幸介
三浦さんってさ、本好きだよね?
千花
え?
幸介
見るたびに小説読んでるし
千花
う、うん
幸介
いつもどんなの読んでるの?
千花
えっと、
千花
これ
幸介
へぇ…面白そう
幸介
これ図書室の?
千花
そう
幸介
ちょっと見ていい?
千花
え?
幸介
目次目次…
千花
ま、待って…!
幸介
うわ!
幸介
み、三浦さん…?
千花
あ、
千花
ご、ごめんなさい
幸介
あ、いや…
幸介
勝手に見た俺も悪かったし
千花
……
幸介
……
千花
あ、あの
千花
しおり…挟んでたの
幸介
しおり?
千花
落ちちゃったら、大変な事になるから…
幸介
あぁ!
幸介
そっか、なるほどね
幸介
そりゃ大変だ
幸介
ごめん、ほんとに
千花
そんな、
千花
江崎くんが謝る事じゃ
幸介
でも、しおりかぁ
幸介
俺そういうの気にしないから、普通に閉じちゃうな
千花
そうなんだ…なんか意外
幸介
そうかな
千花
だって江崎くん、真面目そうなのに
幸介
よく言われる
幸介
眼鏡かけてるからかな?
千花
そうかも…
幸介
あ、そうだ
幸介
それ、もう一回見せて?
千花
う、うん
幸介
ありがとう
幸介
…武村悠次郎
幸介
今度、この人の本借りてみようかな
千花
え?
幸介
絶対面白いだろうし
千花
でも、人によるかも…
幸介
本好きの三浦さんが読んでるんだから、面白くないわけないよ
千花
そうかな…
幸介
そうだよー
幸介
っていうか、そのために声かけたんだよね
千花
え、
幸介
最近マンガばっかり読んでるから
幸介
たまには小説も読みたいなーって思って
千花
それで、私?
幸介
そう
幸介
あともう一つ
幸介
三浦さん、優しそうだったから
千花
え…
幸介
なんていうかこう
幸介
あれだ、マイナスイオン
幸介
放出されてる感じで!
千花
ま、マイナスイオン
幸介
マイナスイオン
千花
私、放出されてるかな…
幸介
されてるされてる
幸介
なんだろ、安心するよね
千花
っ、
千花
私も、江崎くん
千花
…安心するよ?
幸介
え、そう?
幸介
ありがと、めっちゃ嬉しい
千花
うん…
幸介
俺マイナスイオン放出されてる?
千花
うんっ、ふふ
千花
すごくされてる
幸介
マジかー
幸介
これで教室の空気、きれいになったかな!
千花
そうかもね
男子生徒
男子生徒
おーい江崎!
男子生徒
何してんだよ、帰ろうぜ
幸介
あ、うん!今行く
幸介
ごめん三浦さん、俺そろそろ帰らなきゃ
千花
う、うん
千花
またね、江崎くん
幸介
またね!
千花
……
千花
しおり、見られなくてよかった…
千花
気持ち悪いよね、
千花
写真をしおり代わりにしてるなんて…
好きな小説に挟むのは
好きな人の写真
千花
…好きです
なんて、本人には言えないけれど。
千花
江崎くん
あわよくば、気づいてくれたらなんて
…思ったりもしちゃいます。