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ASTREIN 淡い月明かりのような僕ら、ASTREINです。 名前のなかった星たちが、空に軸道を描くように集まり、 いま、ひとつの光として輝き始める。 儚さの中に力強さを秘めた9人組ボーイズグループ。 星を連想させる独自の世界観と、研ぎ澄まされたパフォーマンスで、 観る人の心に静かな衝撃を刻みつける。 彼らの旅はまだ始まったばかり。
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低く響く声と共に薄暗い練習室の扉がゆっくりと開く。 入口に立つ少年はわずかに緊張をにじませながらも1歩、また1歩と中へ足を踏み入れる。 ここはソウルのとあるビルの地下。 鏡張りのスタジオには汗と期待と焦燥が渦巻いていた。 目の前に並ぶ審査員たち。 背後に見えない、同じ夢を抱く、まだ誰でもない候補者たちの気配。 年齢も、名前も、出身も違う。 けれどこの部屋にいる誰もが同じものを追いかけていた。 「アイドルになりたい」 その言葉すらもはや軽すぎる。 何かにすがるように、何かを賭けるように。 歌って、踊って、笑って、泣いて、選ばれて、諦めて、また立ち上がって。 この狭い世界の中でも星になれるものはほんのひと握り。 だけどそれでも。
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重ねられた審査員の声に少年は頷くと再び音に身を預けた。 ────── 時は流れ、無数の落選と無言のカットを経て、数名の少年たちが静かに生き残った。 寄せ集めのように思えるそのメンバーに、共通点はほぼない。 おどけて場を和ませる者。 ただ黙々と努力を積む者。 夢を口にする事すら怖がる者。 真っ直ぐに自分の弱さを隠そうとする者。 バランスなんてない。 呼吸の合い方すら分からない。 でもそれが最初の運命だったのかもしれない。 まだ名前も、形もない。 だけどどこかで誰かがいう。 お前らの儚さがすごい力になるのかもな。 笑い話のようにこぼされたその一言が、じわじわと彼らの心の奥で燃え始めていた。 そうして集められた9人。 練習室の隅で互いに他人行儀だったその日。 誰かが呟く。 このままじゃ消える。 誰かの目が揺れる。 誰かの指先が拳を握る。 でも消えたくは無い。 名前が欲しい。 意味が欲しい。 この光に。理由が欲しい。 その夜初めて9人で交わした会話。 それは自己紹介でも、目標でもない。 もっと曖昧で、けれど確かだった。 このままただの星屑みたいに終わるなら、いっそ俺らで宇宙...新星を作らない? 名前をつけよう、俺たちの存在に。 意味なんてあとから着いてくる。まず意味があることを信じよう。 それから数ヶ月後。 あの少年たちは新たな名を持つことになる。 ASTREIN(アストレイン) 星(Astro)と軸道(Train)を組みあわせた造語。 バラバラだった光が、ひとつのレールを走り出すように繋がっていく。 それが彼らの始まり。 誰も見つけられなかった光たちが、 今、夜空の片隅で静かに輝き始める。