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らんside
きっかけは、一通の手紙だった。
幼馴染である 紫龍 威榴魔 の下駄箱に入っていたそれは、
所謂ラブレターで、昼休みには体育館裏に呼び出され、
ショートカットの可愛い後輩に告白されて教室に戻ってきた。
紫龍いるま
桃瀬らん
淡々とした口調で告げられた事実に、
私はほっと胸を撫で下ろした。
だがすぐに、心臓が暴れ出す。
何でもないような素振りを見せる幼馴染の頬は、
これまでに見たことないほど赤く染まっていたのだ。
桃瀬らん
飲み込んだ言葉は、放課後になっても私の胸の辺りに漂っている。
ゲームや漫画、部活に夢中だから。
いままで恋バナなんてしたことがなかったから。
そんな理由で、勝手に決めつけていただけなのだと思い知らされた。
今回は断ったけれど、次は分からない。
そう思った途端、私はもう逃げられないと観念した。
桃瀬らん
深呼吸をひとつして、私はいるまの背中を見上げる。
下校時刻30分前という中途半端な時間帯、
下駄箱には自分たち2人しかいない。
いるまと同じ映研の部員で、共通の幼馴染でもある
春緑 須智 に協力してもらい、
1人で帰るように仕向けてもらった。
もっと正確に言えば、
『いい加減焦ったいよ』
と、半ば強引に2人きりになるようにセッティングされたのだけれど。
桃瀬らん
ギュッとワイシャツを握ると、驚くほど鼓動が速い。
スカートから覗く足もガクガクと震えている。
桃瀬らん
ちらりと、弱気な自分が顔を覗かせる。
なんとか踏み止まれたのは、幼馴染の照れた顔を思い出したからだ。
恋愛で重要なのはタイミングだと、頭では分かっている。
躊躇っている間にすれ違ってしまう2人を
少女漫画でこれでもかと見てきた。
勇気1秒。 後悔は一生だ。
_桃瀬 蘭、只今より作戦を実行します!
コメント
1件
主様お疲れ様です✨️🩷ちゃん頑張って✨️続き楽しみです✨️無理しない程度に投稿頑張ってください