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#いろいろ
あ。(あまる)
403
虚空
422
暇人
49
side:❤️
❤️「え」
月明かりだけが静かに冷たい室内を薄青く照らし出していた
目が慣れてくると、暗闇へ溶け込みきれず力無く項垂れる人影を捉えた
床の上にくずおれるように蹲っている、
すちさんだった
息を呑み、恐る恐る足を踏み入れ近づく
糸の切れた人形のように床に沈みこんでいて四肢を投げ出している
ベッドの脇で不規則な息を吐き出していた
❤️「すち…さん?」
声をかけると、肩が小さく跳ねた
重たそうにゆっくりと顔が持ち上げられ、表情が覗く
💚「……」
焦点の定まらない瞳がどろりと揺れて、
俺の姿を映しているとは思えなかった
❤️「っ……大丈夫、です?」
膝をつき、座り込んだ彼と視線の高さを合わせた
なんだか普段よりもずっと小さく見える
いつもは絶対に踏み込めなかった彼の領域に、いとも容易く侵入した
戸惑いながらも手を伸ばした、
その時だった
❤️「うおっ……!」
前触れもなく視界が急転直下した
全身で体当たりするかのように、勢いよく抱きつかれている
耳元で聞こえる、浅く速くなった息遣い
子どものようにすがりつき、こちらの体温を確かめるように腕を回してきた
❤️「っ……!?」
回された瞬間に寒気がした
彼に、まるで質量を感じないのだ
大きめの服で見えてこなかったが
今俺に密着する身体は相当薄く、細い
胸の奥で警告音が鳴り響く
❤️「おい、ちょっと離せって」
強めに引っ付かれた気がしたが、押し返すとあっさり剥がれた
改めて見たすちさんの瞳は、やはり何を映しているのか分からない
どこか妙に浮ついた熱っぽい空気を纏い、仄かに笑っているようだ
ペキッ
無機質で乾いた音が部屋に響いた
薄氷を割るような感触が掌から伝わる
暗がりの中、目を凝らすとそれは空になった錠剤のシートだった
視線を手の先から少しすちさんの方へ動かすと、同じように空になったシートが何枚も落ちている
❤️「はっ……?」
ベッドにだらりと体を預けるすちさんに再度視線を投げる
覇気のない顔で空を彷徨っていた
もしかしなくともオーバードーズ状態だった
冷や汗が背中を滑り落ちる
❤️「…なぁ、これッ全部……飲んだのか?」
思っていた以上に喉が詰まり声が途絶え途絶えになってしまった
💚「う〜ん…?そうらよぉ」
普段の冷たく低い声ではない、柔らかく弱体化した滑舌
首をこてんと倒しながら幸せそうに呟いた
正常とは言い難いが会話は成り立つらしい
しばらく呆気にとられていたが、腹の奥底で少しばかり魔が差した
今ならいつも固く閉ざされている領域に触れられるかもしれない
❤️「……なぁ。なんで、そんなに髪長いんだ?」
今まで触れられなかった問いを口にする
身構えたが、拍子抜けするほどあっさりと言葉がこぼれ落ちた
💚「んぇ……?なにそれぇ…笑」
💚「ちょーはつがねぇ、すきなんらってぇ。それらけらよぉ」
ふらりと首を傾げ、人畜無害な笑みを浮かべる
その言い草だと“誰かの為に”伸ばしていたということか
質問を重ねようとした俺よりも早く、彼の声が被さる
💚「そういえばさぁ、きょうはなにもしないの?」
突拍子もない質問に脳内に疑問符が浮かぶ
今まで大した関わりは無かったはずだが、
💚「えー?いつもきもちよくしてくれるじゃない」
一番聞きたく無かった言葉が紡がれた
そんな訳がないと、流石に夜遊びはしていないだろうと、心のどこかで信じていた
本当に遊んでいるだなんて思いたくなかった
助けてくれたあの態度も相手を探していただけで差し伸べてくれた手は偽りだったのか
いや、そもそもこの人の生活に俺が関与できる権利は無いだろ
それでもさぁ……!!
信じかけた自分に嫌気が刺した
💚「あっ、こっち?」
すると突然シャツのボタンを外し出した
お前とそんなことしたくない
やめろよ
抵抗する脳がピキリと凍りついた
一つ、またひとつとボタンが外れていく度に露になる
顔や顎下の白い肌から、包帯の白さへと変化していく
❤️「なんッ、だよ……それ、」
どれ程の歳月、蓄積されたか分からない程全身手当まみれ
月の光が反射して白色の布たちが青白く浮かび上がる
やや血の滲む包帯やガーゼに包まれた部位の間から覗く傷は最近のものではない
あまりの痛々しさに目を背ける
しかし、すちさんは止まらなかった
慣れた手つきで机からカッターを取りだし、俺の手に握らせてきた
そのまま刃を自分に向ける
💚「ほら、おすきにどぉぞ?」
全身から冷や汗が吹き出し、カッターを握った手の震えが止まらない
違う、夜遊びどころの話ではない
彼は、すちさんは、何をしていたんだ
💚「なにもしないの?」
❤️「は…え、あ……し、しねぇよ…」
なぜそんな、傷付けられることが当たり前のような、何もされないことに困惑した顔をするんだ
喉の奥がきゅぅっと詰まり言葉が出ない
信じ難い現実に、今目の前にある出来事が夢であって欲しいと願わずにいられない
頬に何か温かいものが伝う
❤️「……っ!」
💚「おわっ…」
言葉が何も紡げなかった俺は、気が付いたら彼を思い切り抱き締めていた
どこまで追い詰められていたんだろうか
すちさんの心臓はこんなにもドクドクと打っているのに指先は酷く冷たい
涙が溢れて止まらない
無意識のうちに、俺はすっかりすちさんを助けたいと思ってしまっていた
朝上げるにしては重いですね…
最悪な目覚めになった方、すみません
本日は今しかタイミングが無さそうだったので上げてしまいました
次回は少し時間が空きます💦
気長にお待ち頂けますと幸いです
今回もご覧いただきありがとうございました🙇🏻♀️
コメント
5件
続きが楽しみすぎる
凄い重い話でしたね、続きを出してくれるなら、いくらでも待ちますよ!続き待ってます🍀*゜
うわ...朝から揚げ物食べたくらい重い