌、じゃない……はぁ」


そんな顔されたら断りきれない。甘えたがりなの可愛すぎないか、まじで心臓もたない。とことんこの人に惚れ込んでる。

ぽふ、という効果音と共にその胸にくっ付いた。首筋にくせっ毛がうりうりと擦り寄ってくる。その頭を優しく撫でてあげる。

暫くすると耳元で寝息が聞こえてきた。


「ぇ、ちょま、さとみくん?寝た?」


頬に手を当ててさとみくんの顔を覗くと安心したように眠る綺麗な顔がある。そのまま優しく頬にキスを落とし、ベッドに寝かせてあげた。


「おやすみ、さとみくん」


ちゃんと治すんだぞ、と呟いて寝室を後にした。









チュンチュンという鳴き声が聞こえて目を覚ました。隣には眠る恋人の姿があった。

そうだ、俺熱出て…ころんが来てくれてそれから…。

だめだ、全然思い出せない。ころんが来てくれたのは覚えてるけど、それからは全く。

まだ少し頭は重いけど、熱はだいぶ下がった気がする。全然楽だ。


ころんが全部やってくれたのだろうか。額にはまだ濡れているタオルが乗っていて冷たいそれが熱を吸収していた。隣で眠る恋人の頭を一撫してもう少し寝るために体を倒す。

ころんにはお礼を言わないと。いつもありがとう。それと大好きの言葉も。


この作品はいかがでしたか?

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コメント

8

ユーザー

やだ〜〜〜ドキドキしました😮‍💨🤍 主様の作品密かにとっても好きなので、もし辞めてしまうことになってしまったら寂しくなりますね😂 でも、他のどこかで物語を書いているのなら、そちらを応援しています😌 素敵なお話をありがとうございましたっ -˘♡

ユーザー

わかる、!! 私ももう浮上ほとんどしてないからやめたと同然みたいな。。 そもそもいちごグループに熱が冷めちゃって、 前までは熱はまあなかったんだけど物語作れた状態だけど、 今ほんとに興味無さすぎて他の人の作品も読めないしかけないって状態、。 つなさんのもごめんなさいながら読んでないけれどきっとすごく成長しているのであろう、!!! さすがです!

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