恋愛短編集
初めり~
ーー友情ーー
『疲れた〜』
「授業だるかったねぇ」
【あの先生煩いもんな〜w】
下校時間
皆全授業が終わりクタクタな時間
長い長い1日の半分以上が終わった
終礼後ワイワイと賑わう廊下には
さっさと出ずに教室で3人少しだけ
盛り上がる話をしていた
【さっさと帰ろ〜ぜ?】
「わぁーってる後ちょっとなんだって」
『頑張れ〜』
そんな無駄話をしていたせいで
廊下にいた大勢の 生徒は
居なくなってしまった
『みんな好きな人居る?』
適当に言った言葉で先程までの
3人のわいわいとした空間が
一気に冷めてしまった
皆口をつむいで目を逸らした
『……やっぱこの話いいや』
「…そーだな、やめとこう」
【そんな事より早く帰ろーぜー】
好意というのは行動に出やすい
雰囲気で誰が誰を好きなのか位は
空気の読める人は気づけるだろう…
【〇〇先生がさァ〜】
『……笑』
「…………」
いつも 煩いはずなのに今日の
帰り道は1人を除き全員静かだった
いや、その1人も場の空気を和ます
為に態々煩く喋っていたのだろう
小さい時からの仲だが未だに
こういう気遣いは皆消えないものだ
【なぁ】
「ねぇ」
刹那黙り込んでいたが急に
2人して話し始めた
あまりに急だがシンクロしていて
可笑しく思いぷっと吹き出し笑った
『2人してなんだよ笑』
余韻が残りまだ少しケラケラと
笑っていたが突然と喋りだした
内容も気になった為落ち着くのを
待たずに話した
「親しき仲にも礼儀ありって」
「言葉あるじゃん?」
『うーん、あるね』
「礼儀しかなくね?笑」
【あ、俺もそれ言おうとした】
『内容まで同じなのかよw』
何時までも仲良くしていたい
この時間が永遠に続いて欲しい
そう願っても誰かは好意を我慢できず
行動に移してしまう
『じゃーね』
「ばいばーい」
【また明日な〜】
また明日…か
俺だけに言っている言葉であれば
嬉しいのに…と思いながらも
家の窓から2人の様子を見る
「@@&&#@&&笑」
【#%&%@#笑】
あーぁ、楽しそうに話しちゃってさ
ハブられてるみたいだと思ったが
実際は1番家の遠い俺の家まで
送ってくれているのだと言い聞かせ
幸せそうに下校する2人が見える
窓をシャーッとカーテンで覆った
「………」
静まり返り冷静になった時ふと思う
多分俺の好きな人は
他に好きな人がいて
その好きな人にも
他に好きな人がいる
「三角関係キッツいなぁ」
【…今なんか言った?】
「何も無いよ〜」
他愛もない話をしていると
彼の家に着いた 短い様で長い時間
勿論話は別に聞いちゃいない
聞いてないと言うより
頭に入ってこなかった
【なぁ、ちょっと話そうや】
彼は真剣な眼差しでクルリと
此方に振り返り俺を見詰めた
「いいよ、何の話する?」
そう言うと彼は少しの間
下を向き 黙り込んだ後
意を決したかの様に話し始めた
【お前は俺が傍に居っても居らんでも
別に気にせんねやろ ?どうせ】
「………ッ」
否定は出来なかった
今迄気にした事すらなかったが
よくよく考えてみればあまり彼を
気にかけた事はなかった
【俺な、2人居らんと2人以外の友達居らんから生きてかれへんねん、せやけどなお前が彼奴ん事好きなんは知ってんねん】
彼が何を言いたいのか
何を伝えたくて俺を引き止めたのか
俺には分かるようで分からなかった
「……つまり?」
【お前が彼奴に取られる前に俺がお前の事独占しやなあかん、お願いやから……俺の事置いて行かんとって】
玄関前で膝を地面に着け泣き崩れる
彼を目の前に俺はどうする事も
出来なかったのである
只々此奴には俺が必要で 俺が
求められている事だけが理解できた
「俺は、この3人の仲を絶ちたくない」
【でも、苦しいまんまやん…】
「でも、誰一人もかけたらなんか、駄目な気がする」
【そっか…】
彼はそう呟くと目尻が赤くなった
目を細めニコッと微笑み
俺の頬に手を伸ばした
【この話はこれで最後…!】
そう言うと彼は左手で俺の頬を覆い
右手で俺の前髪を上にあげると
俺の額に口を近ずけチュッ…
という音がよく聞こえ
時が止まったかのように思えば
数秒後周 りに走る車のエンジン音
が聞こえた
【じゃあな、ばいばーい】
「……じゃあね」
3人の関係はズルズルと
大人になるまで続くとか続かないとか
ーー友情ーー
また次の話で
なう(2025/10/14 23:34:51)