その日からみっちーは、
他の友達と弁当を 食べるようになった。
寂しかった。けど、
ちょっと嬉しい気持ちもあった。
だって毎日1人で噴水広場に行って
ガラスの歌声が聞けるんやもん。
今日は何を歌ってくれるんやろ。
いつの日か俺の、
唯一の楽しみになっていた。
長澤玲果
今日も声は届かないのね~
長澤玲果
まーるで透明になった
長澤玲果
みたいだわ~
ほんま綺麗な声やな、
でも1つ。
ずっとモヤモヤ していることがある、
同い年なはずなのに 誰か分からへんねん。
ある日教室に忘れ物をして、
取りに帰っていたら
階段の上から聞いたことある
声が聞こえてきた。
長澤玲果
これからもどうぞよろしくね~
長澤玲果
こんな私だけど
長澤玲果
笑って許してね
そう、いつも噴水広場で 歌っている女の人の歌声。
放課後にも歌ってるんや、
彼女に見つからないよう、 階段の下で壁に寄りかかりながら
余韻に浸っていた。
階段だと声が響いてより 綺麗に聞こえる。
長澤玲果
あの、誰かいますか、?
見つかったと思い僕は ダンボールの山に隠れた。
長澤玲果
気のせいか、
彼女は上から降りてきた。
その時、僕は真実を知った。
ダンボールの 隙間から見えた人は、
同じクラスの、
長澤玲果やった。
その日僕は風呂に浸かりながら
状況を理解しようとしていた。
長澤玲果は、 いつもマスクとメガネをしていて
地味で目立たない いわゆる陰キャだ。
でも髪の毛だけは、 すごくさらさら。
確かに噴水広場で歌っていた、 女性も髪の毛はさらさらだった。
ということは長澤玲果は、
噴水広場の 女性ってことか、?
なんであんな美人なのに、
マスクなんか つけてるんだろう、?
自信を持てばいいのに、
長尾謙杜
あぁー!
長尾謙杜
考えれば考えるほど、
長尾謙杜
分からへんくなる。
とりあえずその日は寝て、
次の日に考える事にした。