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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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美波

あのさ、

海斗

ん?

美波

昨日人を殺したんだ

君はそう言っていた

美波

ポロポロ、

梅雨時ずぶ濡れのまんま

部屋の前で泣いていた

海斗

え、?

夏が始まったばかりというのに

君はひどく震えていた

そんな話で始まるあの夏の日の記憶だ

美波

殺したのは隣の席のいつも虐めてくるアイツ、

美波

もう嫌になって肩を突き飛ばして、

美波

打ちどころが悪かったんだッ!

海斗

うん、

美波

もうここには居られないと思うし

美波

どっか遠いとこで死んでくるよ…

そんな君に僕は言った

海斗

それじゃ、僕も連れてって

美波

え、?

財布を持って

海斗

財布、どこだ

ナイフを持って

海斗

ナイフ、

携帯ゲームも カバンに詰めて

バキッ

海斗

よし、

いらないものは全部、 壊していこう

海斗

、、、

あの写真も、あの日記も

海斗

今となっちゃいらないさ、(笑)

人殺しと

美波

ほんとにいいんだね、?

ダメ人間の

海斗

うん

君と僕の旅だ。

そして僕らは逃げ出した

美波

涼しいね、

海斗

だね

この狭い狭い世界から

海斗

家族も

美波

クラスのやつらも

なにもかも全部捨てて 君と2人で

海斗

遠い遠い誰も居ない場所で

美波

2人で

死のうよ

海斗

もうこの世界に価値など無いよ、

海斗

人殺しなんてそこら中湧いてるじゃんか、…

美波

、、、

海斗

君は何も悪くないよ。

美波

ッ…、

君は何も悪くないよ。

  

海斗

結局僕ら誰にも

海斗

愛されたことなどなかったんだ、

美波

そうかもね、…

そんな嫌な共通点で 僕らは簡単に信じあってきた

美波

2人で逃げよう、

海斗

だね

君の手を握った時 かすかな震えもすでに無くなっていて

誰にも縛られないで2人、 線路の上を歩いた

美波

あはは、(笑)

海斗

楽しい、ね

海斗

逃げろ~!(笑)

美波

まってって!

金を盗んで、2人で逃げて どこにも行ける気がしたんだ

今更怖いものは、 僕らにはなかったんだ

海斗

楽しいな

美波

だね

海斗

走れー!(笑)

美波

ちょっと早くない!?

額の汗も落ちたメガネも 今となっちゃどうでもいいさ

あぶれ者の小さな逃避行の旅だ

警察

この人達を知りませんか?

一般人

知りませんね、すみません

いつか夢見た優しくて 誰にも好かれる主人公なら

美波

ん、って警察じゃん、

美波

海斗、起きて!

海斗

ん、?

美波

警察が!

海斗

え、早く逃げよ!

警察

ってあれ、早く追え!

汚くなった僕達も見捨てずに ちゃんと救ってくれるのかな?

美波

そんな夢なら捨てたよ

美波

だって現実を見ろよシアワセの!

美波

四文字なんて無かった、…

美波

今までの人生で思い知ったじゃないか、

海斗

、、、

美波

自分は何も悪くねぇと

美波

誰もがきっと思ってる、

美波

ッ…!

海斗

はぁ、

あてもなく彷徨う蝉の群れに

海斗

はぁ…、

水もなくなり揺れ出す視界に

警察

待て!

海斗

待つわけ無いじゃん、!

美波

だね、

迫りくる鬼たちの怒号に バカみたいにはしゃぎあい

美波

、、、

海斗

美波、?

ふと君はナイフを取った

美波

君が今までそばにいたから

美波

ここまでこれたんだ

海斗

え、?

美波

だからもういいよ、もういいよ

美波

死ぬのは私1人でいいよ

そして君は首を切ったまるで なにかの映画のワンシーンだ

海斗

え、…?

海斗

嫌だ、嘘だよな、?

警察

、、、

白昼夢を見てる気がした 気付けば僕は捕まって

海斗

あ、あぁ…、

君がどこにも見つからなくって 君だけがどこにもいなくって

そして時は過ぎていった ただ暑い暑い日が過ぎてった

海斗

家族もクラスのやつらも居るのに

海斗

何故か君だけはどこにもいない、…ポロポロ

あの夏の日を思い出す

美波

まってって~(笑)

海斗

へーい!(笑)

僕は今も今でも歌ってる

海斗

君をずっと探して居るんだ、

海斗

君に言いたいことがあるんだ、…

海斗

はッ、

九月の終わりにくしゃみして 6月の思いを繰り返す

美波

綺麗だね~

海斗

うん、そうだね

君の笑顔は君の無邪気さは 頭の中を飽和している

海斗

誰も何も悪くないよ、

海斗

君は何も悪くはないから

海斗

もういいよ、

投げ出してしまおう

そう言って欲しかったのだろう?

海斗

なぁ、…?
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