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死んだら落ちるところ

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死んだら落ちるところ

1 - 死んだら落ちるところ

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2018年09月15日

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あなたは死にました

ひつき キヲツケテ

どうだ、聞こえるか

何も見えず

聞こえなくなって何年経つ?

あなた

わからない

もう2年は経つよ

ていうのは嘘でまだ五分もたってないよ

あなた

なにより君は誰?

あなた

死人?

それは君だけ

あなた

じゃあ誰

誰でもない

あなた

でも人なんだろ

知らない方が良いよ

あなた

俺は、もう死んだのか

いまさらそんなこと言うんだね

あなた

夢を見始めた感覚に似てた

あなた

けど、違う

あなた

何もない

それは君が死んだから

あなた

なぜ俺はお前と話す意識があるんだ

意識は死んだら無くなると思ってるんだね

あなた

身体が埋葬されれば無くなるよ
脳みそもなくなるんだから

君は勘違いをしてる

脳みそがなくなって消えるものは意識じゃない

記憶だよ

人は死ぬ間際に走馬灯を見るって言うだろう

あれはな死んでからも消えてしまって欲しくないと思っている記憶が本能的に出てくるんだ

必死に思い出すんだ
死ぬ前に

あなた

記憶、か

あなた

思い出すことは無いな

あなた

ただ生まれて死んだのが今日だった

あなた

それだけ

そう思うのは君は死んでしまったから

残された人たちのことも君はもう覚えていない

あなた

死ぬ前に覚えてきたものはたくさんある

あなた

この言葉だってそうだ

じゃあ、その言葉は誰に教えてもらった?

あなた

それはわからない

きみはこの後どうなると思う?

あなた

このままなにもできない

ちがう、落ちつづけるんだ

深く、深く

信じられないくらい深くまで

あなた

そしたらどうなるの

この意識も無くなる

あなた

意識が無くなるとどうなるの

ここに来た人は誰もが口をそろえてその質問をしてくる

そして私はその一人一人に今までこう答えてきた

厳密に言うと死後の世界というものはない

死んだものも生きている者も皆が同じ世界にいる

そして死んだものは生きている者にしか見えない

死んだものは何も見ることは出来ない聞くことも出来ない

見る物も聞く物も持っていないから

あなた

意識が無いていうのはどういう感覚なんだ

感覚なんて無い

それがあたりまえになっていくから

記憶が無くなったように意識を持っていたという記憶も消えていく

君は生き物から物へ変わっていくんだよ

あなた

分からなさすぎて頭に入ってこない

今の会話を何回も読み返していれば、意味は分かるよ

でもそんな術が君にはない

そろそろ時間だ

君の身体が消えようとしている

あなた

身体があった頃の感覚すら思い出せない

あなた

これがお前の言っていたことか

でも、不思議とあせってないね

あなた

だって、焦る理由が分からない

あなた

これが普通だから

もうすぐ君は人という認識も忘れる

あなた

どういうことだ

君は人の言葉を話していればたとえ姿は見えなくてもそれは人だと認識する

あなた

お前は誰だ

君の思っているモノだよ

君の中で私の姿も変わっていく

あなた

待ってくれ

あなた

まだ

焦ることはないよ

-

最後に伝えたいことは

-

生まれたところが全ての中心じゃない

-

そこに残された人たちには輝いて見えるから

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