兄と、妹と。

10:32

妹、澪との久々のデート。 つっても兄妹だからね。 澪からしたらお出かけなんだけど。

そして彼女が呼ぶ＂翔太＂は、メンバーの渡辺翔太のこと。で、俺の親友。 澪は翔太と長い。 澪は元々翔太推しで、コンサートはいつも俺が招待してた。 澪を溺愛しすぎてチケット買ったり、楽屋に入れさせてあげたり、今思えば本当にやめておけば良かったって後悔してる。

あぁ…本当にこの子は可愛い。 長くてサラサラの髪をわざわざ巻いて、俺の好きなメイクしてくれて、きっと早起きしてくれたんだろうなぁ。 俺と出かけるだけなのにピンクのワンピースなんか着ちゃってさ。

こうやっていつも笑顔で煽られる。 俺の心は跳ねるばかりで静まることを知らない。

ほらね。言ったでしょ。 澪にとってはお出かけなの。 デートは翔太とだけ！ っていーっつも言ってる。

だってこんな格好…翔太が見たらきっと怒る。 これは私が蓮くんを好きだった時に買ったやつだもん。 絶対ダメ。この洋服は特別なの。

言えない。絶対言っちゃダメ。

そう言いながら窓枠に肘をついて考え事をする蓮くんの横顔から目を離せなかった

可愛いね。本当に可愛い。血の繋がりさえなければ、俺はとっくの昔に告白してたし、振られても諦めなかった自信があるのに。…なんで兄妹なんだろう。

12:08

〜〜〜♪♪

この甘い声に何回やられたかな。 翔太はもちろん上手だし綺麗なんだけど、私は蓮くんの優しくて切ない歌声が何よりも好き。 首筋に綺麗に浮き出る血管、ビブラートで小刻みに動く喉仏、感情込めた表情。 蓮くんは歌に気持ちを込めるのが上手い。 …うららちゃんも聴いてるんだろうなぁ…

危ない危ない…。心の声がぁっ、

ビックリした。 唐突に言われたら焦る。 …俺も言えばよかったかな。

〜〜〜♪♪

澪の声は驚くくらい透き通ってる。 高音も綺麗に出てるし、ロングトーンは完璧。 翔太に取られるくらいなら、あの時あのまま俺の女にすればよかった。

15:29

あーもう。 ほんと可愛い、死ぬほど可愛い。 でもあんまり飲ませるとキス魔になっちゃうから気をつけよ。

お酒なんて飲んじゃったら… あー！考えるのやめよ！

17:33

お酒飲むとこの子は素直になるからあながち冗談ではないのかもしれない…。入っていいものなのか…今だってこんな…あーーーーー、どうする、困った。

自分で何言ってるか理解してんのか…？我慢出来るわけないし、一線越えたらアウトだぞ…。

あの時以来見てなかった身体はやっぱり綺麗に成長してる。目のやり場に困るくらい女性らしくなった。耐えられる気がしない。

抱いてってどういうことだ…？俺が？澪を？それで酒のせいにすると？そんなこと出来るわけない。いくら酒入ってるとはいえ、なにかあったことには変わりないし、しっかり話を聞こう。

私、何言ってるんだろう…。でももうこの身体を見てしまったら後には退けない。抱かれたい、触れられたい。今はそれしか考えられない。…やっぱり私は、あの頃からずっと蓮くんが好きなんだ。

19:18

うららを傷つけて、俺のわがままに付き合わせたくせにこんなの虫が良すぎる。でも最愛の女にこんなこと言われて嬉しくないわけないだろ…。

澪の照れた顔を横目に俺は翔太とのこれからを考えた。SnowManでいられるのか、ただそれだけを。

SnowMan (9)

NEXT… 大切な居場所、大好きなみんなを失う可能性があるにも関わらず、澪と付き合い、メンバーへ報告することを決意した蓮。だが、彼には葛藤があった。それは、親友の翔太と関係が切れること。ずっと親友を続けてきた彼らには隠し事も裏切りも一切なかった。そんな中訪れた幸せであり複雑な恋の始まり。翔太は何を思い、メンバーが守るものは何なのか、蓮は全てを受け入れられるのか、澪は耐えられるのか。 、