桜笑
なんでもない、忘れて
京介
(そんなこと言ったって…)
初めて見た
こいつの、笑ってない顔
…ホントに、苦しんできたんだろう
京介
(…けどやっぱ俺には関係無ぇしどーしようもねえ)
京介
(こいつがそれでいいって言うならこれ以上───)
京介
ふーん
京介
なら好きにしろ
京介
言っとくが俺は人間関係は大っ嫌いだし
京介
だからお前がそーするなら俺は過干渉しねえ
京介
京介
ま、屋上にいんのは目に映るだろーけど
京介
こっちからは、関わらねーから
桜笑
うん
カンカンと階段を降りる音が聞こえる
先に去った宮代くんの言葉を思い返しながら苦笑する
言っとくが俺は人間関係は大っ嫌いだし
桜笑
(あんな風にはっきり言えたら…ラクなのかな)
それでもあたしには
そんなこと、できなかった。
六花
きゃははっ
桜笑
(───あ)
莉乃
やばーい、遅れるかもこれ
莉乃
ま、いっか
六花
あれ?そいえば桜笑は?
莉乃
どーでもいいじゃん最近まぁたダルいとこあるし
六花
ああ、シンドそうだよね
莉乃
また逆戻りってか笑
六花
あははっ、変わってなーい笑
桜笑
(…どうして)
桜笑
(周り、見てから話すとかできないのかなー…笑)
それでももう1度グッと力を入れて2人に近づく
と同時にスッと1つの影が横切る
桜笑
(…え?今のって───)
菜乃
な…何がオモシロいわけ!?
莉乃
はっ?え、何いきなり
六花
だ、誰…?
桜笑
(菜乃ちゃん…っ)
菜乃
…私、学園休んでる間も桜笑ちゃんからいっぱい話聞いて
菜乃
桜笑ちゃんは…よくあなたたち2人の話をしてた
菜乃
写真も見せてくれた
菜乃
…なのに、そんなの…
菜乃
菜乃
───と、友達じゃ、ないの!?
莉乃
いや、友達…まあ
六花
もしかして…水内さん?
菜乃
そ、そうだけど!
莉乃
…あー、そういうこと
莉乃
莉乃
ぷっ
桜笑
(───は?)
莉乃
何、あんたら2人浮いてる同士仲良くってわけ?笑
莉乃
だっさい
桜笑
(あたしは何度も言われてきたから今更何も思わない)
桜笑
(けどやっぱり…菜乃ちゃんのことを言うのはおかしい)
莉乃
2人ともここにいる価値も居場所もないくせに笑
桜笑
っ莉乃────!
パシンッ!
その瞬間、静寂がおとずれる
莉乃の左頬が赤くなる
莉乃
…っなに、してんの?
莉乃のことをぶったのは
桜笑
…え?
あたしでもなければ
菜乃
…っ?
菜乃ちゃんでも、なかった
莉乃
おい、六花!!
莉乃
なんか言えよ!!!!
六花
…っごめん、なさい
六花
だけど私…っ、今のは、ちょっと、見逃せないよ…っ
莉乃
…っは
莉乃
お前も散々一緒に言ってたくせに
莉乃
てかいつからいたわけ?桜笑
桜笑
…はー、っふふ
桜笑
(…まーバレるよね)
莉乃
…え?
六花
桜笑、?
桜笑
六花、危ないよ怪我なんてさせたら
桜笑
莉乃大丈夫ー?血、出てない?耳、聞こえる?
桜笑
ほーら、2人とも仲直りしなよ
莉乃
え?は?何?
桜笑
だいじょぶあたしは怒ってないから笑
桜笑
ね、ハンカチ貸すから顔洗ってきたら?
桜笑
またハンカチ、忘れたんでしょー?
莉乃
あ、うん、?え?
桜笑
桜笑
───あー、そういえば言ってなかったね
桜笑
あたしが怒らない理由、知ってた?
莉乃
え…?
桜笑
もう諦めてたからだよ
真っ直ぐ莉乃を見据える
生まれて初めて、2人をこんな目で見る
桜笑
でももうそのハンカチあげるし
桜笑
これからあたし、友達だと思わないから
莉乃
…っ!
さっきあたしが笑ったとき
莉乃は、少し安堵した
困惑なんかよりももっと
いつも通り、また、"無かったことにしてくれる"
きっとそう思ったんだろう
桜笑
(少しでも悪いって思ってくれてるかな)
桜笑
(…なんて思ったあたしがバカだったんだ)
桜笑
(あの安堵の表情で吹っ切れちゃったな)
莉乃
何…何言ってんだよ!
莉乃
お前、うちらがいないと友達いないくせに!
桜笑
え、それが何?てか関係無いじゃん
桜笑
あ、心配してくれてるの?ありがと〜
莉乃
は?そんなわけ───
六花
落ち着いてよ2人とも!!!
桜笑
…どーしたの?
桜笑
あたしはいつも通りだよ
桜笑
最近どんどん変わっちゃったのは六花じゃん
六花
っ桜笑…ごめん…っ
六花
ずっと私、気づいてたのに知らないふりして…
六花
…今日は、私まで桜笑に嫌な役を押し付けた
六花
どんどん…桜笑ならなんでも許してくれるって思い込んで…
桜笑
別にいーよぜんぜん
桜笑
(…六花も)
桜笑
(毎日毎日莉乃のご機嫌取りみたく接して、疲れたのかな)
桜笑
(ううん、六花は莉乃のことが大好きだったから───)
桜笑
(…そっか)
桜笑
…ほら、人集まって来ちゃってるよ〜
桜笑
ちゃんと"2人で"話し合って仲直りしな?
そう言ったそのときだった