深夜2時過ぎ
前沢勝敏
須田威
須田威
前沢勝敏
前沢勝敏
前沢勝敏
暴走族グループ「K」のリーダー・前沢勝敏は、対立する暴走族グループのリーダー・須田威にそう明言した。
須田威
前沢勝敏
須田が目を凝らすと、街灯で微かに明るい道路の至る所に黒い物体がいくつも置かれていた。
三角型のトゲのような鋭い刃が丸い円を描いて不気味な存在感を漂わせている。
前沢勝敏
須田威
前沢勝敏
須田威
須田威
須田威
前沢勝敏
前沢勝敏
前沢勝敏
須田威
前沢勝敏
須田威
須田は、後ろで同じく罠だらけの道を睨む菊地と永山の二人に振り向いた。
菊地章
菊地章
菊地章
須田とは中学の同期で幼馴染の菊地章が自信たっぷりに胸を叩いて見せた。
一方の永山は田舎からの上京だが、須田に見込まれた持ち前の自信とチャレンジ精神をこの場でも露骨に漂わせていた。
菊地と永山は自身のバイクにまたがり、スタート地点にスタンバイした。
二人のリーダー、須田と前沢は少し離れた場所からその様子を見守った。
深夜2時半、車という車が一台も通らない街灯の明かりのみの闇の世界で、前沢の「スタート!」という大声が響いた。
轟音を鳴らし激しいスタートダッシュを決めた菊地と永山のバイク。
街灯の明かりのみを頼りに虎挟みを避けるのは至難の業だが、菊地と永山は軽快に避け、
ひたすらゴール目掛けて自身の馬を全速力で走らせている。
前沢勝敏
前沢勝敏
須田威
須田威
どんどんゴールを目指して小さくなる菊地たちのシルエットを見詰める須田と前沢。
やがて、虎挟みを突破したのだろう、
歓喜する菊地らしきシルエットが両手を上げながら突っ走っている。
その横で、永山は苦笑を浮かべていた。
永山智一
永山智一
スパッ…
スパッ…
須田威
須田威
異変に気付いた須田たちが一目散にゴール地点に向かうと、
首と、両腕の上腕骨から上の無い菊地と思しき体と、顔の上半分が消えた永山の体が横たわっていた。
グロテスクな断面から流れる血が独特の臭いを発しながら、
アスファルトの地面を赤く染め上げていく。
須田威
須田は震える手で前沢の胸ぐらを掴んだ。
須田威
前沢勝敏
前沢勝敏
須田威
須田威
須田威
前沢勝敏
前沢勝敏
前沢の言葉は途切れた。
激しい言い争いで我を忘れた二人には、
大量の虎挟みでタイヤがパンクし、コントロールを失った酔っ払いの運転する車を避ける余裕は無かった。
翌日
事故発生前のとある一軒家。
一人の高校生が黙々と日記をしたためていた。
ー◯月△日ー
いよいよ大学受験が迫った。…けれど、最近酷く悩ませるのが外の騒音だ。この大事な時期に耳障りな音、身勝手な暴走族の連中だ。 あの凄まじい爆音は、耳栓も全くあてにならないほどのうるささだ。 話し合いの機会もないし、仮に話せても相手は暴走族。身勝手極まりない連中が大学受験に必死な自分のためにバカ騒ぎを止めるとは到底思えない。 試験が近いというのに、轟音によって日に日に募るストレスのせいで内容が全く頭に入ってこない。このままでは、希望の大学への進学が夢に終わる。 だから僕は思いきって行動を起こす。 口でダメなら、行動するしかない。 連中が活発に動くのは皆が寝静まった深夜帯だ。その時間に、僕は罠を仕掛ける。 無類のバイク好きだから、あの罠なら確実に奴等は引っ掛かるだろう。 罪の意識など感じない…いや、感じる必要など無い。奴等は街の公害ゆえに、それを排除することになぜ罪を感じる必要があるだろう? 恐れ慄け、チンピラ暴走族ども。 僕の邪魔をして本気で怒らせるとどうなるか思い知れ。
2019.05.18 作
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