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図書室での「秘密の約束」から数日。
遥の世界は、モノクロから鮮やかなフルカラーへと塗り替えられていた。
けれど、色が鮮やかになればなるほど、影もまた濃くなる。
その日の昼休み。遥は廊下で、クラスの学級委員を務める爽やかな少年、河野に呼び止められていた。
河野
河野
瀬戸 遥
河野は遥の隣に並び、資料を広げて熱心に話し始めた。
河野
瀬戸 遥
褒められ慣れていない遥が照れて俯くと、河野が「本当だって」と笑いながら、親しげに遥の肩を叩いた。
その時だった。
一条 湊
背後から、氷のように冷たく、けれどどこか焦ったような声が響いた。
振り返ると、そこには湊が立っていた。
いつも絶やさないはずの柔らかな笑みは消え、その瞳には見たこともないような暗い色が宿っている。
河野
河野が不思議そうに尋ねるが、湊はそれを無視して、ずいっと二人の間に割って入った。
一条 湊
一条 湊
湊は遥の細い手首を掴むと、返事も待たずに歩き出した。
強引な力に引かれ、遥は戸惑いながらもついていくしかない。
河野
背後で河野が呼ぶ声を、湊は完全に遮断していた。
人気のない廊下まで来ると、湊は急に足を止め、掴んでいた手を離した。
瀬戸 遥
瀬戸 遥
一条 湊
湊の声は低く、微かに震えていた。壁に手をつき、遥を閉じ込めるようにして顔を近づける。
瀬戸 遥
一条 湊
一条 湊
湊の瞳が、至近距離で遥を射抜く。
一条 湊
その声に含まれた剥き出しの独占欲に、遥は心臓が止まるかと思った。
学園の王子様が、自分のようなモブに対して、嫉妬という泥臭い感情をぶつけている。
瀬戸 遥
遥が恐る恐る尋ねると、湊はハッとしたように顔を赤らめ、バツが悪そうに視線を逸らした。
一条 湊
湊は力なく笑うと、遥の肩に額を預けた。
一条 湊
一条 湊
その体温と吐息が、遥の心を激しく揺さぶる。
届かないと思っていた光が、今、自分一人を求めて、震えていた。