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つむじ風

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つむじ風

1 - つむじ風

♥

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2022年12月03日

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こんにちは、思いついたストーリーてきとうにのせていくので、よろしくお願いします。

つむじ風

かず

人を信じるとろくな目に遭わない

堰を切るように話したのは、大学のサークルで知り合った少し変わった先輩だ。

なおき

それいつも言ってますね。

先輩の父は昔、くそ高い美容院を10年、いや20年通ったくらいの借金を先輩と、先輩の母の懐に置いていったそうだ。

かず

なぁなおき、お前はもし大好きだった彼女に急に振られて、金だけ持って逃げられたらどう思うよ。

なおき

ちなみにどのくらい持ってかれるんですか?

かず

10万だ

なおき

なら、忘れますね。

別に10万を安いと言ってる訳ではなく、"愛した彼女に持っていかれるなら"という条件付きである。

かず

じゃあ30万

オークションでもしているのだろうか。返事をしたと同時に値上げをしてきた。何か言いたげなので、乗ってあげる。

なおき

それは少し考えるかもですね..

かず

だろ?人ってのは人を傷つけてまで、自分の幸福を得ようとする生き物なんだ。

いつものように何か語り始める先輩。 こればかりは正直僕もめんどくさいと思っている。

かず

人を信じすぎると、いつか後悔する。俺はそうだった...
俺にも人を信じた時代はあった。
父親、大好きだった彼女。
全員見事に俺を裏切ったね。

しかし、決して口には出さないが、先輩には1人だけ心を許し、信じている人がいる。

かず

そんなこと言っても、母親にはとても感謝している。

かず

父親がいなくなったあの日、母さんは目を赤くして、父の置いていった手紙を眺めていた。そこには...

なおき

「本当にすまない。カズを頼む」って書かれてたんですよね。

何度も聞いたので覚えてしまったのである。

かず

そう...俺はまだ小3だったからよく分からなかったけど、母さんの、皆既月食に、白いペンキをぶちまけたみたいな目だけは鮮明に覚えているよ。

かず

あれから母さんは死に物狂いで働いて、俺を育ててくれたよ。

そして先輩は氷しか入っていないハイボールを口に近づけた。

かず

ハイボールもう一本!お前なんかいる?

なおき

じゃあ生で

かず

まあそれから色々あったって訳

いつもこんな感じにてきとうにおわる。

なおき

今日はありがとうございました。

かず

気をつけて帰れよぉー

少しふらついているが、駅に向かう先輩の背に背を向け、僕も帰る。

時は流れ、桜の花びらが僕らの頭に降り積る季節になった。

なおき

先輩、内定はもう貰ってるんですか?

かず

変なベンチャー企業1件からだけだな。

先輩は特別成績が良かった訳でもないし、そもそも僕たちの大学も大したとこではない。

なおき

1件あるだけマシっすよ

かず

母親に借りを返すにはもっといい所に就かなきゃいけないんだよなぁ

なおき

ちなみに何社受けたんですか?

かず

20

なおき

結構受けますね。

この日は、そんな会話で終わった。

さらに月日は流れ、先輩とは時々顔を合わせていたが、その回数も次第に減っていったある日のこと 一通のメールが

かず

俺、結婚するわ

なおき

まじですか!?
おめでとうございます!

先輩は結局変なベンチャー企業に就き、それでも仕事を頑張った末に、会社の同僚と結ばれたらしい。

かず

おう!またしばらく会えなくなるが元気でな、お前も就職頑張れよ!

なおき

はい!末永くお幸せに!

そこからばったり先輩とのやり取りはなくなった。

結局僕は先輩のとこよりも少し良い会社に入り、年収も安定していた。

今日も1人、定時を少し過ぎた時間に、家に帰る。

???

ありがとう。

か細い声が僕の耳元を通る。

振り返ると、くまの上にくまを重ねた60歳に見えなくもない男性がいた。

なおき

すみません。どちら様でしょうか。

???

いいや、気にしなくていい。

そのまま背を向け西に落ちた日に向かっていく男性に僕は何故か酷く心が揺れた。

日は過ぎ僕のアラサー男子卒業も間近だ。

今日は会社の同僚とある会社との契約を結びに来た。

かなた

この契約で俺らの出世も夢じゃないな!

なおき

絶対成功させなきゃな

今回の契約で僕の給料も跳ね上がって欲しいものだ。

なおき

こんな事業案です!

契約会社の人

うん、なかなかいい案だし、こちらこそよろしく頼みたい。

結果は成功 その日はそのまま同僚と打ち上げをした。

ハイボールを頼み、乾杯をした。 その時ふと先輩のことを思い出した。

なおき

今何となく思い出したんだが、大学時代に世話になったカズっていう先輩がいたんだ

なおき

その人がよく話してた話をしてもいいか?

かなた

うん

先輩の話を長々とした。

なおき

ってわけ、お前はどう思う?

かなた

人を信じるかはその人次第であって、正直なんとも思わないね、

なおき

そうか、

そんな話をしていると、見た事のあるような男性が店に入ってきた。

なおき

あの人どっかで見たことあるかも。

かなた

どっかであったことあんの?

なおき

いや覚えてないけど、

かなた

じゃあ、気のせいじゃね

僕はその男性を頬を手に乗せながらちらりと何度か見た。

その人の髪の毛は少なく、つむじのところが渦を描いたようにはげている。

僕は空のハイボールを、持ち、生を頼んだ、

なおき

生くださーい、お前なんかいる?

かなた

いやまだあるからいい

飲食店に置いてあるテレビを見ながら氷しか入っていないハイボールを見せつけてそう言った。

興味本位で、何も言わないことにした。

なおき

そろそろ帰るか、

その時ふと周りを見渡すと、見覚え之あるおっさんはもういなかった

かなた

やべ、小銭がない

なおき

いいよ、今日は奢ったるわ

かなた

ありがとうございます!!!!

その日は貸1として、家に帰る。

帰る途中、店にいたおっさんを見かけた。

西に落ちる月を見ながら、謎の孤独感を発して歩いていた。

話しかけようと思ったが、結局何も無いまま家に帰ってただいまのビールを飲んだ。

月日は当然のように流れる

なおき

俺も今年で40だ

かなた

そうだな

なおき

久々に飲みに行くか

かなた

いや、今日は結婚記念日なんだだからパスするよ

なおき

わかった。

同僚は結婚して幸せな家庭を築いた。 僕はというと、特に変化なしだ、 歳だけ積もったただのおっさんだ、

???

あれ、なおきかっ?

なおき

かず

俺だよ俺!かずだ

なおき

先輩!お久しぶりです!

かず

元気にしてたか

なおき

まあそこそこですよ

かず

お互いに老けたな

なおき

ですね

なおき

あれからどうしてたんですか?

かず

相変わらず人を信じるのは苦手だが、嫁と、子どもは最愛の人になったよ

なおき

お母さんは元気ですか?

かず

いや、まあそこそこだな

少し何が言いたげな感じだったが無視した

なおき

てか先輩、髪まだまだ生きてますね

かず

俺まだ43だぞ

なおき

立派なおっさんじゃないですか笑

その日は先輩と飲みに行き、昔のことを沢山話した

人は変わるもので、先輩は、嫁さんや子供の話を嬉しそうに話していた。

かず

俺は嫁さんや子供に出会えて本当に良かった

かず

お前もまだ諦める時ではないと思うぞ

なおき

そうですね...

会計を済まし、扉を開け、帰ろうとした時、

かず

風強いな

なおき

えっ

僕は飛んでいくものを目にした。

なおき

先輩頭..

かず

あっ!

そこには飲食店のあかりに照らされたつむじに渦が巻かれた頭があった

かず

バレちゃったかっ

なおき

はげてたんですね

かず

ハゲって言うな笑

桂は2mほど先に落ち、笑うように風が吹いた

そのときの先輩の面影は何故か懐かしく、酷く心が揺れ、それと同時に少し心配になった

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