最初、何の話をしているのか分からなかった。
線路に落としたのがカズトラって事?
何で? あの時水買いに行ったじゃん。
頭打ったから可笑しい事言ってるんじゃ、、。
鯨|.........
そう茶化す様に冗談を言いたかったが、
カズトラの顔を見れば分かった。
この話は事実で、本当だって事は。
カズトラ|...水買いに行く時、人混みに紛れて...鯨の後ろ側に回った
ピッ... ピッ... と規則正しく鳴る機械音をバックに、彼は訳を説明しだした。
カズトラ|電車が早く来るのは知ってた。だからあのタイミングで行った
カズトラ|.......それで、電車が来る瞬間にお前の事を線路に落とした
カズトラ|でもその後、何やってんだ俺って後悔して
カズトラ|ギリギリでお前の腕引っ張って助けた
カズトラの声は震えていた。
何で自分はこんな事をしてしまったんだろう と、責めているようにも見える。
鯨|.....何で、そんな事したの、、?
私は出来るだけ優しく言った。
別に、線路に落とされても全然平気とか怒ってないとかじゃなくて
カズトラの様子が異様におかしかったから。
本当はこんな事したい訳じゃないって言いたそうだったから。
カズトラ|...俺さ、お前の事好き
その後、カズトラから出た言葉はこの一言。
鯨|...へ?
カズトラ|...何かよく分かんねぇ、けど。いつの間にかそうだった
そう言われた瞬間、体全身が熱くなって
息が出来なくなりそうになった。
あれ、私...告白されてる??
カズトラ|...でもお前さ、、彼氏居んだろ
鯨|...........うん、
...そうか、、カズトラは知ってるんだ。ハンマ君の事。
カズトラ|悔しかったんだよ、あんな奴とお前が付き合ってるって...
...あんな、奴? 何それ...
カズトラ|自分の彼女監禁しようとする奴なんて、可笑しいだろ
鯨|...そ、それは...
カズトラまでその話がいってる。
前々からハンマ君がカズトラに言ってたのか...
カズトラ|俺だってお前の事線路に落とした
カズトラ|でも俺は殺したかった訳じゃねぇんだよ、
カズトラ|ッさっきも言ったろ、俺お前が好きだって
するとカズトラは、怪我を負った体を無理やり起こし
涙目で私の目を見た。
鯨|ちょ、怪我がまだ...!!
カズトラ|お前...タイムリープ出来んだろ、?
怪我がまだ痛む筈なのに、カズトラは喋っていた。
しかも、何故か「タイムリープ」の存在を知っている。
鯨|ッ、な、なんで
カズトラ|だから未来を変えて欲しかった。鯨が、お前自身で
鯨|何、言って...
カズトラ|″あんな奴″と付き合う未来じゃなくて
カズトラ|お前の隣に俺が居る未来を作って欲しかった
鯨|.......、、
何故か心臓がズキズキ痛む。
何に対して痛むのかはよく分からない。
ただとにかく、痛い。
カズトラ|.....タイムリープの条件は多分『痛み』
鯨|!!
カズトラ|線路に落ちた時の打撲がトリガーになったんだよ
痛みって...
カズトラ|だけどそれが物理的な痛みか、心情的な痛みかは分かんねぇ、
鯨|.......
どうにかこうにか理解して、やっと頭が追い付いてきた。
何でそもそも、カズトラがこんな事知ってる訳?
カズトラ|.....ごめん
鯨|...へ?
カズトラ|俺がお前にした事、間違ってた
カズトラ|本当に、ごめん...
俯いて言う彼に、私は耐えられなかった。
鯨|...いいよ、許してやるわ
カズトラ|...、は?
鯨|そんだけ私の事好きだった訳でしょ? カズトラ君ったら大胆だねぇ~
カズトラ|は、!? お、オイ...こんな時に茶化す...
鯨|許してやるったら許してやんのー!!
鯨|異論認めない!!!分かったらさっさと怪我直せ!!!
カズトラ|.................
吐き捨てる様に言うと、カズトラはポカンとした様子で私を見ていた。
鯨|...色々教えてくれてありがとう
鯨|タイムリープの事...何で カズトラ が知ってるのかは分かんないけど
鯨|『痛み』なんでしょ?
カズトラ|...多分
鯨|やってみる。私も今の彼氏ちょっと気難しくてね
カズトラ|...それって俺と付き合ってくれるって事?
鯨|...それはお楽しみに♡
カズトラ|...ちぇ、つまんねぇ
鯨|ごめんて 笑
さっきの空気とは裏腹に
いつもの私達の空気を取り戻していた。
半間君に一虎と会ったことがバレるとまずいので、私は直ぐにその場を去った。
カチッ
部屋の電気を付ける。
鯨|...ん
家に帰ると、テーブルの上に見覚えの無い鍵があった。
え、何この鍵。何処の鍵だこれ。
すると急にスマホの通知が鳴った。
鯨|び、びびった...
鍵を一旦置いてスマホを見ると、半間君からだった。
ちょっと見るのが怖かったが、見るしかない。
思い切ってメールを開くと、
『俺の部屋の合鍵な♡』
と、その一言、、
鯨|な、何故合鍵を...!?!?
しかもジャストタイミングで通知が来た...
え、監視カメラ付いてる?????
私は少し震えながらも、半間君にメールを返した。
『いいの? 合鍵なんて私に渡して...』
『お前だから渡してんだよ』
『暇な時いつでも来ていーからな♡』
ひ、暇な時に行っていいってどういう...
...いや、そうなのか。
私の彼氏は半間君。
普通は一緒に住んでてもおかしくは無い関係、、
...そういえば何で私と半間君って一緒に住んでないんだろ?
そう考えても答えは出るはずも無く。
私は半間君に、『暇な時行くね』とだけ返してスマホを閉じた。
鯨|いや待て、半間君何で私の部屋入れた!?!?
考えてみればそうだ。何で私の部屋に合鍵を置けるんだよ!!!!
私はすぐ様メールを開き、また半間君にメールをした。
『何で私の部屋入れたの!?』
すると数秒後、返信が来た。
『合鍵作った』
なッ、、あ、えッ...嘘でしょこの人...
『もしかして勝手に...?』
『勝手に♡』
マジかよ.......
普通彼女の部屋の合鍵勝手に作る!?
いや、今更何を言っても無駄だ。
昨日監禁されそうになったレベルだから、仕方ない。
いや、仕方ない...???????
もうダメだ、頭が麻痺してる。
鯨|...もう寝るか
完全に疲れきった私は、そのままベットにダイブした。
合鍵を片手に握って、それを見つめていると
いつの間にか眠ってしまっていた。
ハッと目覚める。
するとそこは12年前の景色だった。
するとそこはまたまた教室。
鯨|あ、あれ!?!? タイムリープ!?
昨日そのまま寝ちゃって...
トリガーは『痛み』の筈なのに。
一虎に言われた事は違うのか...?
そう思ったけれど、違うのは私の方だった。
よくよく考えてみれば、元々寝相悪い私じゃあの体制だとベットから落ちてる。
ベットから落ちて、隣に置いてある丸テーブルに頭ぶつけたんだわ。
うわ絶対そうだ。それしか考えられない。
自分で考えて少し恥ずかしくなった。
ベットから落ちた衝撃でタイムリープとか.....
若|びっくりした...どした?いきなり...
繰|タイムリープって、、鯨ちゃんそういうの好きだったの?
鯨|どぅえあ!?!? 若ちゃん!?.....と...
ん、あれ。誰だっけか、、この子...
赤ピンクの綺麗な髪先の色と黒髪。
クソ美人な上に声も可愛いこの子。
鯨|...あ!!!!!繰ちゃん!!!!
繰|...え?あ、うん。そうだよ?
確か1つ年下の後輩だ。
若ちゃんと仲良かったよな確か...
若|最近鯨おかしいよ。病院連れてってあげようか?
鯨|若ちゃん...酷い...
タイムリープしたなんてバカ正直に言ったら本当に病院送りになっちゃう!!
若|.................あ
すると若ちゃんの携帯電話に通知が入り、画面を見た若ちゃんは声を出した。
鯨|...ん?どうしたの?
若|ごめん。今日彼氏と一緒に帰るわ
繰|ごめん...!!!私も!!
鯨|...え????? 彼ピ???
こここここここの2人彼ピッピ居たの!?
嘘でしょ知らないよそんなの!!!!
人|ちょっと待ったァー!!!!!!
すると教室の扉が勢いよく開いた。
鯨|い、いぶちゃん!?!?
人|この僕が解説してみせよう!!!!!
か、解説って何の解説...!?
人|若ちゃんと繰ちゃんには彼ピが居ます!!!!
繰|鯨ちゃんそれ知ってるよ
人|えッ、あ、そこは知ってる.....
若|うん。知ってる
鯨|今知ったばっかですけどね!?
人|おほん!!! ...えぇと...
人|この2人が付き合ってるお方は凄くてですね!!!!
人|六本木のカリスマ兄弟って呼ばれてるお方と付き合ってるのです!!!!
鯨|ろ、六本木...!?!?!?
人|僕前に1回会った事あるんだけど、凄い顔が良かった。恐ろしい程に
若|当たり前だね
繰|うん!!当たり前!!
鯨|何この私だけ置いてかれてる感...
人|え、僕も彼氏持ちだよ?
繰|え、そうなの!?
鯨|そうなの!?!?!
人|...えへ♡
鯨|えへ♡じゃないじゃない!!!!!
鯨|何でそういう大事な事言ってくれないの!?!?
人|まだ彼氏居ない鯨ちゃんに言ったら...可哀想かなって、、
鯨|何その嬉しいけど嬉しくない気遣い、、
てか″今″居ないだけです!!!!!!!
未来には居るからちゃんと!!!!!
繰|わ、私知らなかった...
人|あれ...言ってなかったっけ!?
若|私もそれは初耳
人|あれ
鯨|あれぇ~、嘘情報ですか~???
人|なッ、い、居るもん!!!!!
若|え~、じゃあ今度会わせてよ
繰|私も会いたい!!
鯨|私も行くから!!!
人|ちゃんと居るからね!!!今度絶対会わせるからぁ!!!!
すると人ちゃんは、凄い勢いで教室から出て行った。
凄い勢いで登場して凄い勢いで去っていったな...
若|じゃあ私も帰る。″彼氏″待たせたら悪いし
鯨|ふぐ...
繰|また明日ね鯨先輩!!! 私も″彼氏″待たせたらいけないから!!
鯨|2人して″彼氏″強調して言わなくていいからぁ!!!!!
すると2人は笑って、教室を出て行った。
鯨|彼氏ぐらい.....居るもん...優しくてイケメンな彼氏...
と、半間君の事を思い出す。
.......いや、いやいやいやいや。
何それ何それ。私半間君と付き合うのを回避する為にタイムリープしてるんだから。
1呼吸置いて、私も教室を出た。
教室から出て、階段を降りる。
それは下駄箱に着いた時だ。
鯨|彼氏ぐらい...居るし...
ボソボソ愚痴を言っていると、何やら大きな人影が私を覆った。
タイムリープごとに、毎度毎度悪い事が起きる。
この現象に名前を付けたい位だった。
ハンマ|久しぶりぃ♡
鯨|なッッ.......
何で.........半間君が居るんですか...???
私の脳は、完全にシャットダウンされた。
コメント
22件
ああ"好きです!!
ストーリーが最高すぎます✨
六本木のカリスマを彼氏と言える世界線…ここにあったあああ(殴