｛wrwrd｝叶わない恋の行く先

ぽんぽん

突進してきた胡桃は私を強く抱きしめて しくしくと泣いていた

ゾムくんがいてくれて本当に良かった

ゾムくんは大きく手を振って、走って帰っていった

私は…その姿が見えなくなるまで手を振った

胡桃は安心したのか、また涙を目に浮かべて私の胸の中でわんわんと泣いた

昔の私達に戻ったみたい

私は胡桃の頭を撫でて落ち着かせた

そう言って私が今出せる全力の笑顔を出した

チーノくんはふっと笑って

と、言ってくれた

ちょっと恥ずかしくなって目をそらした

すると、胡桃の体が一気に重くなった

ぽんっ…

チーノ君の手は温かかった

まだ私たち家族が幸せだったときによくしてくれた父からのなでなで

あの頃は…何も考えなくて良かった 幸せだった

また涙が溢れてきて、止まらなかった

ぎゅ…

一瞬何が起こったのかわからなかった

だけどすぐに理解した 私は今チーノ君に抱かれているんだ、と

チーノ君の顔を覗き込んで見てみると

ふいにドキッとしてしまった

顔を隠して立ち上がった こんな顔見られたら…

ドキッ

落ち着いた声だった

多分私の今の顔はりんごよりも赤くなっていると思う

自分の体の熱がふつふつと湧いてきて、とても暑い

そういう雰囲気になってしまった

急に腕を掴まれて、部屋を出た

腕を掴む力が強くて、改めて男の人は力が強いんだと思った

しどろもどろになって…言いたいことが言えなくて、下を向いた

だって雰囲気が…雰囲気がぁ…っ

そう思ってると

ぐいっ

急に視界が明るくなって、近くにチーノ君の顔があった

バタンッ

バタンッ！

コンコン

ドキッ