テラーノベル
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ロボットは動かなかった。
どれだけ呼んでも、揺らしても、反応はない。目の光も、音も、全て消えている。
子供はロボットの前に座り込んだ。
「…..お母さん」
返事はない。
わかってる。
壊れているわけでもない。
死んだわけでもない。
子供は前にロボットが言っていた言葉を思い出す。
ーーエネルギー
ーー電池
「電池があれば…..」
小さく呟く。
でもどこにあるのかは分かんない。
この世界に、そんなものが残っているのかも。
子供は立ち上がり、周囲を見回した。
壊れた建物。
遠くまで続く、何も無い道。
怖かった。
でも戻る場所はない。
子供はロボットの両手を握った。
「待ってて」
ロボットは答えない。
「僕、探してくるから」
しばらく、その場を離れられなかった。
何度も振り返ってしまう。
それでも、子供は一歩ずつ、前に進んだ。
歩きながら考える。
電池。
特別なもの。
普通じゃないもの。
ーー博士
ロボットがよく口にしていた名前。
「作った人」
その人はもういない。でも、ロボットは言っていた。
ーー遠い家に、残っているかもしれない。
子供はその言葉を信じることにした。
途中で怖い音が聞こえた。
子供は立ち止まり、深呼吸をする。
「大丈夫…..」
お母さんがいつもそうしてた。
「行かなきゃ」
自分に言い聞かせる。
子供は博士の家があるはずの方向へ歩き出した。
小さな体で。
一人で。
ロボットを、動かすために。
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